スマートロックを活用した無人ホテルの最新事例とメリットを紹介!
コロナウィルスの影響で苦戦を強いられているホテル業界ですが、業務の効率化やランニングコストの削減を図るために、ITを取り入れる動きが活発になっています。中でも、特に注目を集めているのが「無人ホテル」です。無人ホテルは文字通り、ホテルにスタッフが常駐しない運営形式ですが、実際にはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか?ホテル無人運営のメリットや、その方法について解説しております。
無人ホテルとは?
無人ホテルとは一般的に、エントランスやフロントにサービススタッフを配置していなかったり、運営や管理スタッフなども常駐はしていないホテルのことを指します。
多くの場合、フロントスペースに受付端末やタブレットが並んでおり、ゲストは端末上で本人確認やチェックインをします。鍵も端末上からカードキーが出力されるケースや、暗証番号が表示される場合もあり、いずれの場合も非対面で鍵の受け渡しが行われます。
一言で無人ホテルといえど、その実態はさまざまで、ホテル内のスタッフルームや事務所には、バックオフィスのスタッフが控えており、緊急時はすぐにスタッフが対応できるようにしていたり、施設内にはいないものの、近隣エリアにスタッフや運営委託先の待機場があり、何かしらトラブル等あった場合は、すぐに駆け付けられる体制にしているケースもあります。
無人ホテルの先駆けとなった「変なホテル」
無人ホテルの先駆けとなったのは大手旅行代理店エイチ・アイ・エス (H.I.S.) グループであるH.I.S.ホテルホールディングス株式会社が運用している「変なホテル」でしょう。受付にはロボットがいて、かなりインパクトがありますが、チェックインは専用のチェックイン機を使って手続きする形式です。
清掃業務もロボット掃除機が行うなどIT活用を進める一方で、「お客さまとの接点は減らすが、お客さまの満足度を下げない」というコンセプトで、ゲストの満足度も高いようです。現在では海外の2つを含む21カ所で展開するなど、完全に市場に受け入れられたことがうかがえます。
大手チェーンでセルフチェックインが増加
近年では、ビジネスホテル向けの自動精算機・セルフチェックイン機を導入するホテルも増えてきました。本人情報の確認や、精算、鍵の受け取りを専用の端末上で行える仕組みです。フロントにスタッフは駐在するものの、補助的な役割なので業務の効率化が進み、さらにスタッフの数も減らせることからビジネスホテルを中心に大手のホテルチェーンでの導入が進んでいます。
ところが、1台100万円以上~という導入コストやメンテナンスにも費用がかかるケースもあり、小中規模のホテルでは、導入したいがコスト的に厳しいという反応も多くあります。この数年では低コストで導入可能なタブレット端末型のセルフチェックインシステムも複数のメーカーが出しており、100室未満の宿泊特化型施設では特にセルフチェックインシステムの活用が進んでいます。
感染症対策が後押しに
世界的なコロナウィルスの蔓延により、ホテル業界は大打撃を受けていますが、同時にゲスト側の意識も大きく変化することとなりました。ホテルを選ぶ際、これまでのような「価格」「立地」「サービス」だけではなく、「衛生対策」も選択の基準となったのです。
2020年に行われたオンラインメディアのトラベルズー・ジャパン株式会社の調査によると、旅行に対する価値観の変化として「マスクやアルコール消毒などの衛生対策を旅行中でも意識(75.2%)」「混雑した観光地や、混雑する時間の観光を避ける(59.2%)」などと回答しています。さらに「衛生対策がホテルや航空会社などを選ぶ際の基準になる(46.6%)」となっています。
このような状況はアフターコロナにおいても続くと予想されており、非対面や非接触を実現できる無人ホテルは、積極的に選ばれる条件が揃っているともいえるでしょう。
IT導入補助金も低感染リスク型ビジネス枠が
経済産業省が推進する「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」は、これまでにも自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助し、業務効率化・売上アップのバックアップを行っていました。しかし、ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けて「低感染リスク型ビジネス枠」を設定しています。
対象:感染リスクに繋がる業務上での対人接触の機会を低減するような業務形態の非対面化に取り組む中⼩企業・小規模事業者等
この特別枠は、通常枠よりも補助率を引き上げて優先的に支援しており、対人接触の機会を低減するよう非対面又は遠隔でのサービス提供が可能なビジネスモデルへの転換(業務形態の非対面化)を目的としたツール導入などに適用できるものです。※要件や対象となるツールは下記WEBサイトにてご確認ください。
参考:IT導入補助金 公式サイト
状況によっては早期に終了することがありますので、詳しくはHPでご確認ください
無人ホテルが増えている背景
コロナウィルスの影響で、小規模から小規模ホテルにおいては高い人件費を維持するのは難しく、利益を出しにくい状況に陥っています。かといってスタッフを減らすと、サービスの低下に繋がったり状況が変われば人出不足という問題にも直面します。
無人ホテル向けの支援システムの導入は、衛生対策という新しい価値観を背景に、日本特有のホテルの問題を解決するといえるでしょう。
さらにゲストが「おもてなし」よりも「清潔で安価」であることや、「ちょっと変わったホテルに泊まりたい」「スタッフに会わずに自宅のようにリラックスして過ごしたい」など、ホテルの多様化を歓迎していることも、無人ホテルが受け入れやすくなっている理由のひとつでしょう。
このような価値観の変化と同時に、ITツールの進化によりチェックインのセルフ化やオンライン対応が進んでいたり、チェックイン以外のフロント業務やバックオフィス業務もシステムによって自動化や効率化ができるようになってきたことで、ますます無人ホテルを実現しやすい環境となっているのです。
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無人ホテルのメリットと無人化を実現するために必要なこと
では、具体的にホテルの無人化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?運営者側、ゲスト側それぞれのメリットについて説明していきましょう。
ホテル運営者側のメリット
感染症対策のアピールができる
コロナ禍において、感染症対策の実施は大きなアピールポイントになります。検温や除菌スプレー、飛沫防止パネル、マスクの着用などは今やどこでも行っている対策です。
フロントスタッフのいない無人ホテルは一見無機質に見えますが、「3密(密集・密接・密閉)」を限りなく避けられることや、最大の特徴である「セルフチェックイン」や「電子キー」などのシステムで、「非対面・非接触」を効果的に行っていることを強力にアピールすることが可能となります。
さらに、スタッフからゲストへ、あるいはスタッフ同士でのコロナ感染拡大のリスクが大幅に下がるため、特別な予防策などをとらなくても良いという利点もあります。
作業効率化と人的ミスの減少
フロント業務は煩雑な細かい作業が多く、予約や鍵の管理など、ちょっとしたミスが大きなトラブルの元になりかねません。無人ホテルでは、人的ミスが起こりやすい部分をITツールで自動化しているので、トラブルが限りなく減少します。その結果、作業効率が良くなり、ホテル運用のコストダウンや簡素化が図れます
もちろん、導入する際にそれなりの初期費用はかかりますが、長い目で見ると数カ月から数年で人件費分を回収できたり、業務効率が上がることで生産性の高い施策検討につながったりと、人的ミスを減らせる以上の効果が期待できると言えます。
人手不足の解消と人的コストの減少
多くの日本のホテルは、旅館の「おもてなし文化」の流れから、人的労力に重点を置く傾向があり、ホテル全体の支出の中でも約40%が人件費を占めています。
(日本旅館協会:令和元年度営業状況等統計調査より)
無人ホテルの先駆けとなった「変なホテル」では、ロボットや最新ツールを活用することによりスタッフの人数を4分の1以下に減らすことが出来ています。現段階ではベッドメイキングなどは人の手が必要ですが、通常のホテルとしては圧倒的に少ない人数での運営が可能で、人的コストも削減できるのです。
さらに、同じホテルでも、状況や時期によってはスタッフが多すぎたり、逆に人材が集まらなかったりなど、シフト管理が難しいとされていますが、無人ホテルでは、そういった悩みとは無縁になります。
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ゲスト側のメリット
ホテルの無人化は、ホテル事業者だけではなく、ゲスト側にとっても大きなメリットがあります。その一例をご紹介しましょう。
チェックイン・チェックアウトが簡単に
ホテルに宿泊する際、ゲストが面倒と感じるのが「チェックイン・チェックアウト」です。タイミングが悪いと長時間並んだり、鍵の受け渡しや宿泊する人数分の名前や住所を記入したりと時間がかかります。
無人ホテルならセルフチェックインシステムの活用により、ホテルに到着する前にスマートフォンやパソコン上で事前チェックインができる場合もあります。また、鍵も電子キーなので、対面での受け取りや持ち歩きもなくて便利です。短時間でチェックイン・チェックアウトができることは、ゲストにとって満足度の高いものになるでしょう。
コロナ禍における安心
無人ホテルなので、フロントスタッフと対面する場合と比べて、飛沫による感染リスク、感染拡大は圧倒的に少ないと言えるでしょう。
チェックイン・チェックアウトでフロントに並ぶこともないので、3密を避け、簡単にソーシャルディスタンスを取れることもゲストにとっては大きなメリットになるでしょう。
宿泊料金の安さ
無人化や省人化で浮いた人件費は、運営者にとっては収益性の向上というメリットをもたらしますが、その分を宿泊料金に還元して、高品質ながら低料金で泊まれることをウリにしている無人ホテルも多くあります。
スタッフに会わなくて済むことが特別感の演出や快適さに
おもてなしというとスタッフによる懇切丁寧な接客が思い浮かびますが、オンライン化、デジタル化が進む現代では必ずしもスタッフによる対応が、ゲストへ快適さをもたらすとは限りません。
もちろん、フルサービスのホテルや旅館ではスタッフによるおもてなしが大事な要素ですが、家族だけの時間を大切にしたいケースや、ジブン時間を満喫したいおひとりさまにとってはスタッフがいない無人という運営形態が、逆に快適で居心地の良さをもたらす場合もあります。
無人ホテルを可能にするには
無人ホテルは、新しく建設するホテルだけではなく、既存のホテルでも実現することは可能です。ゲスト自身が現地に設置されているタブレット端末やゲストのスマートフォン上でチェックインを行う「セルフチェックインシステム」、物理キーが不要でオンラインで鍵管理ができる「スマートロック」、そして、これらとシステム連動する「サイトコントローラー」を利用すれば、予約管理から、チェックイン・チェックアウト業務、客室の鍵の受け渡しなどを自動化することができます。
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スマートロックを活用した無人ホテルの事例
このようなメリットの多い「無人ホテル」ですが、無人化を実現する上で、欠かすことのできないITツールとして「セルフチェックインシステム」と鍵の受け渡しを非対面で行える「スマートロック」があります。
実際に、弊社の施設向けスマートロックである「RemoteLOCK(リモートロック)」を活用した無人運営の事例をご紹介しましょう。
エレベーターで不正侵入を防ぐ『ホテル・ザ・博多テラス』
ホテル・ザ・博多テラスを運用している株式会社リクリエ様では運営するホテルの客室300室以上でスマートロック「RemoteLOCK」を採用しており、セルフチェックインシステム「Tabiq(タビック)」の活用とともにホテルの無人化・省人化を実現しています。
無人ホテルのリスクの1つに「宿泊者以外の不正な侵入」がありますが、エレベーターをオートロック化し、ゲストが持っている暗証番号でエレベーターを利用可能にすることで、宿泊フロアのセキュリティを高めつつ、エントランス開放によるウォークイン客の獲得を可能にしています。
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チェックインから入室もスムーズで快適!和風ゲストハウス『ルームス水前寺』
熊本の観光名所としても有名な水前寺公園や熊本県庁に近い立地の『ルームス水前寺』は令和元年に無人ホテルとしてオープンしました。最新のITシステムを導入していますが、客室は和モダンで落ち着く空間が特徴的です。
エントランスを入ると、セルフチェックインシステムがお出迎えしてくれ、タブレットでのチェックインを経て自分の客室へ入室します。セルフチェックインシステムには「minpakuIN(民泊イン)」、「minpakuIN」と連動するスマートロックとして「RemoteLOCK」を利用している事例です。
人気のアパートメント型ホテル「FAVホテル」
FAVホテルは、都会から自然豊かな地域まで展開しており、「発見と体験があふれる自由な旅」を満喫することができます。外国人旅行者が、友達同士や家族と一緒に普段の生活をしながら、旅行を楽しめることで人気のホテルです。
部屋には、電気ケトル、金庫、ハンディ掃除機、ローテーブル、冷蔵冷凍庫、電子レンジなどが備わっています。FAVホテルの客室の扉にはRemoteLOCK(リモートロック)を導入いただき、チェックインから入室までが非対面で行える点も魅力です。
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【まとめ】最新の無人ホテルとは?メリットとスマートロックを活用した無人ホテルの事例
今回ご紹介した無人ホテルの最新事例はいかがでしたでしょうか?コロナを契機にますますITを活用した自動化が進む中でホテル運営においても無人や非対面という形態が受け入れられているとともに、運営者においては人件費の削減、生産性の向上、ゲストにとっては快適な滞在が安く手に入るというメリットもあり、大変注目を集めています。
以前なら無機質な印象も受けた無人ホテルですが、コロナの影響で市場のニーズも変化し、「非対面・非接触」などの感染症対策の最前線として、積極的に選ばれるホテルとなっているのです。
需要が戻るアフターコロナに向けて、状況に応じて一部を省人化したり、夜間だけ無人化するなど柔軟な運用ができる無人ホテルのシステムを、競合に打ち勝つための新たな施策として検討してみてはいかがでしょうか。
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