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公開日2022.06.02

最終更新日2023.08.10

テレワークに対応したマンションが増えるワケとその利用方法とは?

コロナ禍がもたらした働き方やライフスタイルの多様化の最たるもののひとつが、テレワークやリモートワークの普及です。新しい働き方としてテレワークが定着するにつれて、住まいのあり方に対する意識にも変化がみられるようになりました。最近テレワークを意識した新築マンションが続々と登場しています。今回はそのようなテレワーク対応型マンションが増加する背景と、その具体的な事例について解説してまいります。

在宅勤務だけが理由じゃない!マンションのテレワーク対応が進むワケ

テレワークイメージ

マンションのテレワーク対応が進む背景について、先ずはいくつかの統計データを見ながら、現在のテレワークの普及の状況と今後の見通し、それらが新築マンションに及ぼす影響について考察してまいります。

テレワークの普及

新型コロナウイルスの感染拡大も落ち着きを見せ、あらゆる分野で感染収束後のポストコロナ時代にどう対応していくべきかという検討が進んでいます。そのような中、コロナ禍における新しい働き方として定着したテレワークはいかがでしょうか?

2022年3月に公表された国土交通省によるテレワーク人口実態調査結果を見てみましょう。(就業者を対象とするWEB調査、令和3年10~11月に実施)これによると、雇用型テレワーカーのうち約 89%が今後継続意向があり、その理由は「新型コロナウイルス感染症対策として」が 約 49%で最大です。 また、新型コロナウイルス感染収束後 の継続意向は約 84%で、その理由は「通勤時間の有効活用」(約 43%)に次いで「通勤の負担軽減」(約 30%)となっています。

また、同じ調査からは、主にテレワークを実施したい場所として、自宅と回答した人が約84%で最大となっており、次いで、共同利用型オフィス等と回答した人は、条件が合えば利用したいを含め約9%程度となっています。

それでは、雇用主たる企業側の意向はどうでしょうか。2021年12月にロイターが実施した企業調査によれば、新型コロナウイルスで導入が広がったテレワークについて、現在実施中の企業うち感染が落ち着いた後でも「継続する」、「規模を縮小して継続する」との回答が約8割に上っており、働き方改革の一環と位置付けていることがわかります。

以上の調査結果から、就業者側も企業側も感染収束後もテレワークを継続意向が極めて高いという傾向を見て取ることができます。このような背景のもと、テレワーク対応型マンションが増加を続けているというわけです。

新築マンション

それでは、テレワーク対応型マンションとは具体的にどのようなものでしょうか?戸建ての注文住宅であれば 、施主の家庭個々のニーズに応じた間取り、設備をプランニングすることが可能ですから、自宅の中にテレワークに対応した間取りに対応することも容易です。

一方マンションの場合、デベロッパーがあらかじめ広さや間取り、設備などのプランを決定してから販売しますから、個々の家庭のニーズに細かく対応することは困難です。また、広さの点でも戸建てに比べて限りがあります。したがって、テレワークに対応するために、集中して仕事ができる空間やWEB会議に利用できる音に配慮した空間、プリンターなどPC周辺環境が整った空間を共有部分に設けるマンションが増加しているというわけです。

自宅やオフィス以外の「サードプレイス」のニーズ

さらに、テレワークに代表されるオンラインコミュニケーションなどをサポートする企業である株式会社ブイキューブが本年3月に発表した、自宅でも職場でもない「第三の場所(サードプレイス)」に関する実態調査を見てみます。

調査結果によりますと、新型コロナ流行後、家でも職場でもないサードプレイスが必要だと思うと回答したのは全体の約6割にも上り、サードプレイスのニーズが見て取れます。その主な理由は「ひとりの時間がとれる」「やりたい、やるべきことに集中できる」「家だと家族がいる」が上位となっており、自宅で働くことが増えた結果、家庭と職場の境目がなくなり自分の時間を持ちにくくなったことが反映されているものと考えられます。

同じ調査からは、サードプレイスを仕事場所として使いたい人は半数以上。サードプレイスだと自宅より効率的に働けると感じる人は約7割に達しており、サードプレイスに求める環境は「個室であること」「電話・Web会議ができること」「高速ネットワーク」など、テレワーク、ハイブリッドワーク時代に対応したものが上位に来ています。

自宅でテレワーク

デベロッパーの多くがマンションの共用部分に積極的にテレワーク対応の施設を導入する背景には、このような社会の動向があるということも見逃せません。中には、ワークスペースだけでなく、パーティー・集会スペースやブックカフェ、キッズスペースやフィットネススタジオまで備えた新築マンションも出てきています。

マンションの資産価値の向上

今後、テレワークが働き方のニューノーマルとして定着していく中で、テレワークに対応した使いやすいテレワークブースやカンファレンスルーム、プリンターなどのPC 周辺機器やネットワーク設備を備えていることはマンション選びの重要なポイントとなっていくでしょう。長期的に見ても、新しい時代に適応したマンションのあるべき姿として、資産価値の向上につながっていくことと考えられます。この点から見ても、テレワークに対応したマンションは、今後ますます増加することが容易に推測できます。

資産価値向上

【テレワーク対応のマンションの事例】予約・決済とスマートロックの連動で便利な利用が可能

マンションの共有部分にテレワーク施設を導入する際の難点のひとつとして、施設の管理に要するコストの問題があります。また、施設の予約や鍵の受け渡しなど、利用者に予想外に手間がかかってしまう懸念もあります。ここでは、この管理コストの削減と利用者の利便性の向上を同時に実現した住友不動産の取り組みをご紹介します。

住友不動産の事例

2022年4月20日、住友不動産株式会社(本社:東京都新宿区)は、株式会社構造計画研究所(弊社)が提供するスマートロック「RemoteLOCK (リモートロック)」と、株式会社Rebase(本社:東京都渋谷区)が運営するレンタルス ペースの予約プラットフォーム「インスタベース」を活用した予約決済システムを、同社の新築分譲マンション付 帯の共用施設に導入することを発表しました。

住友不動産ロゴ

この「スマートロックおよび予約決済システム」は、物理鍵の必要がなく暗証番号で扉を解錠できる機能を搭載したスマートロックと、スマホから簡単に施設の予約・利用・支払いまでが可能な予約プラットフォームが連携しているため、居住者はいつでもどこでもスマホから簡単に予約ができ、マンションのフロント等で対面での予約や鍵の受け渡しの手間もなく、共用施設を利用することが可能となります。

住友不動産では、このような入居者の利便性向上に加えて、スマートロックには管理の省人化という大きなメリットがあるとしています。省人化によって管理コストの削減が可能となるため、戸数が多くなくマンション管理費に制約のある中小規模物件でも、テレワークルームやパーティルーム等の共用施設を導入することが可能となりました。同社は新築分譲マンション「シティハウス堤通雨宮町」「シティテラス上杉」をはじめとして、75物件(2022年3月末現在)での設置を予定しています。

それでは、実際に入居者がどのように共用施設を利用するのかを具体的に見てみましょう。施設を利用する入居者がスマホやPCでインスタベースのウェブサイトから予約し、支払い(課金が発生する施設の場合)が完了すると、自動的に共用施設入室用の暗証番号がメールで送付されます。暗証番号は予約ごとに付与され、予約した時間帯だけ利用が可能となりますので、利用中に他の人が入室してくる心配もありません。入室の際には入り口のドアに設置されたRemoteLOCKに暗証番号を入力することで解錠できます。鍵の紛失の心配もありませんし、操作はシンプルそのものですから、利用者の年齢を問わずスムーズに利用いただけます。また、予約から利用終了まで人と対面することは一切ありませんので、感染症対策の面でも安心です。

フロー

以上、スマートロックと予約・決済システムを導入することで、マンションの共用施設での管理業務の省人化によるコスト削減と、入居者の利便性の向上を同時に実現した事例をご紹介しました。こうして共用施設に充分な費用を割くことのできる大規模物件でなくとも、コストアップを抑えた形でテレワークルームを設置することが可能となるわけです。

【まとめ】テレワークに対応したマンションが増えるワケとは?

解説してきましたように、コロナウイルスの感染が収束した後も、テレワークはこれからの時代の働き方として定着していくでしょう。マンションの規模の大小にかかわらず。テレワークに対応した施設(個室ブースやカンファレンスルーム)を備えていることは今後のマンションの必要条件の一つであると言っても過言ではないかもしれません。

さらに、テレワークに限らず、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の新しいライフスタイルを応援するような共用施設(ゲストルームやパーティールーム)を設けておくことも居住者のQOL(クオリティオブライフ)や満足度のいっそうの向上につながります。同時に、不動産事業者やオーナーの皆さまには、物件の資産価値を高めることにつながることと考えられます。

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