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公開日2022.08.12

最終更新日2023.07.10

ホテルの売上向上に欠かせないレベニューマネジメントとは?

ホテルなど「在庫を繰り越せない業界」において、最適な客室単価を予測する「レベニューマネジメント」は極めて重要な手法です。ホテルの売上向上には欠かせないレベニューマネジメントとはなにか、メリットやデメリットをお伝えした後、正しい実践方法もご紹介します。

レベニューマネジメントとは

レベニューマネジメントとは、ホテル運営に置いて収益の改善や売上向上のために欠かすことのできない手法の一つです。しかし、レベニューマネジメントを取り入れて収益を最大化するホテルがある一方で、なかなか成果が出ないホテルも多いようです。

そこで、この章では、そもそもレベニューマネジメントとはなにか、なぜ売上向上に欠かせないのかをご紹介します。

レベニューマネジメントは「在庫を繰り越せない業界」の予約の手法

レベニューマネジメントとは、ホテル業界など「在庫を持ち越せない」業界において、過去のデータから予測を立てて販売価格をコントロールする予約の手法を指します。

もともとこの手法は、イギリスの国営航空会社が導入した「アーリーバードディスカウント」(早期割引料金)が由来とされています。その後、1980年代アメリカで、規制緩和により激化する価格競争の施策として、アメリカン航空が「レベルマネジメント」による予約システムを確立しました。

航空業界は膨大な固定費がかかるため、いかに空席在庫を減らし売上を確保するかが大きな課題となっています。そのため、常に一定の価格ではなく早期予約なら料金を安く設定するなど、販売価格をコントロールして、空席在庫を最小化したのです。

今では、航空会社のように「在庫を持ち越せない」ホテル業界を始めとして、テーマパークなどのサービス業界や、運輸業界、レンタル業界などでも積極的に活用されています。

レベニューマネジメント具体例

意外と多くの場面で活用されているレベニューマネジメントですが、実際にレベニューマネジメントを取り入れている「レンタカー業界」の事例をご紹介しましょう。

この表のように、レベニューマネジメントでは画一料金ではなく、場所や時期に合わせて金額が変化しています。需要の多い地域や期間は高く、それ以外はお手頃に利用できるよう微妙な価格コントロールがされていることが分かります。

他にもあるレベニューマネジメント実践例

  • レンタルDVD業界では新作ほど価格が高く、レンタルできる日数も短いが、旧作になると安価で7泊8日レンタルできる
  • 航空会社では、早く予約するほど「早期得点」でお得に利用できる
  • 観光施設やテーマパークでは、季節ごとに料金設定を行うほか、大人数のグループ割や夕方以降の料金が割安

など、多くの業界でレベニューマネジメントが活用されています。

ホテル業界ではより細かい調整が必要ではありますが、需要を予測し、価格をコントロールすることでできるだけ客室在庫を抱えない運営が可能になります。

レベニューマネジメントで売上向上が期待できるわけ

レベニューマネジメントを導入すると売上向上が期待できるのは、需要予測が可能になるからです。たとえば、ホテル業界では平日は客室単価を下げ、客室が埋まりがちな土日は単価を上げることは「常識」といえます。しかし、「どのくらいの効果があるのか」「本当にその価格設定が的確か」などははっきりと把握できず、長年の「勘」や競合の価格設定を頼りにしている事業者も多いのではないでしょうか。

そのため、必要以上に価格を下げて客室は埋まったものの、忙しいだけで収益にならないケースや、繁忙期だからと高い客室単価を上げすぎて予約が入らないなど、常にリスクがつきまといます。

しかし、レベニューマネジメントでは、過去のデータや状況を細かく分析し、適正価格の予測が可能となります。最適な価格を効率よく設定することで、客室が効率よく埋まるようになり、経費削減にも繋がるなど、売上利益の改善が期待できます。

レベニューマネジメントを行うメリット・デメリット

レベニューマネジメントは、予約を最適化する便利な手法で、メリットが多いのですが、デメリットも存在します。この章では、レベニューマネジメントのメリットとデメリットをご紹介しましょう。

レベニューマネジメントのメリット

レベニューマネジメントのメリットは次のようになります。レベニューマネジメントの最大のメリットはホテルの売上予測ができるという点です。いつ、どのような価格設定だと客室が埋まりやすい、というデータがあれば、常に最適な客室価格を提示し、売上の予測ができるのです。

レベニューマネジメントのメリット
ホテルの売上予測ができる
最適な客室単価がわかる
経費削減に繋がる
ホテルの強み、弱点がわかる
競合との差別化が明確になる
効率的に収益を上げることができる

それによって、スタッフの数を調整する、食材などの仕入れを加減するなどの対策が可能となり、経費節減にも繋がります。また、ホテルの強みや弱点も把握できるので、競合との差別化ができ、効率的に収益があがるようになるでしょう。

レベニューマネジメントのデメリット

レベニューマネジメントのデメリットは次のようになります。デメリットは、人の手で行うとすると、時間や手間がかかることです。膨大な過去のデータとの検証や、ホテル周辺の情報などの収集が必要となるため、ホテルによっては「面倒」と感じることがあるでしょう。

レベニューマネジメントのデメリット
人の手で行うのは時間や手間がかかる
現状や過去のデータの検証が必要となる
常に情報収集が必要となる

このようなデメリットもあるレベニューマネジメントですが、実践を重ねることで、確実に売上を伸ばすことができます。次の章では実践方法をご紹介しましょう。

レベニューマネジメントを正しく実践する方法

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この章ではレベニューマネジメントを正しく実践する方法をご紹介します。レベニューマネジメントはすぐに効果を実感できるものではなく、需要予測▷販売(テスト)▷検証を繰り返すことによって精度が上がっていきます。それではご紹介しましょう。

需要を予測する

レベニューマネジメントを行うには、運営しているホテルの「需要」を正しく知る必要があります。需要がわかれば、競合との差別化も明確になり、効率的に売上を伸ばすことも可能です。

需要の予測には次の3つがポイントです。それぞれ説明していきます。

宿泊需要を予測するためのポイント

  • 運営しているホテルの現状把握と過去の実績を調べる
  • ホテルの周辺情報を把握する
  • 競合となるホテルの調査をする

①運営しているホテルの現状と過去の実績を調べる

ホテルの現状と過去の実績を比較して、ある程度の需要を予測するとから始めます。まずは、ホテルを利用する層の見極め、顧客分析から始めましょう。これは、予約台帳や予約管理システムなどの分析や、予約サイトの「お客様の声」からも調べることができます。

さらに、どのような時期、価格、状況のときに一番利用が多いのか、どのタイミングで売上が落ちた/上がったのか、または予約サイトやSNSからの「口コミ」などを利用して、ホテルの現状や過去の実績を把握します。それらをパターン化し、分類することで、需要予測の精度を上げることができます。

②競合となるホテルの調査をする

競合としている近隣のホテルを調査することによって、客観的な需要を把握することができます。曜日ごとの価格だけではなく、キャンペーンや口コミ、HPからどのような誘導をしているのか、などは予約サイトからも簡単に調べることができます。

それらを運営しているホテルと比較するだけでも、ホテルの足りない部分や強みを見つけることができ、需要の検討がつくようになります。

③ホテルの周辺情報を把握する

ホテルの周辺情報や観光関連のイベントの把握も需要の予測に役立ちます。近々どのようなイベントが行われるのか、人が集まる行事や、テレビやSNSで話題となったスポットなどはないか、チェックします。

その他にも、桜の開花予測や紅葉が始まる日時など、季節の情報を把握する、台風など自然災害が起きたときに影響を予測する、などの情報からも需要の予測に役立ちます。

予測に沿った販売方法を試す

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運営しているホテルの需要予測ができたら、販売方法を試していきます。需要予測に基づいた収益の目標を決め、どのくらいの期間を早期割とするのか、上限価格、下限価格を設定し、実際に販売していきます。

それに合わせてキャンペーンや広告を打つこと、またSNSなどに投稿することも検討しましょう。

効果を計測・検証する

レベニューマネジメントによる販売を行った後、効果を計測、または検証することはとても重要です。というのも、レベニューマネジメントを導入して効果が十分に出ていないホテルの多くが、効果の検証を行っていないからです。

目標とした収益と、実際の収益を比較検討し、その差が大きいならば原因を探って行きます。改善点を見つけたら、新たな販売方法を試し、さらに改善を行っていきます。

需要予測▷販売(テスト)▷検証を繰り返し行うことで、需要予測が精密の精度が高まり、適切で収益性の高い客室価格の設定が可能になるのです。

レベニューマネジメントを実践する際の注意点

このレベニューマネジメントによる販売方法はホテルの売上に繋がるものですが、実践をする際の注意点があります。それは「販売価格の不公平感」と「オーバーブッキング」です。

販売価格の不公平感

需要によって価格が変わることに対して、「たった一日しか変わらないのに数千円も高くなるのはおかしい」、「損をした」など不公平と感じるゲストもいます。

そのためには、価格設定を分かりやすく提示しておくと良いでしょう。透明性が高くなり、不満を感じる人が少なくなります。たとえば、「料金は3段階で変動します」とし、料金によって予約カレンダーの色を変化させるなどの工夫をすると、伝わりやすくなります。

オーバーブッキング

レベニューマネジメントの手法として、予約キャンセルなどを見越して「オーバーブッキング」をする戦略があります。しかし、本当にオーバーブッキングになる可能性あるので、実際に活用するには精度の高い客室需要予測が求められます。

レベニューマネジメントはITシステムを取り入れると簡単

ここまでお読みになった方の中には、「実際にレベニューマネジメントを取り入れるには難しそう」「複雑で手間がかかりそう」と思われた方も多いのではないでしょうか。

確かに人の手による需要予測は、複雑で手間がかかり、色々と検討するあまり従業員の負担となったり、時間がかかったりして結局は機会損失となる場合もあります。また、どうしても過去や自分の経験からの主観が入りがちにもなります。しかし、そういった方も最新のITシステムを導入することで、簡単にレベニューマネジメントを取り入れることができます。

システムによっては、簡単に過去のデータや、競合ホテルのデータと比較検討でき、OTAとも連動できるものなど、運営するホテルにとって最適なレベニューマネジメントが可能になります。レベニューマネジメントの人による実践が難しい場合は、ITシステムの導入も検討するとよいでしょう。

【まとめ】ホテルの売上向上に欠かせないレベニューマネジメントとは?

いかがでしたでしょうか。レベニューマネジメントは正しく実践すれば、客室の需要予測が可能となり、売上の最大化に繋がります。そのためには、正しい需要予測を立て、実践し、検証を繰り返すことが大切です。

人の手で行うのが大変な場合は、適切なITシステムを取り入れることで、自動的に最適なレベニューマネジメントが可能となります。ぜひ参考にしてください。昨今、宿泊施設でのスマートロック導入事例もかなり増えておりますので、資料も併せてご確認いただければ幸いです。

 

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