完全無人書店「ほんたす」の入退室管理をQRコード解錠で実現
日本出版販売株式会社 様
https://www.nippan.co.jp/
1949年の創業より、書籍・雑誌の流通を通して日本の出版流通のインフラを構築してきた出版販売(取次)会社です。 「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける。」というグループ経営理念を掲げ、2023年9月には東京メトロ溜池山王駅構内に、持続可能な書店モデル実現に向けた実証実験として、完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」をオープンしました。
完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」(以下、ほんたす)はLINEアプリを活用した入退店管理システムを採用し、「TOBIRA」を2台導入いただきました。持続可能な書店のモデルとして、生活者と本とのリアルなタッチポイント創出を目指す「ほんたす」において、無人運営に注目した背景や、スマートロックの導入を決めた理由、今後の展望について伺いました。
インタビュイー:日本出版販売株式会社 南 光太郎 氏
(マーケティング推進部 開発課 係長 兼 ほんたす ブランドマネージャー)
(掲載内容は取材日:2024年4月24日時点の情報です)
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- Q.はじめに、「ほんたす」の概要・コンセプトについて教えてください
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完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」は 2023年の9月に、東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅構内(8番出入口)にてオープンしました。「ふらっと、サクっと、旬を手に。」という言葉のとおり、書店に馴染みのないお客様でも気軽に手にとっていただけるような店づくりを行っており、品揃えや陳列は「1分でトレンドがわかる」を意識して日々編集しています。
店舗の意匠面では空間デザインやブランディングが得意な株式会社丹青社 様と連携し、書店をあまり利用しない人でも気軽に立ち寄れるような、スマートな店舗設計を意識しました。書店運営において大きなコストである人件費を抑えつつ、「旬」の本を多数取り揃えて、新たな読者需要の獲得を目指しています。
無人でも安心して利用できるスマートな空間設計は「ほんたす」ならではの特徴だと思っています。LINEアプリを活用した入退店のほか、店内に設置された多数のカメラによる見守り、セルフレジを組み合わせることで、営業時間中の完全無人運営を実現しています。
- Q.無人書店「ほんたす」ブランドを立ち上げた経緯について教えてください
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取引先である書店 様の経営を持続可能なものにするため、ブランドの立ち上げ前から書店の業態開発に関わる業務を担当していました。その過程で、社内ベンチャー的に「無人書店を開業する」取り組みが始まりました。
全国的に書店数が減少しているなか、多くの書店 様が人件費の高騰や後継者不足といった課題を抱えています。「ほんたす」の立ち上げにおいては、無人書店としてローコストを追求して「人件費ゼロの運営モデル」を目指すだけではなく、例えば来店するだけでも価値が得られる来店ポイントの仕組みなど、「読者需要を獲得していくための新しい価値づくり」を意識しています。
将来的には「無人運営の仕組み・ノウハウ」をソリューション化し、取引先に提供することで書店の持続可能性を高めたいと考えています。
- Q.「ほんたす」の第一号店を溜池山王駅にした理由はありますか?
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(補足:直結の国会議事堂前駅の乗降客数を含みます)
駅で書店が成り立つための基準の一つは「一日あたり3万人以上の乗降客がいること」と言われています。
生活動線上でふらっと立ち寄りやすい店舗づくりを考えた末に、乗降客が多い溜池山王駅の駅ナカへの出店はとても魅力的でした。駅ナカの店舗を無人化するということで、駅の管理者からのご要望への対応、消防や緊急時の対応方針づくりなど、営業を始めるためのハードルは非常に高かったですが、苦労はありつつ無事に運営することができています。
- Q.スマートロックの導入を検討した背景・課題感について教えてください
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ふらっと入れる書店づくりを目指していたので、本来であれば扉の設置も望ましくありませんでしたが、監視カメラだけではセキュリティの確保が不十分で、ドアセキュリティとしてスマートロックの導入が必要だと考えました。そして、「何かをカギの代わりにして入店できる」スマートロックを調べていく過程でRemoteLOCKを見つけ、最終的に自動ドアの制御ができ、QRコードで解錠可能なアクセスコントロールシステム「TOBIRA」を選びました。
現在は以下の3つの方法でセキュリティの確保しています。
①店の外からも目が届くように売り場を作る
②入退店を管理し、お客様の滞在時間を把握できるようにする
③複数の防犯カメラでリアルタイムに監視する
- Q.入店までの流れを教えてください
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初回は店頭に掲示されたQRコードを読み取り、LINEミニアプリによるデジタル会員証を発行します。あとはアクセスコントロールシステム「TOBIRA(トビラ)」のリーダーに会員証のQRコードをかざすだけで入店できます。次回以降は、LINEから会員証を開くことができ、入店時・退店時にリーダーへかざします。
この会員登録の仕組みは、RemoteLOCKから合同会社Oblivion様が提供する「Lメンバーズカード」を紹介していただいて実現しました。入店のハードルを低くするために、ニックネーム登録のみでデジタル会員証を発行できる点が魅力です。下記のQRコードを読み取っていただければ会員登録できますので、ぜひお試しください。
LINEアプリによるデジタル会員証と、QRコードを活用した入室管理の組み合わせにより、無人でもスマートに入店できる仕組みになっています。
- Q.利用者の反響はいかがですか?
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一般的に書店は商品のロスが多い業態と言われていますが、「ほんたす」はオープン以来ずっと、商品のロスは発生していませんし、無人に起因するトラブルも起きていません。入店後の購入率は比較的高く、特にビジネス系の書籍がよく売れています。ユーザーの皆さまからいただいたご意見を反映させながら売場の改良を続けています。
売上の更なる向上等、今後の課題はありますが、「持続可能な店舗運営」のモデルケースとして確立できたのではないかと思います。
- Q.今後の展望を教えて下さい。
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まずは第一号店である「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」の売上を伸ばしつつ、今後、直営店の拡大と、書店様や他業種小売店様へのソリューション提供によって、3年で50店舗まで拡大させていきたいです。
「生活者と本とのリアルなタッチポイント」を創出する必要がある、という市場課題は多くの出版社 様・書店 様から温かい応援の声をいただいております。業界全体として、人件費の高騰や後継者不足といった書店が抱える課題に対するソリューションの一つとして、お取引先の書店 様にご提案できればと思います。
RemoteLOCKチームよりコメント
ほんたす2号店「あゆみBOOKS杉並店 supported by ほんたす」のオープンも決まりました。多数のメディアにも取り上げられている「ほんたす」の今後が楽しみです。無人運営による店舗経営にご関心がある方は、ぜひRemoteLOCKまでお問い合わせください。
(参考:日本出版株式会社 様 ニュースリリース)
なお、店舗のすぐそばにはRemoteLOCKの看板広告を掲載しています。よろしければこちらもぜひご覧いただければ幸いです。