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公開日2024.07.12

最終更新日2024.07.16

保育園の入室管理をスマートロックで? 押さえておくべき4つのポイント

保育園施設におけるセキュリティ対策は子どもを犯罪から守る上で非常に重要です。保育園とスマートロック、一見無縁のように感じられる方も多いと思いますが、そんなことはありません。今回は保育園のセキュリティ対策について、総合的な見地から解説するとともに、その中でのスマートロックを始めとするITツールの役割について紹介します。

保育園のセキュリティ対策における4つのポイント

保育園施設におけるセキュリティ対策は、大切な子どもたちの安全を確保するために、そして保護者の皆さんには安心して子どもたちを預けていただくために、非常に重要な要素となります。この章では、保育園におけるセキュリティ対策を考える上で押さえておくべきポイントについて解説します。

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子どもたちの安全が第一

保育園や幼稚園は子どもたちの命を預かる場所です。大切なお子さんを預ける親御さんにとっても、どのようなセキュリティ対策が施されているかという点は施設を選ぶ際の最も重要な要素の一つになります。

保育園や幼稚園のような施設に特に多くみられるのが盗難や不審者の侵入などの被害だといわれていおり、中には人命にかかわるような重大事件も報告されています。そのような被害を未然に防ぐという意味でも、セキュリティ対策は施設運営者にとって非常に重要な課題です。

保育園や幼稚園の大きな特徴として、働いているスタッフは保育士さんなど女性の割合が多いことが挙げられます。セキュリティ対策の構築にあたってはこの点に配慮しておくことが必要です。また、保育園は幼稚園に比べて保育対象年齢が低く(1歳未満の乳児も対象)、保育時間も長い(午前7時半ごろ~午後18時ごろが一般的)という特徴があります。保育園のセキュリティを考える上では。この点を考慮しておく必要もあるでしょう。

保育園3

いずれにしても、子どもを預かる保育園や幼稚園においては、一般社会人を対象とした各種施設とはまったく異なる視点からのセキュリティ対策が望まれます。なによりも、大切な子どもたちの安全を第一に考えた、ていねいで、かつ効果的なセキュリティのあり方を考えたいものです。

保護者への対応はどうするか?

保育園や幼稚園の運営において、保護者の方々とどう向き合っていくかということは非常に重要です。毎日の子どもたちの施設への送迎は、原則として保護者が責任を持って行います。したがって、保護者の方々が安心して子どもたちを送り迎えできる体制が整えられていることは、最低限必要でしょう。特に、保育時間が比較的長く、送迎の時間がバラバラになりがちな保育園にも、保護者の側に負担が生じないような配慮が望まれます。

送迎

また、仕事や健康上の理由により、保護者自らが送迎を行なうことがかなわないケースもあります。その場合、保護者の代理の方が子どもの送迎の役割を務めることも想定しておきましょう。

加えて、施設を日々円滑に運営していくにあたって、保育士さんを始めとするスタッフは保護者の方々と常に良好なコミュニケーションを保っておく必要があります。実際に保護者の方々とスタッフが接するのは、送迎の際のわずかな時間かもしれません。しかし、日々の小さなコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を作る基本です。子供の成長を願いながら、双方が積極的に関わっていくことが望ましいと考えられます。

施設のセキュリティ対策を考える上では、こうした保護者による送迎や、スタッフと保護者のコミュニケーションを阻害しない、むしろプラスになるような工夫が求められます。

想定しておくべき不審者対策

保育園や幼稚園をねらう犯罪から子供たちを守るために、最も警戒すべき事象が不審者の侵入です。実際、子どもを預かる施設へ不審者が侵入する事態は、私たちが想像する以上に多数発生しているといわれています。中には、刃物などの武器を持った不審者が侵入したという深刻なケースも複数報告されています。

不審者

このような不審者対策として、スタッフが不審者を発見した場合にいかに安全に周囲の大人や警察に連絡を取るか、普段の子どもたちへの指導はどうあるべきか、万が一の場合は子供たちをどのように避難させるか、などといったことを常日ごろから訓練したり、マニュアル化して共有したりしておく、といったことは重要でしょう。

しかし、それ以前に必要なことは、不審者を絶対に施設内に侵入させない、という体制を構築しておくことです。そのためには、許可された人物以外は入室できない厳格な入室管理を確実に実現できるスマートロックや、施設のエントランスや建物の入口付近を常時監視するセキュリティカメラなど、最新のシステムやツールが非常に役に立ちます。

スタッフの負担低減へも配慮を

現在、さまざまな業種で労働力の不足が深刻な問題となっています、保育園や幼稚園もその例外ではなく、その結果、多くの保育士さんが、休憩が取れない、長時間残業が恒常化している、などの過酷な勤務条件の下で働かざるを得ない状況に置かれているといわれています。

そのような中、施設のセキュリティを強化するからといって、保育士さんやその他スタッフにさらなる負担を課してしまうことは得策ではありませんし、場合によっては逆効果になってしまいかねません。誰しも過重労働の環境の中では注意力も散漫になってしまいがちです。不注意からセキュリティ上の重大なチェックポイントを見逃してしまうようなことがあっては元も子もありません。

したがって、施設のセキュリティ対策を進める上では、保育士さんを始めとするスタッフの新たな負担にならないこと、逆に新しい施策によってそれまでの負担が軽減され、本来の業務により集中できる、ひいては職場環境の改善にもつながる、そのような手法を導入することが望ましいと考えます。

セキュリティをサポートするシステムやツール

第1章でも触れましたが、これからの保育園運営において、スタッフに新たな負担を生じさせることなくセキュリティを向上させるには、最新のシステムやツールを賢く利用することです。この章ではその実例を具体的にご紹介します。

スマートロック

保育園施設において、しっかりとした入退室管理を行ない、不審者の侵入を許さない環境を構築するには、スマートロックが一番のおすすめです。

RL-1

ただ、ひと口に保育園施設と言っても、施設の形態や構造はさまざまです。建物の構造だけをとってみても、敷地内に園庭を備えた独立型の施設、オフィスビルのワンフロアを利用した施設、マンションなどの一室を改装した小規模な施設など、千差万別となっています。

一方、スマートロックにもさまざまなタイプがあります、スマートロックとは、物理的な鍵の代わりに何らかの電子的な認証方法を用いて、入室権限が付与された人に限ってドアの解錠・施錠ができるという入退室管理システムです。解錠方法だけをみても、スマホアプリを利用するもの、パスコード(暗証番号)を利用するもの、ICカードを利用するもの、顔認証や指紋認証など多種多様です。

したがって、施設の形態や構造、スマートロックを利用する人々の属性などを考慮した上で、最適な選択をすることが望ましいと考えられます。保育園という施設の性質を考えた時には、スタッフだけでなく、子どもたちを送迎する保護者の皆さん、外部の協力スタッフの皆さんなど、さまざまな立場の人々の間で入室権限が共有される必要があります。その点、解錠方法はできるだけシンプルなものがおすすめです。

例えば、スマホアプリを利用するシステムでは、自分のスマホにアプリをインストールしなければならないという点に抵抗を感じる利用者が少なくありません。また、近年普及しつつある顔認証や指紋認証のシステムでは、いまだにシステムによって精度差があるといわれていますし、「顔」や「指紋」といった個人情報をどう取り扱うかという懸念も生じます。

防犯カメラ・赤外線センサー

保育園施設のセキュリティの確保に力を発揮するもう一つのツールが防犯カメラです。出入口付近に防犯カメラを設置しておけば、それだけで不正侵入やその他不法行為への抑止力になります。さらに何らかの非常事態が発生してしまった場合には、映像の記録が残りますので、警察との連携などその後の素早い対応に役立てることができます。

防犯カメラ-2

さらに、防犯カメラを園内の適当な場所に複数設置しておけば、忙しい保育士さんの目の届かない範囲まで常時見守ることも可能になりすので、子ども同士のいじめやけんかなどといった園内でのさまざまなトラブルを予防することができますし、万が一トラブルが発生した場合には、その解決のための一助とすることができます。

また最近では、施設内各所に赤外線センサーを取り付け、センサーが侵入者などを検知するとアラームが鳴って管理者に通知したり、防犯カメラと連携してすみやかに映像を共有したり、といった方法も普及しつつあります。

このような防犯カメラは、以前であれば、カメラ本体や録画システムなどを購入し、それらを維持していくための費用が大きな負担になっていました。しかし、近年はクラウドを活用した防犯カメラシステムが各社から提供され、リーズナブルな月額費用で利用できるようになっています。施設運営者の皆さまは積極的に導入を検討してみてはいかがでしょうか?

警備会社によるサービス

保育園施設におけるセキュリティ対策の一つの選択肢として、警備会社が提供する保育園等施設向けの総合セキュリテイサービスがあります。その内容は、警備会社やプランによってさまざまに異なりますが、一般的に、監視カメラ、各種センサー、入退室管理システム、SOS非常ボタンなどといった防犯機器の最適な組み合わせを専門的な視点から提案・提供してもらうことができること、侵入者が検知されたり、その他非常時にはすぐに警備員が駆けつけたり、必要に応じて110番通報などもできることが大きなメリットです。

警備員

この他、24時間365日体制で常時警備ができることも、プロの警備会社ならではのサービスといえます。また、施設の入口付近に警備会社のステッカーを貼ることができるので、これによって犯罪を未然に防ぐことも期待できます。

一方、デメリットとしては、警備会社に対する定期的な費用が発生しますので、長期的な視点で見るとコストがかさむ場合があること、常時監視されることでプライバシーの問題が生じることがあり、保護者や職員からの反発を招く可能性もあること、警備会社に依存しすぎると、保育園自身のセキュリティ意識や自主的な対応能力が低下する恐れがあること、などが挙げられます。

いずれにしても、施設の形態や規模、期待される費用対効果、スタッフや保護者の皆さんの理解度などを考慮した上で、慎重に判断したいものです。

個人情報に関するセキュリティ対策は?

最後に解説しておきたいのが情報セキュリティの問題です。保育園では、子どもの氏名、写真、健康や発達に関する記録、連絡先、家庭状況など、多くの個人情報を取り扱います。このような個人情報の取り扱いは、個人情報保護法や児童福祉法などの法律によって厳格にルールが定められています。

したがって、保育士の皆さん始め施設のスタッフが業務で知り得たこれら個人情報を外部に漏洩してしまうことは、絶対に避けなければなりません。個人情報に触れる話題は園外では口にしない、個人情報が含まれる書類やデータは園外に持ち出さない、SNSへの投稿は特に注意を払い、子どもが特定できるような情報は発信しない、などといった基本ルールを各人がしっかり遵守することが、情報セキュリティの基本です。そのためには、職場内で個人情報に関わる行動指針を文章化してしっかりと共有しておく、個人情報の取り扱いに関する研修を行なう、などといったことも有効でしょう。

保育士

最近では、多くの保育園で、インターネットやスマホアプリなどを活用して、保育士さんたちの日々の業務を軽減し、効率化を図るシステム、保育園・幼稚園ICTシステム(保育業務支援システム)が導入されています。システムの導入によって「事務作業が楽になり、その分子どもと向き合う時間が増える」と、現場の保育士さんはもちろん、園の管理者や保護者の方々の間でも高く評価されているといいます。

このようなシステムを選ぶ際にも、子どもたちの大切な個人情報を管理するという観点から、セキュリティ対策がきちんと取られたサービスを選択する必要があります。データ通信の暗号化、各種条件に基づいたアクセス制限、データセンターの所在地、外部監査機関による審査の有無、などがそのポイントとなります。

そして、どのようなシステムを導入するにしても、システムを利用するのは人間です。利用する側がそこで取り扱う個人情報の重要性を自覚し、常に注意を怠らずに行動することが望まれます。

RemoteLOCK導入保育園に見るスマートなセキュリティ構築

この章では、すでに弊社の提供するスマートロックシステムRemoteLOCKとアクセスコントロールシステムTOBIRAを導入いただいている大阪市中央区のハピオスインターナショナル様の事例を紐解きながら、保育園施設においてどのような形でスマートロックが役立てられているかを具体的にご紹介してまいります。

ハピオスインターナショナルとは?

大阪中央区のハピオスインターナショナルスクールは、「自分で考える力と、自分の思いを伝える力をもって、たくましく世界へはばたける人」をはぐくむ教育を提供することをモットーに、英語教育を取り入れたユニークな保育プログラムを実践しています。施設面では、敷地面積400平米というゆとりのある空間で子どもたちが伸び伸びと駆け回ることができる恵まれた環境にあります。

ハピオスインターナショナルでは保育園経営を行なっていく上での3つの柱として、次の項目を掲げています。

①     ひとりひとり違う『個性』をいかに輝かせることができるか
②    国や文化、宗教、価値観を超えて受け入れる感性・多様性の学び
③    愛情たっぷりのオーガニック給食で元気いっぱい

こうした方針のもと、子どもたちの個性を尊重しながら、ネイティブ(外国人)教師やバイリンガル教師による少人数クラス、「食育」の思想に基づいたオーガニック食材による給食、表現力を身につけるための独自のカリキュラム、などが同施設の大きな特徴となっています。

TOBIRAとRemoteLOCKを上手に使い分け

このハピオスインターナショナルでは、建物の入口にTOBIRA事務所やプレイルームの入口にはRemoteLOCK 7iを導入いただいています。

TOBIRAとRemoteLOCKを採用するに至った決め手として、同保育園の代表である内田洋介氏は、朝晩の送迎時に入退室人数が多く、アプリ必須タイプでは運用に耐えられないと考えていたこと、セキュリティシステムとして考えると、両面テープや磁石で取り付けるタイプの製品は現実的でないと考えたこと、費用面で他社のサービスと比較した時にTOBIRAとRemoteLOCKは初期コストは若干高いものの、長期的にはランニングコストやサーバ購入費・保守費といった面での優位性があること、などを挙げています。

また、建物の入口にRemoteLOCKでなくTOBIRAを選択した理由としては、リアルタイムに遠隔解錠が出来るTOBIRAにすることで、入口からインターホンを鳴らすと映像がスタッフルームの画面に届き、顔を確認したら解錠するというオペレーションを行いたかったため、としています。

RL&TOBIRA

TOBIRAは管理システム上からの遠隔解錠はもちろん、個人ごとに割り当てた暗証番号でも解錠出来るため、カード式の入退室管理システムのように、常時入館する保護者やスタッフの数だけカードを発行するという手間やコストがかからない点もメリットだと感じていただいているそうです。

園内のセキュリティ強化と入退室の利便性向上を両立

もともとハピオスインターナショナルでは、保育園という特性上、子どもにとって安心で安全な場所を提供する必要があり、そのためにはセキュリティ面を高める必要があるということを強く意識しておられました。同時に、単にセキュリティを厳重にするということだけでは、保護者の方やスタッフの入退室のスムーズさを損なってしまうのではないかという懸念もお持ちでした。

TOBIRAとRemoteLOCKを導入いただいた結果、園内のセキュリティ強化という課題を、保護者の方やスタッフの利便性を損なうことなく実現することができ、さらにオペレーションの効率化が実現できたことによりスタッフの業務負荷も軽減できた、と評価いただいています。

システムの運用面でも、必要に応じて解錠履歴を管理システム上で確認したり、アクセス権を曜日と時間で制限できるスケジュール機能を使って開放状態にしておく時間と施錠しておく時間を切り分けたりと、施設の運営方針に沿って、便利に活用いただいているようです。

ママ友イベントなどへの施設の一部貸し出しも可能に

ママとも

権限を付与された人たちにだけが、限られた時間の範囲で建物や部屋に入場できるというTOBIRAとRemoteLOCKの基本機能を応用すれば、これまで保育園では実現困難と思われたさまざまな試みも実現可能になります。

ハピオスインターナショナルでは現在、お母さま方からの要望をふまえ、「ママ会」のイベント会場としてプレイルームを貸し出して有効活用したいという構想をお持ちです。その他にも、地域の方々との親子の交流イベントや、保護者向けのワークショップなど、スマートロックの機能を賢く活用すれば、施設の運用の幅を拡げることが可能となるでしょう。

【まとめ】保育園運営にも効果を発揮するスマートロック

今回は保育園や幼稚園など、子どもたちのための施設におけるセキュリティ対策のあり方を解説するとともに、その中でスマートロックを始めとするITツールを活用することのメリットについてご紹介してまいりました。

スマートロックといえば、多くの方はホテルや民泊、オフィス、レンタルスペースなどでの利用をイメージされることと思いますが、最近は現実として保育園や幼稚園での需要も高まっています。今回の記事が子どもたち向けの施設でのセキュリティ対策を考えていただくための一助となれば幸いです。

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