公開日2023.12.11
泊食分離の新しいカタチ。ファミレス併設のホテルが増えている理由は?
【泊食分離】ファミリーレストラン、いわゆる「ファミレス」を併設するホテルが増えています。近年注目を集めている、ホテルと食事を別にする「泊食分離」の新しいカタチといえるでしょう。そんな、ファミレス併設のホテルについて、増えている理由とメリット、成功するポイントをご紹介します。
ファミレス併設のホテルが増加!「泊食分離」とは?
宿泊業界では、「泊まる場所」と「食事をする場所」が分れている「泊食分離」というスタイルが注目されています。その中の一つ「ファミレス併設のホテル」について解説します。
ファミレスや居酒屋を併設するホテルが急増!
ホテル内に、ファミレスや居酒屋を併設するケースが増えています。ホテルの館内や敷地内にありながら、直営ではない店舗が入っている場合が多く、店舗の利用券などを宿泊プランに組み込んでいるホテルもあります。
お客様の声を見ると、好意的なレビューが多く、好意的に受け入れられている事がわかります。
お客様の声より
●コストパフォーマンス良好
良かったこと、駐車場が無料、駅に近い(立地)、朝食付き、などなど。中でも朝食には特徴あってホテルロビーに直結しているファミレスの朝食セット(ドリンクバー付き)が付いてきます。和か洋の二択ですが、少し贅沢な朝食を食べた気持ちになりました。
●駅近でリーズナブル
朝食付きプランを利用しました
一階にあるデニーズでの朝食でしたが、バイキングと違って食べ過ぎてしまう事がないので良かったです。
お客様の声より
●同一敷地内には居酒屋さん、イタリアン、ファミレスなどがあり、夕食券で利用できます。
水泳の試合のために宿泊しました。二食付きのプランでしたが、特に夕食はホテル敷地内の居酒屋、パスタ店、和食から選べるので生徒たちは大変喜んで食事していました。
新しい「泊食分離」というホテルのスタイル
泊食分離という新しいスタイルは、ホテルだけではなく、宿泊業界全体で広がっています。
たとえば、日本旅館で「泊食分離」を実施したところ、連泊客などが増え、稼働率が上がるケースが増えました。旅館は「朝食や夕食が宿泊に含まれている」ことが魅力でもありますが、「料理は好きなものを食べたい」という要望や、「料理なしで安く宿泊したい」というニーズが高かったためです。
反対に、宿泊に特化しているビジネスホテルなどでは、「ホテル内で簡単に食事をしたい」というニーズは一定数ありました。「朝食サービス」などが実施されるケースもありますが、料金などの関係から、満足度の低いサービスになりがちでした。
そこで、「安く素泊まりしたい」「ホテルで食事をしたい」というニーズを両方満たすスタイルとして、ファミレス併設のホテルが急増しているわけです。これも新しい形の「泊食分離」といえるでしょう。
ファミレス併設が効果的なホテル形態
では、ファミレス併設が効果的なホテル形態にはどのようなものがあるのでしょうか。
ファミレス併設が効果的なホテル形態
- レストランが元々なかったビジネスホテル
- ファミレスを併設してもブランドイメージが左右されないホテル
- レストランはあるが、コストの問題を抱えているホテル
- レストランはあるが、人手不足の問題を抱えているホテル
- レストランはあるが、顧客満足度の低いホテル
レストランが元々なかったホテルが、サービス向上のために併設すると、大きな効果があるでしょう。特にビジネスホテルでは、ゲストが時間を気にせず利用できることで、顧客満足度向上に繋がります。
また、常設しているレストランについて、なにかしらの問題を抱えているホテルにとっても、レストラン業務をすべて委託できるので、業務の効率化にも貢献します。具体的なメリットについては、次の章をご覧ください。
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ファミレスを併設することの4つのメリット
ファミレスを併設することのメリットは大きく分けて次の4つが考えられます。
ホテルにファミレスを併設することのメリット
- ゲストの多様性に応えて顧客満足度が上がる
- 人件費高騰や人手不足の対策になる
- フロント業務が簡素化する
- 客室稼働率を上げることができる
メリットごとに解説していきましょう。
ゲストの多様性に応えて顧客満足度が上がる
ホテルにファミレスを併設すると、ゲストの多様性に応えることが可能になり、顧客満足度が上がります。
たとえば、ビジネスホテルなどでは、慌ただしいビジネスマンなどが、隙間時間に気軽に入れるファミレスはありがたい存在となるでしょう。また、一般的なホテルのレストランでは気後れしてしまう、小さなお子様連れの家族にもファミレスは好評です。
メニュー内容が豊富な上、味や料金も「おなじみ」であるため、安心感もあるでしょう。一定層において、さほど気を使わずに利用できるファミレスは、大変満足される施設です。
人件費高騰や人手不足の対策になる
ファミレス併設は、ホテルの人件費高騰や人手不足への対策にもなります。
現在、多くのホテルでは、人的コストの高騰や、人手不足により、優秀なスタッフを常に揃えておくことが難しくなっています。しかし、ホテルのレストランは、どんなに利用客が少なくても、ホールスやキッチンに、多くの人材を確保しておく必要があります。
また、ホテルのレストランでは繁忙期や閑散期、または時間帯によって必要なスタッフの数が異なり、その管理も大変です。
ファミレスを併設することで、ホテルがレストランの人材管理から開放されるのです。
フロント業務が簡素化する
ホテルがファミレスを併設することで、フロント業務が簡素化します。チェックインの際の「レストランのご利用案内」などを省くことができ、さらにレストラン利用時の精算作業がなくなるためです。
近年、ホテルの利用は「事前決算」がメインとなっています。客室利用だけのゲストに対しては、ほとんど手間がかからなくなるでしょう。
客室稼働率を上げることができる
ファミレスを併設することで、ホテルによっては客室稼働率を上げることができます。
「ホテルのレストラン」というと、「価格設定が高め」であったり、「敷居が高い」、「利用時間が限られている」というイメージがあります。ゲストによっては、ホテルの近くにコンビニやファーストフード店などがない場合、敬遠される可能性があるのです。ファミレスは、様々な層に対して「安心感」をアピールすることができます。
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ホテルのファミレス併設を成功させるには
これまで解説してきたように、ホテルのファミレス併設には、ホテルにとっても、ゲストにとっても、多くのメリットがあります。ただし、併設さえすれば良い、というわけではありません。成功させるにはいくつかポイントがあるのです。それが次の3つです。
ホテルのファミレス併設を成功させる3つのポイント
- ホテルのスタイルに合う店舗を選択する
- ホテルのサービスと連動させる
- 最新ITツールの導入でゲストの利便性を上げる
それぞれ解説していきましょう。
ホテルのスタイルに合う店舗を選択する
ホテルのファミレス併設を成功させるために、一番重要なことは、「ホテルのスタイルやブランドイメージが一致するかどうか」ということです。ゲストの層が一致しない場合、ホテルに対する印象が悪くなる恐れもあるからです。たとえば、一方が格安イメージで、もう一方が高級なイメージの場合、利用するゲストは混乱してしまいます。
ビジネスマンの利用が多いホテルなら、1名での利用がしやすく、作業の合間に一服したり、ビールなどが頼みやすかったりする雰囲気のファミレスが合います。ファミリー向けのホテルなら、小さいお子様へのメニューやスイーツなどが豊富な、明るいイメージのファミレスにするなど、ニーズのすり合わせが必要でしょう。
ホテルのサービスと連動させる
ホテルのファミレス併設を成功させるには、ファミレスとホテルのサービスを連携することをおすすめします。
「あちらは関係ない」という態度だと、ゲストは不安を感じやすくなります。ゲストにとっては、ホテル内にある以上、「ファミレスもホテルの一部」であるからです。たとえば、次のようなサービスが考えられます。
ファミレスと連動させるホテルサービスの例
- ファミレスの割引きチケットを配布する
- ファミレスの食事を、朝食や夕食としてプランに組み込む
- ファミレスの食事を、ルームサービスで利用できるようにする
このようなサービスにより、ゲストは利便性が向上し、「お得感」を覚えるようになります。ホテルに対しての満足度も上がるでしょう。
最新ITツールの導入でゲストの利便性を上げる
ファミレスを併設するホテルは、最新ITツールの導入で、ゲストの利便性を上げましょう。ファミレスは、ホテルのゲスト以外の利用も多く、「ホテル外部」にもなることから、トラブルなどが起きた場合を考慮する必要があるからです。
例として、ゲストがファミレス内でホテルの鍵を紛失した場合、施設間の連携がうまくいかないことが考えられます。ファミレス内で起きたトラブルは、ホテル側に権限や責任がないこともあり、解決まで時間がかかるなど、ゲストの気分を害してしまうこともあるでしょう。
たとえば、ホテルの鍵を物理的な鍵から、RemoteLOCK(スマートキー)に変更すると、ゲストの鍵の持ち歩きがなくなります。鍵の紛失や盗難などのリスクがなくなり、さらにフロントにいちいち鍵を預けるなどの手間もなくなります。
ゲストの利便性が上がるだけではなく、セキュリティアップにも貢献します。
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【まとめ】泊食分離の新しいカタチ。ファミレス併設のホテルが増えているわけ
いかがでしたでしょうか?ファミレス併設のホテルは、近年注目を集めている、ホテルと食事を別にする「泊食分離」の一つの形態といえます。誰もが知っているファミレスであることから、ゲストが気軽に利用し、顧客満足度が上がるホテルもあります。また、人件費削減や、人手不足解消の対策の一つとしても有効でしょう。
一方で、ホテルのブランドイメージに合わない場合は、ホテルに対する印象自体が低くなる可能性もあります。導入する際は、ホテルやゲストにとって、本当にメリットが大きいのか、ニーズのすり合わせが必要となるでしょう。
少しでも参考になりましたら幸いです。