コワーキングスペース経営入門~種類と運営方法について~
コミュニティの形成を目的としたコワーキングスペースが注目を集めています。一口にコワーキングスペースと言っても、ターゲットや経営方針に応じたさまざまな利用形態、運営方法が存在します。そこで、本記事では、これらコワーキングスペースの利用形態と運営方法ついてそれぞれの特徴を踏まえて解説します。
コワーキングスペースとは?
コワーキングスペースとは、業界を問わずに多種多様な人々が集まり、各自の仕事ができるワークスペースのことを指します。日本で最初にコワーキングスペースが開設されたのは、2010年と歴史が浅いコワーキングスペースですが、その成長には目を見張るものがあります。
全国のコワーキングスペースの数は、2016年10月時点で378軒(※1)でしたが、2021年2月には1379軒(※2)と5年間で3倍以上にも増えています。
2022年の6月時点の、スターバックスコーヒーの全国店舗数が1704軒、吉野家の全国店舗数が1,185軒であることを踏まえると、街中でコワーキングスペースを見かけることも珍しくはないかもしれません。
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その背景には、次のような2つの理由が考えられます。一つ目は、コロナ禍の影響です。コロナ禍による働き方の多様化でテレワーカーが増加し、企業側としても、身近なエリアで手軽に利用できるサテライトオフィスやコワーキングスペースの利用を推進していることから、需要が急増しています。
そして、二つ目の理由としては、地方部でのコミュニティ形成を目的としたコワーキングスペースの開設が挙げられます。コワーキングスペースを開設し、コミュニティ形成を行うことで地域の集いの場としてコワーキングスペースを活用している例が多くあり、近年では国や自治体が補助金を出し、開設を支援しています。
補助金の種類はさまざまです。ここでは兵庫県が行っている「コワーキングスペース開設支援事業」と静岡県下田市が行っている「下田市サテライトオフィス等整備費補助金」を紹介いたします。
コワーキングスペース開設支援事業(兵庫県)
こちらの補助金の対象者となるのは、「兵庫県下全域で、3年以上の事業計画を有しており、コワーキングスペースを利用する起業家等のビジネス活動を支援する計画を有するコワーキングスペース事業開設者」となっています。
補助金は、運営費は3年間合計で900万円、環境整備費は開設時に550万円という限度額内で、かかった費用の50%が支給されます。
下田市サテライトオフィス等整備費補助金(静岡県)
こちらの補助金の対象となるのは、「下田市内の空き物件を整備して新たにサテライトオフィス等(サテライトオフィス、コワーキングスペース、シェアオフィス)を開設する企業、既に空き物件を所有しており、企業向けにサテライトオフィスを提供する方 」となっています。
補助金は、整備費の50%を200万円の範囲内で支給されます。
上記で紹介した補助金に関しては、当ブログをご覧いただいている現在は、申請期間がすでに終了している可能性があります。最新の情報は必ず各補助金の専用サイトをご確認ください。また、これら以外にも各自治体ごとに補助金事業を行っている場合がありますので、ぜひ調べてみることをおすすめします。
このような理由から急増しているコワーキングスペースですが、その種類と運営方法について解説します。
コワーキングスペースの種類~入居型とドロップイン型の特徴を解説~
需要が伸びているコワーキングスペースですが、そのサービス形態はさまざまです。それぞれの特徴があり、コワーキングスペースを運営する際に何を重視するかで選ぶことができます。ここでは、「入居型」と「ドロップイン型」の2つを紹介していきます。
収益の安定性を重視するなら入居型
入居型のコワーキングスペースとは、長期利用の利用者を想定したサービス形態です。利用者は月単位で利用料金を支払い、高い頻度でコワーキングスペースを利用するものです。入居型の場合、利用者はスペースを使っても使わなくても支払いは定額なので、頻度高く使うほどお得になります。
また、専用デスクや専用ロッカーを契約できる場合があり、確実に席を確保したり、荷物の保管も可能です。利用の際にいい席が見つからない、利用のたびに大量の荷物を持参しては持ち帰る、などの心配をする必要がありません。
運営者側としても、入居型のコワーキングスペースには以下のようなメリットがあります。
- 入居型を採用するメリット
- 毎月決まった額の収益が得られるため、安定収入が見込め、経営の見通しも立てやすい
- 定額制であることから、毎月の銀行引き落としなどで集金できる
- 先払い制であることから料金トラブルになりにくい
- 長期利用を考えている利用者が多いためトラブルが少ない傾向にある
一方で、デメリットもいくつか挙げることができます。
- 入居型を採用するデメリット
- 不特定多数の流入がないことから新たな交流が生まれにくい
- 気軽に使用することが出来ず、利用ハードルが高いことから、新規顧客の獲得が難しい
- 入居者が決まるまでの期間や入居者が少ない期間は収益を得られない
これらの特徴を踏まえると、入居型のコワーキングスペース経営は安定的な事業継続を重視する方に向いているでしょう。入居型のコワーキングスペースの大手事業者として「We Work」があげられます。起業家が集まるコワーキングスペースとしても人気を集めています。
コミュニティ形成を重視するならドロップイン型
ドロップイン型のコワーキングスペースとは、短期利用の利用者を想定したサービス形態です。利用者は日単位、もしくは時間単位で利用料金を支払い、コワーキングスペースを利用するものです。
そのため利用者側としては、気軽に利用でき、相性が合わない場合は別のコワーキングスペースを利用するという使い方ができます。一方で、長時間かつ1ヵ月以上などの長期間にわたり定常的に利用する場合、ドロップインだと費用が割高になります。運営者側としては、ドロップイン型のコワーキングスペースには以下のようなメリットがあります。
- ドロップイン型を採用するメリット
- 不特定多数が集まるため多様なコミュニティが形成されやすい
- 気軽に利用でき、利用ハードルが低いため、新規顧客を獲得しやすい
- 好立地であれば、多くの利用者を見込むことができ、効率的な運営ができる
先ほどと同様にデメリットもいくつか挙げると、
- ドロップイン型を採用するデメリット
- 固定客がいないから安定的な収入が見込めない
- 入居型に比べて料金体系が複雑であることから料金トラブルがおきやすい
という点を上げることができます。これらの特徴を踏まえると、ドロップイン型のコワーキングスペース経営は不特定多数の集客でコミュニティ形成を重視する方に向いているでしょう。
ドロップイン型のコワーキングスペースとして「enicia」があげられます。「enicia」は静岡県下最大級のシェアアビリティサービスであり、人と人との交流を大切にしており、能力を共有する場所、人に出会える場所を提供していることが特徴です。
いかがでしょうか?ここでは二つの利用形態を紹介しました。それぞれの特徴をまとめます。
入居型・ドロップイン型の特徴まとめ
- 入居型 ⇒ 安定的な事業継続を重視
- ドロップイン型 ⇒ 不特定多数の集客でコミュニティ形成を重視
近年では、ドロップインと入居の両方の利用形態を提供しているサービスタイプもあります。いずれにしても、利用者側と運営者側それぞれのニーズを踏まえてサービスタイプを選ぶ必要があるでしょう。次に運営形態について紹介します。
コワーキングスペースの運営方法~個人経営とフランチャイズの特徴を解説~
コワーキングスペース事業は新しいビジネスモデルであり、決まったやり方というのは定められていません。そのため、その運営方法はさまざまであるものの、最近ではフランチャイズ型という形式で、コワーキングスペースを開業している方も多くいます。
ここでは、コワーキングスペースの運営形態について、「個人経営型」と「フランチャイズ型」の二つを解説します。
自分自身のやり方で経営が出来る個人経営型
"個人経営型”とは文字通り自分自身でスタッフ管理、営業、広告などを全て担当します。そのため、運営が難しいという面がありましたが、近年ではITツールを活用して効率的に運営する例が増えてきています。
例えば、予約の受付処理、鍵の受け渡しの対応などを全てITツールを用いて省人化することで、現地対応にかかる人件費を下げることができます。
それぞれの特色を生かして運営されている”個人経営型”ですが、
- 個人経営型のメリット
- 営業スタイルや経営方針などを自身で定めることが出来る
- 収益がそのまま手元に入るため、利益が大きい
というメリットがある一方で、
- 個人経営型のデメリット
- 集客が難しくノウハウが必要
というデメリットも挙げられます。そのため、ある程度のノウハウを持っており、自分自身のやり方で経営したい方におすすめです。
コワーキングスペース運営を省力化できるITツールとして、例えば、実店舗の運営を全面的にバックアップする「fixU」というサービスがあります。コワーキングスペースにおける顧客管理、請求管理を簡潔に行えるシステムを提供しています。
圧倒的に開業のしやすいフランチャイズ型
近年では、集客が難しい、運営のノウハウを教えてもらいたい、などの需要から”フランチャイズ型”でコワーキングスペースを開業される方も増えています。
フランチャイズとは本部と加盟店で契約を結び、ロイヤリティーを支払うことでブランドを使用したり運営ノウハウを教えてもらうなどのサポートを受けることのできるシステムです。コンビニエンスストアなどが有名ですが、最近ではさまざまな業界でフランチャイズのシステムが利用されています。
そのような”フランチャイズ型”ですが、
- フランチャイズ型のメリット
- ブランドイメージ利用で集客が容易
- ノウハウがなくても、本部のサポートをうけながら経営が出来る
- 経営や特別な専門知識がなくてもすぐに開業できる
などのメリットがある一方で、
- フランチャイズ型のデメリット
- ロイヤリティ・加盟金を支払う必要がある
- 営業スタイルや方針を本部と相談して決める必要がある
というデメリットもあります。そのため開業のロケットスタートを切りたい方におすすめです。フランチャイズ加盟が可能な全国展開のブランドとしては「いいオフィス」がおすすめです。いいオフィスにより、コワーキングスペースの立ち上げ時のハードルを解消、ニーズに合った空間活用で早期の収益化を狙うことが可能です。
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【まとめ】コワーキングスペースを開業するときに大事なこと
この記事では、コワーキングスペースの種類と運営方法について紹介いたしました。コワーキングスペースの種類として、安定的な事業継続を重視するなら「入居型」、不特定多数の集客でコミュニティ形成を重視するなら「ドロップイン型」の採用がおすすめです。
また、運営方法として、ある程度のノウハウを持っており、自分自身のやり方で経営したい方には「個人経営型」、開業のロケットスタートを切りたい方「フランチャイズ型」が最適だと言えます。
大事なことは、自社のコワーキングスペースのありたい姿や、開業の目的に合わせて適切なサービス形態と運営方法を採用することです。その上で、スペースの面積にゆとりがあるのであれば入居型とドロップイン型のハイブリッドでのサービス提供や、自社のブランド名や内装・備品は残しつつ運営パッケージのみをプラスアルファで利用できるようなFC店に加盟してみるのも打ち手かもしれません。目的やニーズ、課題によってその解決策は千差万別です。
コワーキングスペースを何のために開設したいのか、原点となる軸を明確にしたうえで、事業計画に落とし込んでいくことが成功のカギとなります。
本記事がコワーキングスペースの開業を考えている方への参考となれば幸いです。