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公開日2025.06.30

変わる学生証?大学施設でのDX化の事例をご紹介します!

ビジネス社会と同様、現在大学教育の場においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)が強く求められています。今回は、大学にDX化が求められるようになった背景と大学DXを考える上でのポイントについて解説するとともに、大学DXを推進するために役に立つシステムやツールを具体的にご紹介していきます。

日本社会におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)と大学

DX-1

第1章では、現在の日本社会全体におけるDXの状況を簡単に解説するとともに、その中で大学におけるDXがなぜ重要なのかについて論じます。

日本社会におけるDXの状況

オフィス街

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して社会やビジネスのあり方を変革することです。クラウド、AI、IoT、5Gなどのデジタル技術の進化により、変革のための基盤が整備され、近年さまざまな分野でDXが急速に進行しています。

また、新型コロナウイルスの影響により、リモートワークやオンライン教育をはじめとする非対面型のデジタルサービスが急速に普及し、DXの進展をさらに加速させました。ここでは、日本における4つの主要分野(行政、ビジネス、医療、教育)におけるDXの現状を簡単に紹介します。

① 政府・行政のDX

日本政府は2021年にデジタル庁を設立し、行政のデジタル化を推進しています。マイナンバーカードの普及、電子政府(e-Gov)の強化、自治体のデジタル化などが主な施策です。しかし、情報セキュリティへの懸念や人材不足などの課題があり、主要先進国と比較すると日本の行政DXは遅れをとっていると指摘されています。

② ビジネスのDX(企業のDX)

クラウド、IoT、AIなどの技術の導入が進み、大企業を中心にビジネスのデジタル化は着実に進められています。しかし、中小企業ではIT人材の不足、デジタル化への投資の遅れ、古いシステムからの脱却の難しさなどの要因によりデジタル化は必ずしも進んでいるとはいえず、企業規模によってDXの進捗に大きな差が生じているのが実情です。

③ 医療のDX

一部の医療機関ではオンライン診療や電子カルテの導入が進められていますが、導入コストの高さ、セキュリティ上の懸念、医療従事者のデジタルスキル不足などの課題があり、医療分野のDXは他産業と比べて進展が遅れているというのが実情です。日本の政府機関の統計からも、こうした課題が明らかになっています。

④ 教育のDX

デジタルイメージ-3

文部科学省が推進するGIGAスクール構想により、小中学校ではほぼ1人1台の端末環境が整備されました。高等学校では、文部科学省の主導のもと、デジタル分野における人材育成の抜本的強化が進められています。また、大学ではDXを活用して、教育機関としての機能や役割を刷新し、学生や社会のニーズに応える新たな価値の創出を目指す動きが見られます。一方で、教育分野のDX推進には、インフラ整備にかかるコスト、情報セキュリティリスク、教育者のデジタルリテラシー不足など、多くの課題も存在します。

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なぜ大学でDXが重要なのか?

大学

画一的なカリキュラムを基本とする小・中・高校と比べ、大学はより高度な学問と人材育成を担う機関であり、高い専門性を持つ個々の学生が多様性を尊重しながら学び合う場です。大学では、学生ひとりひとりが異なる専門領域や関心を持ち、自律的に学ぶことが求められます。そのため、こうした学習環境を支える重要な手段として、DX化は非常に重要です。例えば、通常の授業に加えて、オンライン学習、デジタル教材、AIを活用した学習支援などを導入することで、学生のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となります。

少子化が進む現在、大学は全国規模や国際レベルでの学生獲得競争の激化に直面しており、質の高い教育と特色あるカリキュラムの提供が不可欠となっています。さらに、社会の変化や学習者の多様化に対応するため、通常の学士・修士・博士課程に加え、社会人向けのリカレント教育コースや企業連携プログラムなど、多様な学びの機会を提供する必要性も高まっています。

こうした大学の課題を合理的に解決する大きな力となるのがDXです。データ活用による迅速な経営上の意思決定や戦略的な学生募集、AIやVR技術を活用した質の高い教育の提供、オンライン学習を最大限に活用した柔軟な学習環境の整備、さらには大学業務のDX化による経営効率の向上など、DXは柔軟性と適応力が求められる現代の大学経営に変革をもたらす重要な手段であることは間違いありません。

2. 大学のDX化を考えるための4つの視点

students group working on school  project  together at modern university, top view teamwork business concept

前章で述べました通り、大学のDX化は大学の教育や運営においてさまざまな革新をもたらします。本章では、これからの大学に求められるDX化の方向性とその効果について、具体的に4つの視点から解説します。

教育・学習環境の多様化・高度化

大学のDX化は、教育・学習環境の多様化を促進し、学生の多様なニーズに応じた柔軟な学びを実現するためのカギとなります。従来の対面授業に加え、オンライン授業やハイブリッド学習を導入することで、時間や場所にとらわれずに学べる環境を整備することが可能になります。特に、遠隔地や海外からの受講が容易になり、国際的な学習機会の拡大にも寄与します。

大学の教室

AIを活用した学習支援システムを導入すれば、学生ひとりひとりの学習進度や理解度に応じた個別最適化教育が実現します。従来の講義形式だけでは対応が難しかった、学生ごとの学習スタイルや習熟度に合わせた教育も可能になります。さらに、データ分析を活用することで、学生の学習行動を把握し、より効果的な学習計画を策定することもできます。

また、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用したバーチャル実験やシミュレーションを導入することで、より実践的な学びの機会を提供できます。例えば、医学・工学・自然科学などの分野では、実際の研究室や研究現場に行かずとも、高度な実験や実習を体験することが可能になります。

このように、DX化を推進することで、大学は学生が主体的に学べる多様な環境を整え、より質の高い教育を提供することが可能になります。大学のDX化は、大学がこれからの社会で求められる多様な人材を育成するうえで不可欠な要素となるでしょう。

キャンパスライフの充実

大学のDX化は、学生の学びの場としてだけでなく、キャンパスライフ全体をより豊かにするためにも重要な役割を果たします。デジタル技術の活用により、学生の利便性を高め、交流の機会を増やし、より快適な学習・生活環境を提供することが可能になります。

キャンパス2

まず、大学内の各種サービスのデジタル化によって学生の生活はより便利になります。例えば、授業の履修登録、成績確認、図書館の貸出管理、学食や売店のキャッシュレス決済などを一元管理できるスマートキャンパスアプリの導入が進めば、学生はスマートフォン一つでさまざまな手続きを簡単に済ませることができます。AIによって大学に関する問い合わせ対応を効率化し、学生が必要な情報に迅速にアクセスできる環境を整えることも可能です。

また、DX化は学生同士の交流や課外活動の活性化にも寄与します。例えば、バーチャルキャンパスの導入により、オンライン上でクラブ活動やゼミの交流が行える環境を構築することができます。特に遠隔地からの通学が困難な学生や留学生にとって、オンラインコミュニティの充実は大学生活の満足度を高める要因となります。また、SNSや専用プラットフォームを活用し、学内イベントやキャリア支援情報をリアルタイムで発信することで、学生が積極的に大学の活動に参加しやすい環境を作ることができます。

学生の健康管理やメンタルヘルス支援の分野でもDXの活用が期待されます。ウェアラブルデバイスを活用した健康管理、オンラインカウンセリングの導入、AIによるストレスチェックなど、デジタル技術を活用することで、学生が心身ともに健康で充実した大学生活を送ることのできる環境を整えることが可能です。

キャンパス2人-1

教職員の業務環境の改善

大学のDX化は、教職員の業務効率を向上させ、教育・研究活動により集中できる環境を整えるための重要な手段にもなります。 特に、事務手続きのデジタル化や教育支援システムの導入による授業運営の効率化は、DXによる変革の重要なポイントとなります。

パソコン、外、人

まず、事務手続きをデジタル化することで、教職員の業務負担を大幅に軽減できます。 例えば、出席管理、成績処理、履修登録、研究費申請などの業務をクラウドベースのシステムで一元管理すれば、煩雑な手続きが自動化され、事務作業にかかる時間を大幅に削減できます。 また、AIを活用した自動採点システムを導入することで、採点作業の負担が軽減され、より多くの時間を学生指導や研究活動に充てることが可能です。

さらに、LMS(学習管理システム)などの教育支援システムを活用することで、より質の高い授業運営が可能になりますし、 講義資料の配布、課題提出、フィードバックの提供をオンライン上で一元管理できるため、効率的な授業運営が実現します。 また、AIを活用した個別指導支援ツールを導入すれば、学生の学習状況をリアルタイムに把握し、適切なアドバイスを提供することも可能です。

このように、DX化を推進することは、学生だけでなく、教職員にとっても働きやすい環境を整備することにつながります。

大学経営の効率化

オンライン授業-1

大学経営においてDXは、データ活用による意思決定の迅速化や業務プロセスの最適化を促進する重要な手段です。特に、少子化による学生数の減少や国際競争の激化により、大学の経営環境は一層厳しくなっており、限られたリソースを最大限に活用するためにDXの導入は不可欠です。

まず、データ活用により戦略的な大学経営が可能になります。 例えば、学内データを一元管理するデジタルプラットフォームを導入することで、入学者数の推移、授業の履修状況、研究資金の配分などをリアルタイムで分析し、迅速な意思決定を行なうことが可能となります。 また、AIを活用した予測分析により、学生の動向や教育ニーズを的確に把握し、経営方針を柔軟に調整することができます。さらに、データを活用した戦略的なマーケティングによる学生募集の強化も期待できます。

業務プロセスの自動化・効率化もDX推進の重要なポイントです。 事務手続きのデジタル化を進めることで、入試、履修管理、成績管理、経理業務などの煩雑な事務作業を大幅に削減できます。 こうすることで、人材をより重要な業務や教育支援に振り向けることができ、大学運営の質の向上にもつながります。

さらに、オンライン授業の活用によって教室の使用を最適化し、施設管理コストを削減することも可能です。 また、各種システムの導入に際してクラウドサービスを活用すれば、学内サーバーの維持管理費を抑え、システム運用の負担を軽減できます。

3. 大学のDX化を効果的に推進するためのシステムおよびツールの紹介

Double exposure of businessman shows modern technology as concept

本章では、ここまで解説してきました大学のDX化を実際に推進するにあたって、頼りになるデジタルシステムやツールを具体的に紹介してまいります。

学習効果の向上と学習コストの軽減を両立:LMS(学習管理システム)

LMSはLearning Management System(ラーニング・マネジメント・システム)の略称です。学習管理システムとも呼ばれ、インターネットやパソコン・スマートフォンを活用して学習を行うeラーニングの基盤となるシステムを指します。

LMSの基本的な機能

  • 学習コンテンツの配信・管理
  • 学習者の成績や学習進捗の管理
  • 学習者同士や教員とのコニュニケーション支援
  • 講義の記録・共有
  • オンラインテストた課題(アサインメント)の実施

LMSは企業や医療機関の研修などでも広く活用されていますが、大学では授業運営の効率化、学習進捗の適切な管理、学習の柔軟性向上など、教育の質を高める目的で普及が進んでいます。特に、大規模な大学では、オンライン授業やハイブリッド学習の拡大を背景に、LMSが授業運営に不可欠なシステムとなっています。日本の4年制大学では、約7割がLMSを導入しているとされています。

LMSは、対象ユーザー、学習目的、システム形態などによってさまざまな種類があり、大きく「オープンソース型」と「ベンダー提供型」に分類できます。
オープンソース型は、プログラムのソースコードが公開されており、利用者側でのカスタマイズが可能なタイプです。代表的なものとして、「Canvas LMS」(アメリカ)、「Moodle」(オーストラリア)、「Open edX」(アメリカ)などがあります。ベンダー提供型は、企業が開発・販売しているLMSで、サポート体制が充実しているのが特徴です。代表的なものには、「Blackboard」(アメリカ)、「manaba」(日本)、「KnowledgeDeliver」(日本)などがあります。

導入事例

早稲田大学:「Moodle」、
慶應義塾大学:「Canvas LMS」(カスタマイズ)
東京大学:「UTOL(UTokyo LMS)」(自大学で開発)

大学教務の効率化と経営改善を実現:校務支援システム

校務支援システムとは、教育現場で扱うデータを電子化し、一元管理するためのシステムです。教務や学校事務の業務を効率化し、教職員の負担を軽減する効果が期待できます。

このシステムには、学籍管理、出欠管理、成績管理など、教員が個別に管理しているさまざまな情報を統合し、情報共有をスムーズにする機能が搭載されています。これにより、業務の効率化が図られ、教職員が生徒への指導やサポートにより集中できる環境を構築できるようになります。さらに、情報共有の迅速化により、生徒のトラブルや緊急時の対応がスムーズになる点も大きな特徴です。

UNIPROVE 学務/株式会社日立ソリューションズ・クリエイト

現在、各社からさまざまな校務支援システムが提供されていますが、その一例として、株式会社日立ソリューションズ・クリエイトが提供する「UNIPROVE 学務」を紹介します。

「UNIPROVE 学務」は、大学向けに開発された学務情報システムで、事務業務の効率化が期待できます。学籍・履修・成績・カリキュラム・時間割の情報だけでなく、履修申請、成績登録、シラバス登録の結果なども一元管理できるため、業務の効率化に貢献します。また、スマートフォン向けアプリも提供されており、学生がパソコンを開かなくても情報を確認できるようになったことで、利便性が向上しました。明治学院大学、関西学院大学、専修大学など、有名大学でも採用されており、広く活用されています。

学生の授業出席を効率的に記録し管理:出席管理システム

ある調査によれば、現在、授業での出席確認にオンライン方式を採用している首都圏の大学は90%を超え、全国的にも80%以上の大学がオンライン方式による出席管理を導入しているといわれています。

このようなオンラインでの出席管理を可能にしているのが出席管理システムです。オンラインで出席管理を行うことにより、学生の出席状況をリアルタイムで確認したり、欠席が続く学生を自動検出したりすることができます。従来の紙ベースの出席簿(教員が管理する出席簿、学生が提出する出席カード、署名形式の出席表など)や手作業による管理を置き換え、より正確で迅速な出席情報の収集と分析を可能にします。

キャンパス手帳/株式会社リコー

校務システムと同様に、各社から多様な出席管理システムが提供されていますが、その一例として、株式会社リコーが提供する「キャンパス手帳」を紹介します。

「キャンパス手帳」は、教員が流す音楽を学生がスマートフォンで受信することで、高精度な出席管理を実現するユニークなスマートフォンアプリ形式のデジタルツールです。従来、手間と時間がかかっていた出席確認を大幅に効率化し、その分の時間を授業に充てることが可能になります。

また、出席確認機能に加えて、ミニテストやクイック集計、投書機能などを備えており、学生の授業理解度向上や参加意識の向上を支援します。そのため、「キャンパス手帳」は大学だけでなく、専門学校、高校、学習塾などでも幅広く活用されています。

便利で安全なキャンパスライフを実現:スマートロック×ウォレットアプリ学生証

ウォレットXスマートロック

最後にご紹介するのは、便利で充実したキャンパスライフと大学施設のセキュリティを両立するソリューション「スマートロック×ウォレットアプリ学生証」です。

大学では、職員や学生、来校者が多く訪れ、教育施設や図書館、研究室などが利用されています。施設のセキュリティと入室管理が重要で、柔軟な入室権限を設定できる仕組みが必要です。この課題を解決するために、スマートロック「RemoteLOCK」とウォレットソリューション「KINCHAKU」を組み合わせた入室管理が提供されています。

キャンパス1

現在、多くの大学で学生証のデジタル化・アプリ化が進んでいます。「KINCHAKU」を活用すれば、そのような学生証をiOSおよびAndroidの標準アプリ(Appleウォレット・Googleウォレット)内で管理できるようになります。そこに、学内の施設の扉/ゲートに設置されたRemoteLOCKを解錠するためのQRコードや暗証番号を、細かく分類された入室権限に応じて正確に配信することができる、というのが基本的な仕組みです。

このシステムを導入することで、学生はウォレット内で学生証と施設入室用のデジタルキー(QRコード・暗証番号)を直感的かつシンプルに管理でき、利便性が向上します。 一方、大学の施設管理者は、入室管理をクラウド上で柔軟にコントロールできるようになり、セキュリティの向上や施設管理の負担軽減につながるというわけです。

この仕組みを、例えば出席管理システムと連携させれば、入室の記録と出席確認の情報を連結することができますので、教員の負担をさらに軽減することも可能です。拡張性、カスタマイズ性が高い点もこの仕組みの特徴です。

【まとめ】多様な可能性を模索したい、大学のDX化

一般的なビジネスは、シンプルに言えば「売り手」と「買い手」という二者の関係で成り立っています。しかし、大学の場合、「学生」、「保護者」、「教員」、「職員」など、さまざまなステークホルダーが関与しており、その構造はより複雑です。

このような複雑な環境では、一口にDXと言っても、単純なデジタル化にとどまらず、さまざまな視点から多様な可能性を模索する必要があります。そういった意味からも、本記事が少しでも読者の皆さまのご参考になれば幸いです。

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