共通の暗証番号による 客室・付帯施設のシームレスな利用を実現


株式会社楽帆 様
ホテル・旅館に特化した事業再生コンサルタント事業を中心に、地方の観光事業や雇用の創出を目的とした地方創生事業を展開。「事業のゆりかごから墓場まで」をコンセプトに不動産の取得・管理、事業の運営・管理を一貫して行う。現在は和歌山県白浜町を拠点として、デジタルトランスフォーメーションを取り入れた周遊型滞在観光に取り組んでいる。
和歌山南紀白浜に「暮らすように過ごす」をテーマに2024年10月にオープンした「スプリングス白浜」は、観光客だけでなく地域の方が普段使いするような観光施設を目指した複合商業施設です。南紀白浜空港から車で8分という好立地に、焼きたてのパンの香り漂うベーカリーホテル、わんちゃんが主役のリゾート施設ドッグホテル、さらに温泉、足湯など様々な楽しみ方ができるエリアが集約されています。同施設のホテル客室および付帯施設に、セルフチェックインシステム機能をもつMujInnと連携し暗証番号で解錠可能な「RemoteLOCK 8j」「TOBIRA」を導入した理由を伺いました。
インタビュー:
株式会社楽帆 代表取締役CEO 北村 尚武 様
株式会社楽帆 ディレクター 長野 健一 様
取材協力:
株式会社 ゴールドバリュークリエーション 代表取締役 金見 義教 様
(掲載内容は取材日:2025年3月5日時点の情報です)
課題 |
客室や付帯施設利用時のストレスの緩和
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解決策 |
フロントレス化と付帯施設を含めたキーレス化
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効果 |
鍵の手間のない「暮らすように過ごす」滞在を実現
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- Q.スプリングス白浜のコンセプトについて教えてください
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A.「暮らすように自由に過ごす空間」を提供することがコンセプトです
スプリングス白浜は「暮らすように過ごす」をテーマに、分かりやすくストレスフリーな利用が可能であり、観光客だけでなく地域の方も普段使いできる地域と一体となった施設を目指しています。
▲スプリングス白浜の施設マップ スプリングス白浜には、足湯や日帰り温泉、2つのコンセプトホテル、ドッグランがありますが、宿泊では食事を付けていません。施設内で提供された食事を食べるのではなく、どんどん町に繰り出して地域の飲食店を利用していただくことで、この場所でしか食べられない料理や食材を楽しんでいただきつつ、地域活性化につなげたいという思いがあります。
▲ドッグホテルの様子。ワンちゃんが主役となるワンちゃんファーストのリゾートホテル。施設内はゲージに入れることなく移動でき、設備もワンちゃん目線で最適化されている。 ▲ドッグホテル内には、温泉歩行浴付き専用リラグゼーションマッサージなど、ワンちゃんのための世界的にも珍しい設備を備える。 ▲ベーカリーホテルの様子。毎朝スクラッチ(手作り)で焼き上げるパンの香りとともに目覚めるパン好きのためのホテル。 ▲ベーカリーホテルの1階部分は宿泊客だけでなく、誰でも会議室、共有キッチン、トースターバー等を無料で利用できる。昨今は、宿泊施設に泊まることだけではなく、地域で過ごすことが「旅の目的」になることが多いと考えています。
施設を盛り上げていくためには、観光のお客様をホテルを目的地にして呼び込むだけでなく、地域とのつながりを強く持ち、宿泊客の観光地周遊や雇用の創出による地域の活性化を通じて、観光地域全体で面的にお客様を呼び込んでいくことが重要です。
▲客室内や共有部に設置されたスマートテレビには、近隣のおすすめの飲食店の情報など、周遊観光に役立つ情報「地域カレンダー」が流れる。画面上のQRコードを読み取ることで、自分のスマホからもアクセスが可能。まずは、白浜を目指して観光に来ていただき、素泊まりならここがいい!と選んでいただける目的地にしていきたいと考えています。
- Q.セルフチェックインとキーレス解錠という、フロントレスの仕組みを導入した理由を教えてください
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A.旅前、 旅中、旅後をスマホ一つで完結できる旅行スタイルを実現するためです
チェックイン・アウト時に行列に並ぶ必要のない、分かりやすくストレスフリーな旅行の提供をしたいと考えます。
旅前にはスマホで旅行先の情報を瞬時に取得・計画し、移動中にフロントの事前チェックインを行い、ホテル到着後は数秒でセルフチェックインが完了することで、旅行者は自分のタイミングで自分の旅ができる、という世界観を目指しています。
また、地方の観光業では働き手不足の問題が顕著です。新しい施設を作るのであればフロントのチェックインは簡素化したいと考え、MujInnのシステムありきで施設の計画を進めていました。
▲ベーカリーホテルのセルフチェックインフロント。お客様自身に操作していただくことで人件費の削減と省力化、多言語対応に大きな力を発揮している。(写真左がMujInnを提供するゴールドバリュークリエーションの金見代表)MujInnは、大規模な投資をすることなくタブレット端末でセルフチェックインの仕組みを導入出来ることが、大きなメリットでした。 お客様ご自身に操作していただくことで人件費の削減と省力化につながり、また多言語での案内もインバウンドのお客様対応に非常に役立っています。
▲事前チェックイン済みの場合、チェックイン番号の入力とかんたんな操作のみで宿泊手続きは完了。客室や付帯施設を解錠するための暗証番号が表示される。▲客室に設置されたRemoteLOCK 8jの様子 ※RemoteLOCK 8jは販売を修了しました。(後継はRemoteLOCK 9jを販売中)
- Q.RemoteLOCKの導入の決め手を教えてください
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A.付帯施設の利用のストレスを減らすためにRemoteLOCKが必要でした
施設を利用する上で、鍵の手間があるとサービスの品質が下がると考えています。一度体験してみるとよくわかりますが、「暮らすように過ごす」ためには、付帯施設を鍵のストレスなしに利用できることが非常に重要です。
▲宿泊客であれば、客室と同じ番号で温泉施設を利用できる。 ▲ドッグランも共通の暗証番号で利用可能 RemoteLOCKは、MujInnの金見代表からのご紹介をきっかけに知りました。ホテルの客室の暗証番号だけではなく、日帰り運用時 (日帰り温泉、 ド ッグラン、ドッグウォッシュ) にもシステムと連動し暗証番号を発番しています。これからのスタッフレスな営業への対応と防犯上の観点からも安心して利用できます。
また、RemoteLOCKを実際に利用してみると、人ごとに・時間ごとに使用できる場所の指定が出来ること、番号の利用履歴を確認できるので施設の利用状況が分かりやすいことなどが良い点でした。お客様からの反響として使いづらいといった問題は発生しておらず、暗証番号を1つ覚えればよいという点が便利であり、物理鍵だと一定割合で必ず発生していた鍵紛失が起きないこともメリットです。
一方で、どうしてもデジタル機器に不慣れな年配のお客様は、ご利用時に戸惑われることもあります。万が一のトラブル時には同じ建物内の楽帆オフィスにいるメンバーが対応するというオペレーションを行っています。
- Q.今後のRemoteLOCKに期待することを教えてください
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A.「地方創生」まで見据えたオープンイノベーションの展開を期待します。
「地方創生」とは労働者不足、高齢化社会といった社会課題を事業で解決することです。
地方の観光施設で、フロントや予約対応のためのスタッフを遠くから呼んで来てもらうのはコストがかかり、事業の持続性も十分でありません。フロントレスで持続可能な施設運営を実現し、地域内の雇用を創出できる環境を整えていくべきです。
将来的には、観光地の街中での過ごし方まで変えていける力がRemoteLOCKにはあると考えています。例えば、観光地で必要となる足の役割を担うセルフモビリティも「鍵」(ここでは、利用者の識別と認証)の問題を解決できれば乗り捨てを実現でき、利便性を高め、周遊観光を促進できます。
鍵がストレスフリーになることが、観光地にどれほどの影響を与えるのかを自覚し、「社会問題を解決していく」という使命感をもった今後の展開を期待します。
- Q.今後の展望を教えてください
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A.「暮らすように自由に過ごす空間」を展開していきます
「暮らすように過ごす」体験をしていただけるスプリングス白浜のような施設を全国に展開していき、地域との連携を深めて地方の滞留人口・関係人口の創出に寄与したいと考えています。
また今後、スプリングス白浜内でもシェアオフィス事業も計画しています。ホテルのチェックインだけでなく、シェアオフィスへもスムーズに入室・利用できるための仕組みや、現地決済時のタッチ決済やQRコード決済など、利用シーン全体の利便性を高めるための検討を進めて行きます。