Wi-Fiが使えて天候に左右されない動作の安定性が選択のポイント
株式会社Sanu 様
ブランドコンセプトはLive with nature/自然と共に生きる。⼈が⾃然と調和し、楽しく健康的にこの地球で暮らし続けるため必要なことを、新しい⽣活様式の提案を通じて世の中に発信している。その一つがSANU 2nd Home。自然の中に第2の家を持つことを手軽に実現できるサブスクリプション型のシェアリングサービスである。2021年秋に八ヶ岳と白樺湖に国内初となる施設(SANU CABIN)をオープン。今後、エリアと施設を次々に拡大していく計画である。その革新的なビジネスモデルは宿泊業界だけでなく、不動産業界、IT業界、金融業界など多方面から注目を集めている。
Sanu様には本年秋にSANU 2nd Homeの開業当初からRemoteLOCKを採用いただいています。今回は、国内初といわれる業態のSANU 2nd Homeについて、そのビジネスの概要や今後の展望、さらにRemoteLOCK導入に至った背景などについて下記のお二方にインタビューさせていただきました。
株式会社Sanu CEO 福島弦様(写真前列左から3番目)
株式会社Sanu プロダクト統括マネージャー 石川貴彦様(写真後列右から1番目)
(掲載内容は取材日:2021年12月20日時点の情報です)
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- Q.株式会社Sanu様、およびSANU 2nd Homeについて教えてください
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会社名とブランド名のSANUとは、サンスクリット語で、「山の頂(いただき)」、「太陽」、「思慮深い人」の3つの意味があります。ブランドコンセプトとしては「Live with nature/自然と共に生きる」を掲げており、どのようにして都会で暮らす人と自然をつなぎ合わせることができるかということをサービスのテーマとしています。
その中で、SANU 2nd Homeはいわばセカンドホームの月額サービスになります。月額5万円(消費税別)お支払いいただくと、首都圏から2~3時間ぐらいの自然の立地の中でいつでも気軽に泊っていただけるというサービスです。
市場の背景としては、別荘を所有している人が人口の0.7%、さらに不動産として12カ月のうちの1カ月しか使われていないという状況があります。このようにうまく活用されていない不動産というものを、どうやって一人でも多くの人に利用してもらうかという観点から、特定多数によってシェアリングすることで、滞在期間中はあたかも自分の別荘であるかのように使えるようなサービスを作りたいと考えていました。
- Q.SANU 2nd Homeの開始にあたってお持ちだった課題を教えて下さい
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一か所ではなく、自然の立地の分散するところで複数の施設を作っていくので、どうやってその分散した施設(SANU CABIN)を管理していくのかということが課題でした。法律的にもテクノロジー的にも5年前、10年前だったら実現できていなかったところに、2018年の旅館業法の改正があり、一方ではRemoteLOCKに代表されるようなテクノロジーの進化があって、はじめて実現できるサービスだったと考えています。
- Q.RemoteLOCKはどのようなきっかけでお知りになりましたか
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もともとはSQUEEZEさんからのご紹介でした。SQUEEZEさんの宿泊運営管理システムであるsuitebookを導入しようとした際に、そこと連動性の高いスマートロックということでRemoteLOCKを紹介いただきました。都心の民泊と異なり、自然の中に分散して立つSANU CABINは、積雪の環境下で正常に動作するかといった心配や、何かあったときに東京から急には駆けつけられないなどの制約があります。そのため、スマートロックとしての品質の信頼性が担保されていることが重要です。
我々としては、その条件に応えてくれたRemoteLOCKの導入で、シームレスな体験がデザインできていると感じていますし、良い評判もいただいています。自分たちが作っているのはホテルではなくセカンドホームなので、24時間365日かつ雪が降る中でも、自宅と同様にスムーズに鍵が開けられるということは、利用者にホームと感じてもらうための入り口のところであり、非常に重要なポイントだと考えています。
- Q.他社のスマートロックも比較検討されたと思いますが、その辺はどのような状況でしたか?
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基準点は大きく4つぐらいあったと思います。
まず一つ目は、単体で安定的にWi-Fiが使える点です。他社製品は、ゲートウェイのような別の機器を介して、Wi-Fiに接続することがほとんどです。そのように部屋の中に機器を増やしたくなかったので、スマートロック自身がWi-Fi接続する方が好ましいと思いました。
二つ目は、自社のアプリとAPI連携して鍵となる暗証番号の発行ができるかどうかという点です。製品によっては閉じたインターフェイスで専用のアプリからしか鍵の発行ができないものもありますが、そうではなくて、汎用のAPIを通して鍵の発行や有効期間の設定が可能であることが必要でした。我々としてはSQUEEZEさんのsuitebook経由でそれが実現できています。
もう一つはテンキーの暗証番号で解錠が可能であるという点、あとは天候への対応という点です。ホテルのように建物の中ではなく、自然の中に立地した一棟独立型の施設のドアに直接取り付けることになるので、天候の変化や雨風を耐えしのげることが重要でした。
以上のような点を加味して、他社製品と比べたり、実際に機器を取り寄せていろいろテストしました。RemoteLOCKを採用した理由は、御社からお借りした機器が動作の安定性が高かったことと、お借りする際のご担当者とのやり取りを通じて導入後のサポートも良さそうだと感じたことです。
- Q.RemoteLOCK 7i を「いつ」「どの施設に」「何台」導入し、どのように活用されているか、今後の予定を含めて教えてください
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現状は、本年11月から八ヶ岳、白樺湖の2拠点に合計5施設5台導入しています。今後は、来年春ごろまでに7拠点50施設への導入を予定しています。その先は事業計画上のことになりますが、3年後の2024年に400~500施設にしていく計画です。
サブスクの会員は、枠数に対して10倍ぐらいの応募があったので、抽選で会員になっていただいています。来年春に向けて拠点がどんどんオープンしていくので、それに合わせて会員枠を増枠していく予定です。希望者には空きが出次第ご案内するためのウェイティング登録をしていただいているので、開発を急いでいます。
今は企業が厚生寮や保養所を所有し資産としてバランスシートに計上する時代ではないと考えています。仕事で利用することもできるし、休暇で利用することもできる福利厚生施設のニーズは確実にあって、法人から問い合わせも来ています。今後法人向けとしても取り組んでいこうと考えています。
- Q.RemoteLOCKの管理にかけられている時間は現在どれくらいですか?
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運用し始めた頃、最初の設定(Wi-Fiの登録と同期のタイミング)がちょっと難しいという印象を持ちましたが、現在は初期設定を1施設1時間ぐらい、早ければ30分ぐらいで行っています。設定してしまえば遠隔で管理できますし、我々はAPI連携で自動的に鍵の発行を行っていますので、それ以降は機器に触ることはありません。
利用者からの問い合わせにも、特にRemoteLOCKの管理システムに入ることなく、提携しているsuitebookの管理アプリや自社アプリで暗証番号を確認できるので、手間は全然かかっていません。実際これまでオペレーション上で解錠できなくて苦しんだケースは0件です。
我々の場合は寒冷地なので、電池の残量には気をつけています。11月から今までで一番減っているもので71%ぐらいです。現在は持ちの良いリチウム電池ではなくアルカリ電池を使っていますが、それでも実感として3カ月以上は持ちそうな感じではあります。運用周りのことでは随時RemoteLOCKのサポート窓口にいろいろ教えていただいて助かっています。
- Q.管理者として便利だと思われる機能、会員の方に利便性を感じていただけている機能があればお聞かせください。
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管理者として便利に感じるのは、やはり遠隔監視機能です。Wi-Fiの強度も把握できるし、だれがいつどの鍵で入室したのかも履歴で追跡できます。現地に行けない分散的な我々のサービスに合っていると感じています。会員さんに対しての利便性については、物理的なインターフェイスを評価しています。テンキーボタンを押している感覚がしっかりしているので押し間違いの心配がなく、また開く時にピッと鳴ってすぐに入れることが聴覚的に感じられて、安心感を持ってスムーズに入室していただけていると思います。
後付け型のスマートロックだと、中から外に出るときに一度解錠して開けなければならないのですが、RemoteLOCK 7iの場合は中からいつでもすぐに開けられるということが実現できているという点も地味に良いポイントだという気がします。
- Q.現地(拠点)には管理人はいらっしゃらないのですか
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常駐しているスタッフは0人です。とはいえ旅館業法上10分で駆けつけることのできる体制の構築は必要なので、現地の別荘管理事業者やホテル事業者に委託を行なっています。ただ、お客様にトラブルがあった場合の一次受付は24時間365日稼働のコールセンターで対応していて、どうしても駆け付けなければならなくなった場合はスタッフが駆け付けるということにしています。
- Q.RemoteLOCKを通じた御社の今後のさらなる展開やご要望を教えてください
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引き続きユーザーにとってより良い体験を追求していくという観点から、新しい施設にはより良い体験ができる製品を導入していきたいと考えています。今は山がメインですが、山ではない場所に施設を展開する計画もあり、その場所に対応する別のタイプの製品も検討したいと考えています。例えば、海に近い施設では可動部の無いRemoteLOCK 8jの方が適しているといったご提案もすでに御社からいただいています。
- Q.最後に、Sanu様の今後の展望を教えて下さい
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今は本当に一部の人しか享受していない自然の中で暮らすという体験、セカンドホームがあるという体験をどうやって一人でも多くの人に提供していくかということを常に考えています。不動産を所有できる人は経済的に限られているので、シェアリングによって不動産を有効活用することが重要な観点になります。
シェアリングのカギを握るのは施設の「鍵」をどうシェアするのかという点です。これは極めて重要な要素であり、RemoteLOCKがあることで、特定多数の人が一つのキャビンを利用したいときに利用して、自分のセカンドホームのような体験が実現できていると思います。
より便利に、より数を広げていくということが、今後の我々にとって大切なポイントです。現在は月額5万円の料金設定ですが、これが最終的に3万円までになってくると、一気にマーケットが拡がるのではないかと考えています。クオリティを担保しながら施設をたくさん作り、コストを落としていくことは一人でも多くの人に体験していただくための重要な要素です。施設の数が増えれば、無人で管理する効率も上げることができます。人件費負担が軽くなることで、月額料金も下げることができ、体験できる人の数も増やしていける、というサイクルを実現することが我々の目指すところです。