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公開日2021.03.30

最終更新日2025.02.18

宿泊施設におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化とは

深刻な宿泊業界の停滞は、生き残りをかけた対策が必要不可欠となっています。そこで鍵となってくるのが、データートランスフォーメーション(DX)です。積極的に活用することで、少ないスタッフでも品質を落とさず顧客の満足度を上げ、競合からの優位性を確立します。DXとは何か?その活用例と事例について詳しく紹介します。

アフターコロナにも欠かせないDXの考え方とは

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宿泊施設にデジタルトランスフォーメーションを導入することでどのような変化やメリットがあるのか、実際に活用している企業の事例を参考に、宿泊施設での具体的な導入例などをご紹介しましょう。

宿泊施設におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)化が必要な理由

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アフターコロナの宿泊業界は、旅行需要の回復が進む一方、消費者の旅行スタイルの変化や人手不足、価格競争が課題です。リモートワーク普及による長期滞在需要や個人旅行(FIT)の拡大に対応するため、宿泊業者は「多様なニーズへの対応」と「運営の効率化」を図る必要があります。その解決策の一つがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。無人チェックインの導入、顧客データの活用によるサービスの個別最適化、AIを用いた需要予測と価格最適化といった取り組みにより、顧客満足度の向上と競合優位性の確保が可能となります。

今後は、消費者ニーズの変化に柔軟に対応し、ITを活用した業務改善を進める企業が成長を遂げると考えられます。観光需要の回復は追い風ですが、変化への対応力が競争優位を左右するでしょう。DXは成長戦略の中核と位置づけられています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

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コロナの影響で、ビジネス面ではリモートワークやネット会議の定着、暮らしでは非接触や非対面技術の一般化など、一気にライフスタイルのIT化、デジタル化が加速しました。そういったIT技術の浸透とデジタルトランスフォーメーション(DX)との違いは一体何なのでしょうか?経済産業省では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を以下の様に定義しています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

簡単にいえばITやデジタル技術をただ使うだけでなく、「活用すること」で無駄な労力やコストを省き、ビジネスも人の暮らしもより良くしようとする全体の動きということになります。日本には少子化問題や労働者不足という差し迫った課題があり、組織や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が強く求められていました。とはいえ、昔ながらの慣習で、組織のトップが長年の「勘」や「経験」だけを頼りに経営をする非合理的な状況から、なかなか抜け出すことが出来ずにいました。

ところが、コロナ渦において促進された「非対面」や「無人化」のニーズが、急速なオフラインからオンラインへのシフトや、人間が行っていた作業を機械やロボットが代替する技術の後押しとなって、DXが加速する状況となっています。今この段階で組織がDXを導入することは、競合との差別化を広げ一足早い利益率や生産性の向上を図ることに繋がるので、「勝ち組」になることの必須条件ともいえるでしょう。

DXをいち早く推進している事例

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いち早くDXをビジネスに取り入れている事例とDXを加速するソリューションをご紹介しましょう。

ドローンを用いた自動配送(日本郵便)

配達員の深刻な人手不足が問題となっている日本郵便は、ドローンによる郵便配送を試行しました。この試みは、純国産のヘキサコプター(6枚羽のドローン)を使って、郵便物をつかみ目的の民家まで配送するというソリューションになります。

対象となった奥多摩郵便局の配達地域は標高差が大きく、配達員はどんなに悪天候でも山間のうねうねした林道を抜けなければならず、負担の大きいものでした。しかし、ドローンでの配送の場合、配達時間は半分となり、人的な負担や危険性も回避できるうえ、人手不足であっても住民は以前と同じようなサービスを享受することが出来ます。過疎地域や少子化地域であっても、IT技術を応用することで無駄な労力やコストを省き、人の暮らしもより良くするDX導入の好例と言えるでしょう。

製造DXを推進するソリューションの提供(構造計画研究所)

当社(構造計画研究所)のサービスにもDXを推進する製造業向けソリューションがあります。導入することで、顧客の求めた見積もりから製品発注までの流れをシステム化し、時間やコストを大幅に減少することが可能になっています。

従来、顧客が製造メーカーに発注しようとすると、まずカタログやWEBサイトを確認しながらおおよその見積もりを立て、メーカーと打ち合わせを行います。メーカーは社内で製造部門や設計部門などと調整や確認を取りながら、納品日時や見積もりを作り、後日顧客に提示します。あとでオプションや仕様を追加すると、見積もりはどんどん変化し、最終的な納期も遅くなるという効率の悪いものでした。

しかし、当社の製造業者様向けCPQソリューション「Order CPQ」を導入すると、顧客が求める「正しい見積もり」を素早く提示することが可能になります。「製造可能かどうか」への回答や、オプションや仕様の変化にもすぐに対応できるので、顧客満足度も高くなる上、無駄なコストやロスタイムをなくすことも出来ます。このようなソリューションを介すれば、バラバラだった製造部門、設計部門や営業などの情報やデータを一元管理できるので、社内での連携が効率よく取れ、新たな価値も生み出されるようになるのです。製造DX導入のメリットは、全社統制が取りやすくなり、見積りの効率化だけではなく顧客視点で新たな価値が提供できるようになり、結果的に競合に優位に立てるということになるでしょう。

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宿泊施設におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)化の例とそのメリットとは

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おもてなし文化に代表されるように、日本の宿泊施設の最大の特色は「人」にあります。ところが、コロナの影響で最小限のスタッフで稼働していたり、少子化でスタッフの確保が難しくなると、今までのような人の力だけに頼った運営は難しくなりました。

しかし、DXを導入することで業務効率化や生産性向上が進み、品位を落とすことなく人的コストや経費の削減も可能になります。しかも、非効率な仕事や危険な仕事からの解放など、従業員の満足度を表すES(Employee Satisfaction)の向上も期待でき、組織としての活性化ももたらされるでしょう。では、どのようなDX活用が想定されるでしょうか?いち早くDX導入に成功した老舗旅館の例とともに活用例をご紹介します。

最新DX導入で息を吹き返した老舗旅館

神奈川県鶴巻温泉「陣屋」は、一時は年間6000万円の赤字が続き、深刻な経営危機に陥っていました。その中で、独自のDX技術「陣屋コネクト」を開発し活用することで、数年で経営を立て直すことに成功しました。今や全国の旅館再生・地方創生の最先端モデルとして注目を集めています。

例えば、自動車のナンバープレートや利用客の入退場を感知するIoTを導入することで、待機ロスの無いスムーズな出迎えやお見送りが可能になりました。さらに厨房では、利用客の情報や履歴などのデータをもとに、好みに合わせた料理を出すことで、廃棄コストをおさえ、利用客の好みに合わせたサービスが提供出来るようになっているのです。また、DX導入とともに従業員の意識改革にも積極的に取り組み、士気を高めて従業員満足度(ES)の高い組織としてモデルケースにもなっています。これもDXによる作業効率化や連携が取りやすくなったことが要因の一つだといえるでしょう。

宿泊施設におけるDX導入例

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「陣屋」のように業務のすべてをDX化することはなかなか難しいかもしれませんが、業務の一部だけでもIT技術を導入することで効率のよい運営が可能になります。

清掃ロボットの導入で清掃業務をデジタル化

今や家庭の中でも掃除ロボットは一般化していますが、宿泊施設の様に大きなスペースでは清掃ロボットの導入はより多くのメリットがあります。ロボットにはAIが搭載されているので、人間の目では分からないような汚れを発見したり、よく汚れる場所などを記憶して効率よく清掃をすることが出来ます。

また、時間を設定すれば決まった時間にムラなく清掃でき、人による個人差などもないため館内の品質を一定に保つことが可能です。細かい備品などの拭き掃除はまだまだ人の手が必要ですが、一番時間のかかる床の清掃だけでもかなりの労力や人的コスト削減になるでしょう。

センサーやAIで施設の保守点検・巡回

目視による点検は人的ミスが起きやすく、人によって基準が曖昧になります。また、巡回などで異常があった場合にスタッフが危険に巻き込まれる可能性もあります。

異常や異変を感知するセンサーやAI搭載のカメラ、または巡回・点検ロボットなどを導入すれば、人の目に見えないところまでの点検が出来ますし、スタッフの危険防止や人的コスト削減にもなります。最近では建物の変化を可視化できる撮影サービスもあり、利用する価値は高そうです。

スマホアプリで多言語対応のAIチャットボットや観光情報を提供

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宿泊客にあらかじめアプリを提供することで、フロントやコンシェルジュ業務の軽減や削減を図ることができます。従来の「とりあえずフロントに聞いてみる」ことが当たり前になっていると、スタッフの負担も大きく、繁忙時には人数もそろえる必要がありました。

しかし、アプリでよくある質問や、館内や周辺の観光情報等を提供することで、宿泊客自身が解決できることが多くなります。さらに、多言語対応のチャットボットを搭載すると、外国のお客様への案内もスムーズになり、宿泊客とスタッフ双方の負担も軽減されるでしょう。

3Dセンサーで混雑状況の把握

大浴場やレストランの混雑状況を把握していると、宿泊客を待たせたり、不快な思いをされることなく効率よくご案内することが出来ます。宿泊客も常に快適な状態で施設を利用できるので、満足度も高くなる施策です。

混雑状況把握や混雑案内サービスは当社でも「ピープルカウンター」として製品化しており、3Dセンサーを天井に設置しインターネットに接続するだけのシンプル導入でご利用いただけます。

予約管理システムはキーレスやチェックインの無人化へ

「無人」チェックインサービスとはいえ、奥には人間のスタッフが控えているのですが、常に表に出る必要が無いので別の業務が出来たりと人的コストの削減や猥雑なスタッフのシフト管理などの雑務から解放されます。

最近では、ビジネスホテルを中心に、タブレット端末を使ったセルフチェックインが出来る宿泊施設も増えてきました。タブレット上で宿泊者の写真を撮影したり、リモート通話をすることで本人確認を行うこともできます。スタッフの負担軽減にもなりますが、特にコロナ渦においては、「非対面」であることが利用者の安心感を高めます。

スマートロック(RemoteLOCK)の活用

「スマートロック」を活用することで、物理的な「鍵」や「利用カード」の受け渡しさえ無しにチェックインをすることが可能となっています。物理的な「鍵」とは違い、予約時に発行される「パスワード」で鍵の開閉が出来る電子キーで、予約システムと連動可能なものもあります。予約システムとスマートロックを連携利用することで、スタッフの介入なしに24時間受付やチェックインを自動的に行うことも可能です。

宿泊客にとっても煩わしい鍵やカードの管理から解放され、紛失トラブルなども防ぐことが出来るので、宿泊客と宿泊施設双方にとってメリットの大きいDX施策といえるでしょう。

宿泊施設におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)化のまとめ

いかがでしたでしょうか?今や宿泊施設のDX導入は、スタッフの解雇、不足や経営立て直しというネガティブな側面を補足するだけではなく、さらに組織が発展するための必要不可欠な条件だといえます。コロナ渦においては「非対面」や「無人化」のニーズを満たすためだけの施策になりかねませんが、余った人力を「人間にしかできないおもてなし」に発揮することで、さらに競合との差別化をはかり、「選ばれる宿泊施設」としての地位を確立できるといえるでしょう。

RemoteLOCK 宿泊事業向け DX事例集はこちら

 

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