事例

全国47都道府県、600店舗を展開するコワーキングスペースの店舗DX事例

自社アプリと鍵の連携による無人運営で小規模スペースや早朝・深夜帯の収益化を実現

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株式会社いいオフィス 

https://e-office.inc/

世界中のすべての人を「場所」から解放することを目指し、4つのフェーズにわけて事業を展開。その1つ目にあたるコワーキングスペース事業では、個人の「働きかた」を場所から解放するというミッションを掲げ、全国47都道府県に店舗展開。2017年の事業開始以降、独自のフランチャイズモデルで店舗数は業界No.1を誇る。電源・WiFiを完備し、仕事や勉強に打ち込める環境を整えているほか、有人型の店舗ではその場所で生まれるコミュニティを魅力とし、すべてのビジネスパーソンに仲間や新たなビジネスと出会うきっかけを提供している。

「いいオフィス」では、2021年12月時点で、南越谷(埼玉)、南麻布(東京)、豊見城(沖縄)の3店舗でTOBIRA、渋谷東口の1店舗でRemoteLOCK 8jをご導入いただいています。本インタビューでは、TOBIRAの導入背景から、自社アプリ「いいアプリ」と鍵の連携による店舗DXの詳細やその効果について伺いました。(インタビュイー:株式会社いいオフィス 開発ディレクター 藤井誠 氏)

 

(掲載内容は取材日:2021年12月8日時点の情報です)

ねらい

さらに身近なコワーキングスペース提供に向けて店舗数を拡大

  • 小規模なスペースでも運営が可能な無人型店舗を開発
  • 人件費を抑えた店舗運営モデルを確立
解決策

コワーキングスペースをDX化!セルフチェックインで無人受付を可能に

  • チェックイン/アウト、鍵の解錠、決済が可能な自社アプリを開発
  • 無人店舗運用に必要な仕組みをパッケージ化
効果

よりユーザーフレンドリーに。店舗様は無人化による営業時間拡大で収益化へ

  • コワーキングスペースの利用に必要なやり取りがアプリ上で完結
  • 日中は有人、早朝・深夜は無人とすることで本来は休館となる時間帯も営業可能に
Q.コワーキングスペース「いいオフィス」のブランドの特徴を教えてください。

A.「コンビニ」のように身近な場所に存在し、手軽でリーズナブルに利用できるコワーキングスペースです。

もともとは株式会社LIGというWEB会社でコワーキングスペース事業をはじめたところからスタートしています。コロナ前の2017年から事業を開始し、現在は株式会社いいオフィスとして主にFC(フランチャイズ)運営で、全国47都道府県と海外も合わせて600店舗以上展開しています。

出店の戦略としてはドミナント戦略をとっています。他社さんのコワーキングスペースはターミナル駅や主要駅の最寄りに出店していることが多く、いわゆる都市型・高価格帯の「デパート型」だとすると、いいオフィスは身近な場所でリーズナブルに利用できる「コンビニ型」だと言えます。

オープンスペース(いいオフィス 南越谷 by iiO)

オープンスペース(いいオフィス 南越谷 by iiO)

ミーティングルームや個室(シェアオフィス)も備える(いいオフィス 南越谷 by iiO)

ミーティングルームや個室(シェアオフィス)も備える(いいオフィス 南越谷 by iiO)

いいオフィスにはさまざまな店舗形態があるのですが、最も多いのが遊休スペースを利活用した店舗です。例えば、オフィス空間の70%をコワーキングスペースとして転用して、残り30%は自社オフィスとしてそのまま残すようなパターンです。テレワークが推奨される中で従業員の方の出社が少なくなり、オフィスには遊休空間が生まれやすくなりました。そうした遊休空間をコワーキング化したスペースは、自社の従業員が利用できることはもちろん、外部のお客様の利用があることで、新たなコミュニティが生まれるなどの相乗効果も期待できると考えています。

いいオフィスの店舗モデルとしては、遊休スペース活用型のほかにも、ビル一棟型、フロア貸型、自社ビル型など複数のモデルがあり、物件やスペースの所有者様のニーズに合わせたご提案が可能です。

最近では新たなモデルとして無人店舗に力を入れています。コワーキングスペース運営にかかるコストはテナント料や賃料に加え、当然ながら人件費も必要になります。いいオフィスではコミュニティづくりを重要視し、人と人をつなぐのはやはり「人」であるべきだと考えています。他方で、スペースの坪数が小さいとそもそもコミュニティが生まれづらく、かつ、無人運営する方が効率的に利回りをあげられるのも事実です。いいオフィスでは、受付、鍵、そして決済も含めた無人店舗運営が可能となるパッケージをつくり、店舗形態の新たな枠組みとしてFCオーナー様にもご提案していきたいと考えています。

インタビューに答える株式会社いいオフィス 藤井誠 氏
Q.入退室管理システムやスマートロックの導入を検討した背景には何があったのでしょうか。

A.「店舗開設・運営時のコストの削減」と「会員様の利便性の向上」を目指して、アプリ内で鍵と決済を一元管理できる新たな仕組みを構想していました。

店舗利用にあたってはアプリを用いたチェックイン/チェックアウトを行います。ただ、これまではWebアプリしかなかったため、利用者はスマホのブラウザ上でログインして利用する必要がありました。また、チェックインは、スマホに専用のQRコードを表示してもらい、それを店舗に設置されているiPadにかざすことで完了する仕組みでした。そのため、店舗様ごとにiPadを用意するコストが発生したり、iPadを置くためのスペースも必要となるという課題がありました。

そうした背景から、チェックインの利便性を高めたり、コストを削減するために、まずはiPadでの受付をやめることを起点に、新たな仕組みとオペレーションを検討していきました。

その中で生まれたのが、手持ちのスマホ内で動作するネイティブアプリへのリニューアルと、QRコードをスマホで「表示する」のではなく「読み取る」という発想です。同時に、より身近なワークスペースとなるための店舗戦略として、小規模なスペースでも運営しやすい無人型の店舗の拡大を目指していたため、入店時の鍵についてもアプリ内で完結できないか、調査、検討していきました。

Q.数ある入退室管理システムの中で、なぜTOBIRAおよびRemoteLOCKをお選びいただけたのでしょうか。

A.ほかの入退室管理システムと比べてTOBIRAは圧倒的に解錠スピードが早く、かつ、自動扉にも使えることが決め手でした。

店舗設計担当が、入退室管理のコンサルタントなど行う株式会社ASSURE(アシュア)さんと以前より知り合いで、ASSUREさんに無人運営の相談をしたことがきっかけでした。APIで自社アプリとの連携が行え、かつ、実績があって信頼できる入退室管理システムとして紹介されたのがTOBIRAです。

それをうけ、他社のシステムも含めて実際に試してみるなどしたのですが、TOBIRAはほかと比べても圧倒的に解錠のレスポンスが早い印象がありました。API連携できるスマートロックや入退室管理システムはほかにもあったのですが解錠操作をして実際に扉が開くまでのタイムラグがTOBIRAだとほとんどなく、かつ、自動扉にも導入できる点は居抜きの物件も多いシチュエーションにおいては、かなりアドバンテージがありました。

インタビューに答える株式会社いいオフィス 藤井誠 氏

あえてネガティブなポイントをあげるとすると、他社よりもランニングコストは安い一方で、工事費用がかかるので初期導入コストがやや高い点は社内で議論になりました。ただ、開発チームからは自社アプリとTOBIRAの連携は全く問題なく行えたという話があがってきたり、ビジネスの面でもTOBIRAの営業担当者が親身に相談にのってくださったこともあり、TOBIRAを活用することを決めました。

Q.リニューアルされたアプリ上でTOBIRAをどのように活用いただいているのか教えてください。

A.店舗に設置されたQRコードをアプリ上で読み込むことでセルフチェックインでき、そのままアプリ上で鍵の解錠が可能になる仕組みを開発しました。

リニューアルしたスマホアプリの「いいアプリ」では、以前のWebアプリとは異なり、毎回ログインする必要がなくなったり、表示スピードや読み込みも早くなったことでユーザビリティが格段に向上しました。チェックインの仕方も新アプリの場合は、店舗に貼ってあるQRコードを読み込むだけでスピーディーにチェックインできるようになり、無人店舗や無人の時間帯はそのままアプリ上で鍵の解錠まで行えるようになりました。

いいオフィスの新アプリ「いいアプリ」利用の流れ

出典:いいアプリ ティザーサイト

自動扉のエンジン部分に当社のアクセスコントロールシステム「TOBIRA」

自動扉のエンジン部分に当社のアクセスコントロールシステム「TOBIRA」が接続されている

また、以前のアプリにはチェックアウトという概念がなかったので、料金は事前のチケット購入制でしたが、新アプリではアプリ上でチェックアウトを行うため、利用時間に応じて最も安いプランが自動で適用されるようになりました。新アプリではこれまで以上にユーザーフレンドリーになっていると思います。

いいオフィスの新アプリ「いいアプリ」

出典:いいアプリ ティザーサイト

Q.TOBIRAの活用により、これまでの店舗運営から変わったことはありますか?

A.本来は休館となる時間帯に無人営業できることで、会員様にはさらなるサービス提供が可能になりましたし、店舗にとっては売上の向上にもつながっています。

複数施設の鍵を一元管理したり、入退室履歴の取得や、何時から何時まで利用できるというようなスケジュール機能など、TOBIRAがもともと持っている機能が豊富で使いやすいと思いますし、当社がやりたかったことをAPI連携で柔軟に対応できることがTOBIRAの良さだと思います。

スタッフ有人の店舗でも夜間など一部の時間帯は無人営業になる場合があります。TOBIRAを導入している店舗ではスケジュール機能で自動施錠し、かつ、オートロック機能で会員様が出入りしても施錠状態を継続できるので会員様や関係者以外は入れないようになっています。鍵の開閉を営業時間に合わせてシステム上で柔軟に設定や変更できる点はとても便利だと感じています。

インタビューに答える株式会社いいオフィス 藤井誠 氏

土日は本来は休館もしくは有人対応する必要がありますが、TOBIRAを導入して無人化することで、曜日や時間を問わず営業できます。これにより、月額会員様の利便性を高めることができますし、経営面でも人件費がかからずに純粋に営業時間が伸びた分の売上が向上するので非常に助かっています。

店舗モデルとしても「いいアプリ」とTOBIRAのシステム連携が実現したおかげで、新たな提案、例えば「コンテナを利用したアウトドア型」や「倉庫型」のコワーキングスペースの提案も可能になり、さらに事業の幅が広がったと思います。

Q.今後の「いいオフィス」の展望について教えてください。

A.今後もユーザー様目線での店舗設計に注力することで、場所に縛られない「働きかた」を提供していくとともに、その次のフェーズとして場所に縛られない「つながり」を創出していきたいと考えています。

今回のTOBIRAと「いいアプリ」の連携もそうですが、今後もユーザー様目線での店舗設計に力を入れていきたいと考えています。店舗数はもちろん、店舗形態としても作業に集中したいときや早朝、深夜などの時間帯は無人店舗、その場で生まれるコミュニティを味わいたいときは有人店舗というように、ユーザー様の好みに合わせてご利用いただければと考えています。

今後はアプリ上にSNS機能を追加する予定です。自分の顔写真や職種、仕事の経歴などを載せて会員様間でメッセージが送れることで、店舗の垣根を超えて会員様同士が気軽にコミュニケーションできるスペースを提供していきます。実店舗はありつつもオンライン上でのコミュニケーションスペースを作ることで会員同士のつながりが生まれて、それがきっかけにどこかの店舗に集まっていただいて、リアルのコミュニケーションも生まれることを期待しています。

また、緊急事態宣言が解除されてからも企業様からのお問い合わせが増えており、従業員の方々に快適なワークスペースを提供するニーズの高まりを感じています。私たちは企業様向けサービスにも注力しています。例えば、従業員の方々が無駄なく効率的に全国の店舗をご利用いただける「法人シェアパスポート」をはじめ、領収証や請求書を瞬時に発行できる機能や利用状況が分かる管理画面など。

働く場所のご提供だけでなく、人事・総務・労務などの管理部門における業務効率化やコスト削減にもつながる仕組みをご提供することで、企業における働き方改革の推進にも貢献していきます。(いいオフィスの法人契約やFC店舗出店に関する各種お問合せはこちら

まるで自然の中にいるような緑が溢れるオープンスペース(いいオフィス 南越谷 by iiO)

まるで自然の中にいるような緑が溢れるオープンスペース(いいオフィス 南越谷 by iiO)

*QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

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