【まとめ】コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿の省人運営について
グランピングなどで人気の、コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿を「省人運営」するスタイルが増加しています。省人運営が増えている理由とは?メリットと問題点、さらにそれを可能とする最新システムについて解説します。
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で省人運営が増えているわけ
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿が、グランピングなどで利用されることが多くなりました。それらを運営するスタイルとして、「省人化」が1つのキーワードとなっています。この章では、まずコンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿について解説したあと、省人運営が増加している理由やメリットについてご紹介します。
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コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿とは
コンテナやトレーラーを活用した「一棟貸し」スタイルの宿が人気を集めています。そもそも「一棟貸し」とは、独立した客室(建物)をまるごと貸し切り、隣り合った客室がないため、人の目を気にせず宿泊できる形態の宿です。
隣室を気にせず賑やかに滞在したいグールプでの利用や、反対に、誰にも邪魔をされず静かに過ごしたい人などに選択されています。一棟貸し宿には、リゾート風ヴィラや、古民家をリノベーションした宿、別荘風のコテージなど様々な種類があります。
コンテナ・トレーラーを活用した宿泊施設は、他と比べて初期コストが低く、狭い土地でも設置可能なため、一棟貸し宿として注目されるようになりました。
特に、新しいキャンプの形として定着しつつあるグランピングでは、テントやドーム型テントと並んで高い人気があります。コンテナやトレーラーハウスは、頑丈で安全性が高く、防音などに優れているためです。
さらに室内は、ホテル同等の設備が設置できるため、キャンプ初心者やアウトドアが苦手な女性があえて選択するケースが増えています。
省人運営が増えているわけ
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿では「省人運営」がスタンダードになりつつあります。省人化とは、業務や作業を見直して無駄を省き、人の関わりを少なくする取り組みを指します。具体的には、ITシステムなどを導入して、業務を効率化、自動化することです。
もともと省人運営は、人手不足を補うため、又は人的コスト削減の施策として取り入れる施設がほとんどでした。しかし、2020年のコロナウィルス蔓延以降、感染症対策の一環として、「非対面」「非接触」の必要性から、一気に拡大しました。
省人運営を支えるシステム自体も進化を遂げており、安価で簡単に導入することが可能となりました。そのため、他のホテル運営よりも業務が増えがちな、コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で多く採用されるようになったのです。
省人運営のメリット
省人運営は、ITシステムなどをうまく取り入れることで多くのメリットを得る事ができます。コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で「省人運営」をするメリットは、次のようなものです。
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で省人運営をするメリット
- コスト削減につながる
- サービスの向上が可能になる
- 人的ミスが減少する
- 顧客満足度向上につながる
これらのメリットをそれぞれ解説しましょう。
メリット①:コスト削減につながる
省人運営はコスト削減に繋がります。運営に必要となるスタッフを最少人数に抑える事ができるためです。コンテナ・トレーラーを活用した宿泊施設は、一般的なホテルと比べて客室が離れているため、移動などが大変です。ホテル並みのサービスを提供しようとすると、多くのスタッフが必要となり、人件費が高くなりがちです。
省人化のためのシステムを導入することで、業務が自動化するため、少人数での運営が可能となります。もちろん、システム導入には、初期コストが少なからずかかります。しかし長期的に見ると、継続して人件費をカットすることができるため、コスト削減に繋がります。
メリット②:サービスの向上が可能になる
省人運営は、サービス向上にも繋がります。システムによってチェックインや客室、金銭管理など、面倒な業務が自動化するため、ゲストへのサービスを厚くすることが可能になるためです。
「スタッフが少なくなる分、サービスが低くなるのでは?」と考えがちですが、人が関わる業務が簡素化すると、ゲストへのサービスだけに専念することができます。そのため、省人運営は、結果的にサービスが向上するのです。
メリット③:人的ミスが減少する
省人化経営のために導入するシステムによって、人的ミスが減少します。たとえば、決済システムを導入すれば、現金の管理がなくなるため、釣り銭間違いなどのミスが無くなります。スマートロックを導入すれば、鍵の管理がなくなる上、紛失や盗難トラブルが回避できます。
また、一般的にコンテナ・トレーラーを活用した一棟貸しスタイルの宿泊施設は、大自然や広大な場所に設置されることが多くなります。システムによって業務が自動化し、客室の一元管理が可能となれば、スタッフの負担が軽減されます。サービスの二度手間や行き違いが無くなり、人的ミスも起きにくくなります。
メリット④:顧客満足度が向上する
省人運営は、ゲストにとっても大きなメリットがあります。さまざまな手続きがスマートフォン上で行えるため、不必要な移動がなくなり、面倒な手続きが簡略化し、時短になるからです。
たとえば、セルフチェックインシステムが利用できれば、フロント棟に行ったり、並んだりすることなく、直接客室に入る事ができます。スマートロックが導入されていれば、鍵の受け渡しや紛失の心配もなくなります。決済システムが利用できれば、チェックアウト時に並んで支払いをする手間も無くなります。
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿では、施設間に屋根が無いため、天候によっては移動が大変です。そのため、このようなシステムはゲストに大変喜ばれる施策となります。さらに、他のゲストやスタッフに会う機会が少なくなるため、プライペート空間で滞在を自由に楽しむことができます。
省人化のシステムをうまく利用すれば、必然的に顧客満足度が高くなります。
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で省人運営をする際の問題点
省人運営をする際に、コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿だからこそ、問題となる点もあります。それは次のような問題点です。
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で省人運営する際の問題点
- 管理棟と客室が離れている
- 客層がグループ滞在となり手間がかかる
- 目が行き届きにくい
問題点の解説と、改善ポイントについて、それぞれ説明していきます。
管理棟と客室が離れている
管理棟と客室棟が独立し、離れているため、一般的な宿泊施設にはない大変さがあります。フロントと客室棟を何度も往復することはかなり大変なのです。
さまざまな業務が効率化しているとはいえ、客室へ注文されたものを届ける場合など、実際のサービス提供はスタッフが行うケースが多くなります。寒さ、暑さはもちろん、風が強い場合や、雨が降っている中で行き来するのは、一般的なホテルには無いことです。
そのため、次のような対策が考えられます。
フロントと客室棟を往復する手間を減らすために
- 管理棟と客室棟の通路はコンクリートやアスファルトにする
- 雨の日や季節によってサービスを限定する
- 必要な物(アメニティ・貸し出し機器など)は事前予約制にする
客層がグループ滞在となり手間がかかる
一棟貸しスタイルは、グループ滞在が多くなるため、他の宿泊スタイルと比べて手間がかかる場合があります。
特に、コンテナ・トレーラーを利用したグランピングは
・手ぶらでキャンプ体験が楽しめる
・ホテル並みの快適さ
が売りとなっているケースが多くなります。
そのため、大人数分のキャンプ道具、釣り道具、焚き火、バーベキュー設備、食材、その他足りないものなどを「貸してほしい」「用意してほしい」など、さまざまな欲求に答える必要があります。さらに、客室間が離れているため、プライベート気分でつい羽目を外してしまうゲストも多くなります。お酒で気が大きくなって、無理な注文をする人もいるでしょう。
対策として、運営側で取り決めた「宿泊のルールと禁止事項」を事前に作成することをおすすめします。宿泊する前に、一つ一つの項目を確認してもらうなど、問題が起こる前に対策をしておきましょう。
項目の中に、次のような文章を入れておくことをおすすめします。
宿泊ルールで記載するべき文章の一例
- 故意・過失による施設、備品等の破損が生じた場合、修復にかかる費用をお客様に請求させていただきます。
- すべてのお客様が滞在を楽しんでいただくための配慮をお願いいたします。他のお客様のご迷惑になるような騒音等が生じた場合、お声がけさせていただく場合がございます。
- スタッフの指示に従っていただけない場合、宿泊をお断りさせていただくこともございます。
目が行き届きにくい
コンテナ・トレーラーを利用した一棟貸し宿は、死角が多くなるため、省人化することでさらに目が行き届きにくくなることも注意するべき点です。
建物が独立しているので、なにかトラブルがあったときにもすぐに把握することが難しくなります。特にコンテナは、防音性に優れているため、中で病気や怪我をしても、気がつくのが遅れる可能性もあります。
そのため、次のような対策が考えられます。
トラブル防止のためにできること
- 定期的にコンテナ・トレーラー間を巡回する
- コンテナ・トレーラーの死角に防犯カメラを設置する(カメラは問題行動の抑止効果があります。)
- 室内外にフロント直結の防犯ブザーを設置する
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第2章でご紹介した問題点は、省人化を実現するためのシステムを導入することで、解決することができます。コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿を成功させるツール(システム)についてみていきましょう。
フロント業務を省略するセルフチェックインシステム
セルフチェックインシステム(モバイルチェックインシステム)を導入することで、フロント業務を省略することができます。たとえば、チェックインの際の宿泊者名簿の取得や、ビデオ通話による本人確認がモバイル上で可能になります。
決済システムと連携すれば、精算業務も自動化されます。スタッフが常時フロントで待機する必要がなくなり、他のサービスに注力することができます。
ゲストは、自分のスマートフォンや、宿に設置してあるモバイル(セルフチェックインシステム)を利用してチェックイン・チェックアウトを済ませます。いちいちフロントに行く手間や時間がなくなるため、ゲストにも好評です。
鍵の管理や受け渡しの手間を省くスマートロック
スマートロックをはじめとする電子キーは、フロントでの鍵の管理や受け渡し業務を無くします。チェックインシステムと連携することで、フロント自体を設置しないことも可能となります。
鍵の持ち歩きがなくなるため、紛失や盗難などのトラブルを防止できるほか、運営者は客室の入退室状況をパソコンで一元管理できるため、スタッフが効率よく動けるようになります。物理的に距離が離れがちな、コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿スタイルとは、大変相性の良いシステムです。
その他、省人化を可能とするツール
基本的に、セルフチェックインシステムやスマートロックの導入だけでも省人化は実現します。しかし、それらと一緒に利用することで、さらに業務が効率化し、省人化を促進するツールをご紹介します。
①:決済システムと自動精算機
スマートフォン等で利用できる決済システムを導入すれば、決済業務が一気に簡略化します。たとえば、グランピングなどの施設がある場所では、現金の管理や、毎日の釣り銭の用意だけでも大変な場合が多いでしょう。
決済システムを導入すれば現金の取扱がなくなるため、釣り銭違いなどのミスも無くなり、毎日の精算作業も一瞬で終わります。現金での現地決済が必要な場合は、コード決済も可能な自動精算機を設置すると良いでしょう。
②:監視カメラ
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿で、安全な省人化経営をするなら監視カメラは外せません。カメラで死角をなくせば、グランピング施設内の巡回業務を最小限にし、少ないスタッフで安全な運営が可能となります。
専用のアプリで複数台のカメラを管理し、鮮明な画像や音声を録画することも可能です。なにかあった場合も、瞬時に振り返りができるので安心です。あえてカメラを目立つように設置することで、トラブルや犯罪の抑制効果もあります。
③:宿泊予約システム(PMS)
宿泊予約システム(PMS)は、宿泊にまつわる情報を一元管理できるシステムです。従来の電話での予約受付や、紙の台帳・エクセルなどを利用した予約管理の場合、手間も時間もかかる上、人的ミスも起こりやすくなります。スタッフがフロントに常に常在する必要もあるため、フロントの省人化は実現できません。
宿泊予約システム(PMS)を導入することで、宿泊予約や残室数の管理、料金精算、顧客情報の管理など、フロント業務のほとんどを自動化することが可能になります。
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いかがでしたでしょうか?コンテナ・トレーラーを利用した宿泊施設は設置が簡単で、利用しやすい反面、他の施設にはない注意するべき点もあります。省人化を促進し、問題点を補ってくれるのが、スマートロックなどのITツールやシステムです。
コンテナ・トレーラーを活用した一棟貸し宿の省人運営について、メリットや問題点、さらに可能とするツールなどがご理解いただけましたら幸いです。