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公開日2021.05.25

最終更新日2024.01.18

宿泊施設で導入されるオンラインチェックインとは?フロント対応の非対面化について

海外のホテルでは一般化しつつある「オンラインチェックイン」は、ゲストにとって簡単で時間の節約になることから、日本国内の宿泊施設での導入も増えています。今や観光ホテルや有名ホテルなどでも取り入れる施設が増え、スタンダードになりつつある、オンラインチェックインを取り入れるメリット・具体的な導入の事例をご紹介します。

フロントへの立ち寄りは不要!ホテルのオンラインチェックインとは?

オンラインチェックインとは、利用客のスマホなどモバイル機器を使って非対面でチェックイン(受付)が可能なサービスで、スマートチェックインやモバイルチェックインとも呼ばれることがあります。

ゲストは宿泊する日に、現地へ到着するまでにチェックインに必要な情報をオンラインで入力でき、宿泊事業者もその情報を共有しているので、当日はフロントではなく、専用の機械でQRコード等を読み込むだけでチェックインすることができます。ただし、オンラインチェックインの方法は、利用するシステムによって異なり、完全に無人でチェックインできるものから、フロントスタッフが一部サポートするケースもあります。

ホテルのオンラインチェックインが増加している背景

日本では、「おもてなし」に代表されるように、人の手によるサービスに最大の価値を置いていました。そのため、スタッフの人的労力に頼った経営が中心となり、非能率的な「スマートホテル後進国」となっていました。

そういった「人手」に頼った経営は長時間働けるスタッフの確保が必要で、人件費が高くなり、さらにスタッフの質にホテルの評判が左右されるなどの問題もありました。それでも、昔からの慣習から抜け出せず、オンラインチェックインといったIT化にはなかなか踏み込めない宿泊事業者も多かったようです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけとなり、これまでの対面でのフロント対応のあり方や、運営コストに対する意識も変化するようになりました。おもてなしよりも、安全性を求める時流が後押しとなって、非接触、非対面チェックインが受け入れられるようになり、ホテルのあり方自体も変わろうとしているのです。

宿泊事業者に迫る「2025年の壁」問題

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会が発行する 「企業IT動向調査2018」によると、80%の企業の情報システムが、肥大化・複雑化しており、55%の企業ではIT予算の80%が老朽化したシステムの維持・運営に費やされているとしています。

そのような古く、遅れたシステムを使用し続けていると、競合他社との格差が広がるだけではなく、経営状況の悪化や新しい人材の確保にも困るようになります。最悪の場合、古いシステムのサポートの終了とともに、ある日突然、営業自体が立ち行かなくことも想定されます。

宿泊事業者だけではなく、国全体がこの状態が続くと2025年以降は年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされ、経済産業省では、このことを「2025年の崖」と呼び、企業に警鐘を鳴らしています。

業務にIT機器やシステムを導入することは、単純に非対面で安全性を確保するだけではなく、業務の効率化が進み、無駄な人件費カットや人出不足の解消にもなります。また、完全に無機質な対応になるわけではなく、「余った人の手」を他のおもてなしやサービス向上に費やすことも可能なのです。そのため、ホテルでのオンラインチェックインの導入は、施設管理者、利用客双方に大きなメリットがあります。

施設管理者にとってのメリット

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人件費の削減、人手不足の解消

最低賃金の値上がりが発表され、ますます人件費がかさむようになる一方で、なかなか思うように人材が集まらないといった悩みをかかえている宿泊事業者も多いようです。オンラインチェックインを導入することで、フロント業務の効率化が進み、少ない人員で無理のない営業ができるようになります。

無駄を省きコストカット

オンラインチェックインの導入は、自動制御で最適な運営を可能にします。利用客のデータ管理が簡単になるので、それぞれの好みに合わせた対応ができ、無駄な労力やエネルギーを使わなくてよくなる利点があります。

例えば、一度利用した方の食事の傾向などをデータ化できるので、アレルギーや好き嫌いなどの細かい配慮が可能になり、無駄な食料の廃棄も少なくなります。また、施設案内などもモバイル上で行えるので、パンフレットやフロント業務のペーパー管理も不要で、消耗品などのコストカットにもつながります。

ホテルスタッフの満足度向上

フロント業務はホテルの顏である反面、気を遣う金銭管理や煩雑な仕事も多く、ちょっとしたミスでクレームを直接受けるなど、ストレスの多い業務でもあります。

オンラインチェックインを導入すると、人為的なミスによる宿泊客との行き違いがなくなり、トラブルやクレームが少なくなります。トラブルを防ぐだけではなく、仕事の効率化でスタッフの負担の軽減を促進し、余裕のあるシフトでスタッフのモチベーションの向上にもなります。

働き方改革が叫ばれる中、働きやすい環境を提供することは、質の良いスタッフに長く勤務してもらうことにもつながり、宿泊施設全体の評判にもつながることでしょう。

利用者にとってのメリット

利用客にとってオンラインチェックインの最大のメリットは「待ち時間が少ない」ことでしょう。最初は非対面でのチェックインに難色を示す利用客も、その利便性の良さや快適さに納得することが多いようです。

また、非対面でのチェックインはまだ珍しいこともあり、コロナ禍における感染症リスクに取り組んでいる先進的なホテルとしてのアピールにもなります。

さらに、利用客の好みや目的に合わせたきめ細かいご案内ができるなど、スタッフの質に左右されないパーソナライズされたサービスは、好感度を上げることにもなるのです。

オンラインチェックインの具体的な事例をご紹介

では、オンラインチェックインを活用し、非対面でも利用客を増やしている具体的な事例をご紹介しましょう。

専用アプリでわずか1秒チェックイン【アパホテル】

アパホテルでは、2021年2月1日より「アプリチェックイン」の提供を開始しました。「アパ直」という専用アプリにて予約し、モバイル上で決済を済ませることで、ホテルでのチェックインが簡素化できるというもの。

アパホテルでは、通常のフロントスタッフも駐在していますが、 アプリチェックイン専用機を利用するとわずか1秒で、簡単にチェックインができます。また、この専用機ではアプリ会員証のQRコードによるルームキー発行もでき、完全な非対面、非接触でのチェックインが可能です。

このアパホテルのアプリチェックインは、国土交通省官公庁の「持続可能な観光の実現に向けた先進事例集2020年度」でも紹介され、ウィズコロナ、アフターコロナでの先進的な事例として関心を集めています。

チェックアウトはフロントの立ち寄り不要!【東急ステイ】

東急リゾーツ&ステイは「東急ステイ高輪」にて、ゲスト自身が自分のスマートフォンを使って部屋選択やチェックインチェックアウトなどができるサービスの提供を始めています。

公式アプリにて販売している専用宿泊プランが対象で、自分のスマートフォンで宿泊当日にアプリを起動して、部屋の選択やチェックインをすることができます。

ホテル到着後は、アプリに表示されるQRコードをフロントの専用端末にかざしてカードキーを発行、チェックアウトも客室からスマホでできるので、フロントに立ち寄ることなく出発することができます。急いでいるお客様にとっては、非対面だからこそ非常に満足度の高いサービスとなるでしょう。

【まとめ】ホテルのチェックインもモバイル対応がスタンダードに

いかがでしたでしょうか?
今やスタンダードになりつつあるホテルのオンラインチェックイン導入は、単に時間短縮や非対面化での感染対策など、利用客にとっての利便性や安全性に貢献するだけではありません。全体的な業務効率化やコスト削減、従業員の満足度向上など、これからのホテルの運営自体を左右するものと言ってもよいでしょう。

とはいえ、大手ホテルチェーンの様に、自社専用のシステムの構築を行ったり、専用のチェックイン端末を設置することは、初期費用が膨大になる可能性があります。コストを抑えながら、非対面チェックインや非対面での鍵の受け渡しを実現できるツールは以下のブログでご紹介しています。こちらもぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

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