コワーキングスペース市場が急成長している理由に迫る
今、世界的にコワーキングスペースの市場が急成長しているのをご存知でしょうか?同時に多様化も進んでおり、単に「気軽に仕事ができる場所」以上の価値があると、利用者の層も広がっています。そもそもコワーキングスペースとは一体何か、成長している理由や事業としてのメリットを解説しています。さらに問題点についても取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
コワーキングスペースとは
コワーキングスペースとは、起業家やフリーランス、テレワークなどの在宅勤務をしている人に、仕事ができる場所を提供している共有スペースを指します。カフェのようにオープンなスペースが多いのですが、インターネット回線があること、各席にコンセント口が装備されている、施設内にコピー・プリンターなどがあるなど、すぐに仕事ができる環境が整っています。
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進むワーキングスペースの多様化
コワーキングスペースが登場した初期には、大きなテーブルを自由に使うスタイルが主流でした。現在では、集中したい人や感染症対策の観点から、使用する人ごとに仕切り等で区切ったスペースを設けることも一般的になっています。さらに、複数人で使える大小の会議室や、オンライン会議をするための個室テレワークブースを備えている店舗もあります。
最近では、3Dプリンターなどを完備した「ものづくり」のためのワーキングスペースや、お酒や温泉を楽しみながら仕事ができるユニークなワークスペースも登場しています。また、保育園を併設したり、スタートアップ起業支援サービスの提供や、セルフチェクインシステムを導入し24時間いつでも利用できる無人店舗が登場するなど、多様化が進んでいます。
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フレキシブルオフィスとは
前述のコワーキングスペースや、業務に必要なデスクや椅子を備えた個室タイプのレンタルオフィスなど、オフィスを開設、維持するうえで必要となるコストを抑えつつ、柔軟な運用ができるワークプレイスは一般的に「フレキシブルオフィス」と呼ばれます。
フレキシブルオフィスとは
通常の賃貸契約によるオフィスではなく、場所や提供者、使用者によってさまざまな形の契約によって運営されているワークスペースを指します。コワーキングスペース、レンタルオフィス、シェアオフィス、サテライトオフィスなど、多様な形態があります。
その住所で法人登記が可能であったり、オプションで秘書サービスや電話対応があるなど、起業家やスタートアップ企業の需要も柔軟に取り込んでいます。
成長し続けるコワーキングスペース市場
コロナ以前にも、起業家やフリーランスで働く人がスターバックスなどのカフェで仕事をするというスタイルが注目を集めていました。拠点を持たず、自由に働くスタイルのビジネスパーソンは「ノマドワーカー」とも呼ばれ、全国各地に点在するコワーキングスペースはノマドワーカーにとっての仕事場の代表格でもありました。
新型コロナによるコワーキングスペース需要の高まり
しかし、新型コロナウィルスの影響で外出自粛要請が出ると、オフィスに通勤するのではなく自宅や自宅の最寄りのスペースで仕事をするテレワークやリモートワークといった働き方が一気に増加。個人だけではなく、企業単位でも「長時間の通勤が不要な第三の仕事場」を用意することが求められ、コワーキングスペースの需要が急加速しました。
さらに、起業ブームや、「働き方改革」など政府の後押しで「副業」が多くの会社で解禁されるなど、働き方の多様化が進んでいることから、利用者の層が広がっているのです。
働き方改革とは
”「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、 自分で「選択」できるようにするための改革です。”
出典:厚生労働省「働き方改革」〜一億総活躍社会の実現に向けて〜より
”場所にとらわれない就業を可能とし、多様で柔軟な働き方が 19 選択できる社会を実現するとともに、テレワークを社会全体へと波及させる取組を 進め、労働者のワーク・ライフ・バランスを実現する”
このように、国としてテレワークをさらに推進するための取り組みが進められています。2020年の調査では、世界にあるコワーキングスペースの数は約2万件とされ、年間成長率は20%を超える見通しになっています。日本でも2020年1月の時点で1400件を超えており、首都圏を中心にさらに拡大すると予想されています。
その勢いは当分続くとされ、株式会社日本能率協会総合研究所が2021年に発表した調査結果によると、2026年度のコワーキングスペースを含むフレキシブルオフィス市場は、コロナ以前の2020年度と比べるとおよそ3倍の2,300億円となる見込みとされています。
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コワーキングスペースを利用するメリット
テレワークになっても、インターネットやパソコンさえあれば自宅でも仕事ができます。しかし、コワーキングスペースの需要が拡大した背景には、利用者側に次のようなメリットがあるからです。
コワーキングスペースを利用するメリット
- インターネットやプリンターなど、仕事に必要なものが完備されている
- 他の人が働いているとモチベーションが上がる
- 新たな空間に身を置くことでクリエイティブな発想ができる
- 移動中や外回りなどの隙間時間を有効活用できる
- 好きな場所、清潔で綺麗な空間で仕事ができる
- 異業種の人と繋がることもある
上記のように、単に「仕事の環境が整っている」だけではなく、自宅では仕事と私生活の区別がつきにくい方や、非日常感、人の気配やつながりを求めて利用する方も多いようです。
さらに、カフェや、コワーキングスペースであっても交流エリアだと騒音があったり、自宅だと家族や子どもがいて、オンライン会議に集中しづらいという課題に対するソリューションとして、個室テレワークブースの需要も伸びています。
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コワーキングスペースの事業としての魅力
次に、遊休スペースをワークプレイスとして貸し出すことで収益化をするワークプレイスビジネスの魅力を考察していきましょう。
コワーキングスペースの事業としての魅力
- 空きスペース(遊休スペース)で収益化ができる
- 飲食店や宿泊施設と比べると少ない設備投資ですぐに事業を始められる
- 市場のニーズが高まっており、立地によっては比較的集客しやすい
- 開設や撤退が簡単で、次の用途までの期間限定でスペースの有効活用ができる
このように、空きスペースを柔軟に有効活用できることが大きなメリットといえるでしょう。たとえば、社員のテレワークが増えたことでオフィスの縮小を考えている企業や、オフィス自体を閉鎖する組織などが「とりあえず」スペースを活用することができるのです。
最近では、三井不動産や長谷工コーポレーション、コクヨなどの大企業もワークスペース運営に進出しており、さらに市場が拡大化しています。
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コワーキングスペースの新たな価値創造
コワーキングスペースには起業家やテレワーカーの単なる受け入れ先だけではなく、新たなビジネスマッチングやコミュニティづくりの場として期待されている側面もあります。現状は感染症対策もあり、気軽な会話などは難しくなっていますが、本来は異業種や異業界の人たちがオープンなスペースを共有することで、刺激されたり交流が生まれ、そこから新しいビジネスの創出につながることも多いのです。
また、会社でもなく自宅でもない第3のワークスペースという位置付けで、地域密着型の情報交換や人脈形成の場としても利用され、今後も新たな価値が創造されるかもしれません。
コワーキングスペース事業の課題
特に首都圏では大手の進出が相次ぎ、コワーキングスペースが乱立している状況です。施設のサービス向上や大型化が進む一方、収益化ができず閉店する店舗も出ています。また、コワーキングスペースだけではなく、カフェや一部のマンガ喫茶も競合となるため、思うような集客ができないこともあるでしょう。
たとえば、スペース自体が老朽化している、空間として極端に狭い、立地や交通の便が良くない、サービスの独自性の薄いなど、ネガティブな要素が目立つと競争に生き残れない恐れもあります。価格勝負で圧倒的な安さで挑むこともできますが、これは人件費などを含む運営コストとの兼ね合いとなるでしょう。収益性を確保するためには、顧客満足を維持・向上できる範囲で運営コストをいかに削減できるかどうかがポイントになります。
人件費など、コスト削減のためにはセルフチェックインシステムなどITシステムを積極的に取り入れたり、無人経営なども視野に入れることが解決の糸口になりそうです。
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【まとめ】コワーキングスペース市場が急成長している理由
いかがでしたでしょうか。コワーキングスペース市場が急成長している背景には、働き方改革や新型コロナウィルスによりテレワークが増加したことが要因であるものの、以前より注目されていたノマドワークや副業の解禁などの下地ができていたからといえるでしょう。
世界的に需要も供給もまだまだ成長している反面、首都圏では競争が激化したり、閉店する店舗も出ています。他店と差別化を図るのも大切ですが、ITシステムを取り入れるなど、いかにランニングコストを抑えるかが明暗を分けることにつながります。