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公開日2021.10.11

最終更新日2023.10.05

コロナを乗り越えるホテル運営のアイデア事例

コロナの影響で苦境に立たされているホテル業界ですが、アフターコロナを待つのではなく、ウィズコロナでいかにゲストに「選ばれるホテル」になるのかが大きな分かれ道となるでしょう。ここでは、ゲストの多様化するニーズに応え、コロナを乗り切るためのアイデアを事例とともにご紹介します。

今、ホテル運営にアイデアが求められるわけ

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多様化するホテル形態

ホテル業界はコロナ以前から、大きな変化が起こりつつありました。従来、日本では、宿泊業界を「観光産業」と定義づけ、大まかに「旅館」を癒やしなどの目的、「ホテル」を宿泊目的と分けてきました。特にホテルは、一部の高級ホテルやリゾートホテルを除き、立地や交通の便、料金などが選択の基準となっていたのです。

ところが、数年前から世界的に、ホテルに「ホスピタリティ」や「非日常感」を求める動きが顕著となり、さまざまな形態のホテルが登場するようになりました。

例えば、ラグジュアリーホテルやライフスタイルホテルなど、今までの画一的なホテルとは違い、ホテルで癒されたり、新しい体験をすることを目的とする施設が、静かなブームになっていたのです。

コロナをきっかけとしたゲストのニーズの変化

とはいえ、コロナ以前はインバウンド特需でホテル不足だったこともあり、従来通りのホテル運営でも問題は少なかったといえます。

しかし、コロナを境にホテル需要が減少した今、ゲストは多くの選択肢の中から、ホテルを選ぶことができるようになりました。ホテル事業者は「選ばれる」ため、ゲストのニーズに寄りそう必要が出てきたのです。

コロナを境としたニーズの変化には次のようなものがあります。

遠い観光地より近くの非日常感

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度重なる外出自粛要請により、遠い観光地に行くことがはばかれること、また、テレワークや自宅待機などで閉塞感を持っている方はかなり多いようです。

そういう方が「お手軽な旅行気分を味わいたい」と、近隣の観光や近くのホテルに泊まる「マイクロツーリズム」という概念が生まれています。身近な地域でちょっとした気分転換や、お手軽な旅行気分を味わってもらう工夫やアイデアを出して応えていくことで「選ばれるホテル」になるでしょう。

感染症対策の徹底

多くのホテルが、体温検査や消毒の徹底、フロントの飛沫防止パネルの設置などを行っていますが、そういった対策はもはや「当たり前」として認知されており、競合から選ばれるには、さらなるインパクトのあるアイデアが必要となっています。

リサーチ・コンサルティング会社のJ.D. パワー ジャパンが2021年に行ったアンケートによると、『ホテルが行う新型コロナ感染症防止対策としての重要度』の問いに対し、感染症対策の徹底を重視する割合が8割を超えました。

中でも、『スタッフとの接触が少ないチェックインや支払い方法(自動チェックイン機や自動精算機を使用)』が重要であると答えた人の割合が78%となっており、これは前年(2020年)の調査よりも12ポイントも上昇しています。感染症対策をするにしても積極的に新しいITシステムを導入するなど、変化するニーズに柔軟に対応するアイデアが求められているのです。

混在するゲストのニーズ

上記以外でも、現在では多様なニーズが混在しています。たとえば、「安ければ安いほど良い」 、「サービスはさほど求めないけど、広いところに泊まりたい」 など、どの層にターゲットを縛るかが大きなポイントとなるでしょう。

さらに、ゲストの意識も「安いからしょうがない」ではなく、「安いのに高いクオリティー」が標準となっており、従来の画一的なホテル運営では、コロナの収束後も競合に打ち勝つことができない状態に陥ってしまいます。新しいアイデアを打ち出し、ホテルの価値を高めていく必要があるのです。

コロナを乗り切るためのアイデア事例

ゲストに強いアピールができるのは、リニューアルオープンや大規模な改装でしょう。話題性もありますし、清潔感や新鮮さを大いにPRすることができます。

しかし、コストをかけなくてもアイデアによっては、ゲストの関心を引き「選ばれるホテル」になることも可能です。

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ホテルに付加価値をつける

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現状の設備に異なる価値を与えて、新しいニーズにアピールするアイデアもあります。

たとえば、テレワーク向けにロビーやラウンジを快適なコワーキングスペースとして開放したり、日中などの稼働していない客室を「仕事部屋」として時間単位で貸し出すこともできます。作業デスクの確保やネット環境の整備は必要ですが、付近のビジネスマンなど、今までホテルの利用を敬遠してきた層をも取り込むことができる施策です。

アイデアで話題となった事例

大手チェーンが客室に設置を開始し話題になっているのが「ホテル配車機能」を持つアプリです。フロントが集中する朝の時間帯など、タクシーを手配するだけでもフロント業務がひっ迫していたのが、ゲストが客室にあるQRコードを読み取るだけで簡単にタクシーの手配が完了します。ゲストに時間短縮など、他とは違う利便性を感じてもらえるサービスです。

また、徹底した無料サービスなど、カプセルホテルに新しいアイデアを次々と投入し、話題となっているのが進化型カプセルホテルといわれる「豪華カプセルホテル安心お宿」(SANZA CORPORATION)です。今や供給過多といわれるカプセルホテルですが、生き残るための新しい境地を切りひらくことで注目を集めていると紹介されています。

その他アイデア

  • 日中の3時間ほど、客室を仮眠などで使ってもらうお昼寝プラン
  • 日中の3時間ほど、大浴場と客室が使える日帰り温泉プラン
  • テレワーク向けのウィークリープラン
  • 特定の層へ料理のアピール
  • チェックイン・チェックアウトの時間の見直し

斬新なプランを提供する

現状のプランを見直し、ニッチなニーズに応えるプランで新たな層を取り込むことも可能になります。例えば、外出規制で遠くに旅行へ行けない人のために動画やVRを使って疑似宿泊体験ができるプランを実施しているホテルもあります。地元のお酒やホテルの料理を配送し、料理を楽しみながら付近の観光地を散策したり、花火大会やホタル観賞などを一緒に楽しむといもの。

家から離れられないけど、非日常感を味わいたい人にとっては、特別なプランとなるに違いありません。

アイデアで話題となった事例

札幌市内のホテルでは「樽生ビール付きの宿泊プラン」が販売されてニュースになったこともあります。客室に多くなビールサーバーが設置されており、部屋でくつろぎながら生ビールを楽しめるというもので、ビアガーデンに変わるアイデアとして注目されています。

その他事例

  • 地元住民の特別プランで気軽に宿泊してもらう
  • 介助つき高齢者向けプラン
  • ファミリープラン(小さいお子様歓迎プラン)
  • コロナ収束後に使える、お得なホテルの利用券やサービス券・回数券を前売りする

斬新なプランを提供する

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ゲストがホテルを選ぶ基準が「清潔感」や「感染症対策」の徹底が大きな位置を占めるようになっています。とはいえ、感染症対策をアピールすることはいまや常識となっているので、他のホテルとの差別化を図るためには、別のアイデアが必要です。

たとえば、昔なら「無機質」と思われがちだったセルフチェックインサービスの導入は、フロントスタッフとの接触がなく、感染症対策の最前線として認識されるでしょう。さらにスマートロックを導入することで、鍵の受け渡しや鍵の共用がなく、完全な「非対面」「非接触」であることを強力にアピールすることができます

その他感染対策事例

  • 徹底的な掃除の様子や特別な消毒方法をホームページやSNSで拡散する
  • ホテルとしての取り組みを、分かりやすく解説する
  • セルフチェックイン・無人ホテルであることを全面にアピールする
  • 感染症に対するアメニティーの充実をアピール
  • 客室ごとに強力な空気清浄機を設置し、アピールする

【まとめ】コロナを乗り越えるホテル運営のアイデア事例

ホテルの運営は、コロナ以前から起こっていたホテル形態の変容や、ゲストのニーズの多様化など、アフターコロナを期待した「現状維持」だけでは、もはや競合に打ち勝つことは難しくなっています。

ゲストのニーズに合わせた大規模改修を行うという方法もありますが、ターゲットを絞ったプランを作ったり、最新のITシステムを導入するなど、アイデア次第では現存の施設や設備を使って、新しい層にアピールすることも可能です。コロナを乗り越えるホテル運営のアイデアの参考にしていただければ幸いです。

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