増加するプライベートヴィラ、人気のヒミツと開業のポイント
宿泊のスタイルが多様化する中、「プライベートヴィラ」の増加が注目を集めています。一棟貸し宿など「バケーションレンタル」という概念が浸透する中、プライベートヴィラの人気の秘密とは何か、開業のポイントと3つの事例をご紹介します。
需要急上昇!プライベートヴィラとは?
新型コロナウィルスへの規制緩和を受けて、旅行者が増加するとともに「プライベートヴィラ」の開業が相次ぎ、人気も急上昇しています。そもそもプライベートヴィラは「一般的なヴィラ」と何が違うのでしょうか。また、人気の理由も詳しく解説していきましょう。
プライベートヴィラと一般的なヴィラとの違い
プライベートヴィラの説明をする前に、まずは一般的なヴィラについて説明しましょう。
一般的な「ヴィラ」とは
ヴィラとは、基本的に一棟貸しのスタイルで、独立した棟まるごとを客室として利用します。高級なリゾート地などに多く、自然豊かで広大な敷地の中、快適で贅沢な空間を過ごせます。
ホテルのような単なる「部屋」ではなく、食堂やキッチン、ランドリー、生活備品なども完備され、食事を作って楽しむなど、日常の生活も送れます。施設内にサウナやジャグジー、プール、バーベキュー用具などが備え付けられていることも多く、家族やグループ単位で楽しむことができます。
本来の意味として、貴族が田舎の所領に持つ本邸を意味し、起源は古代ローマ時代にも遡ります。時代とともに意味合いは変化しており、近年に入ると、貸し別荘としての意味が強くなっています。最近ではいわゆる「コテージ」よりも贅沢な宿泊施設として活用されています。
人気急上昇中の「プライベートヴィラ」とは
プライベートヴィラとは、一般的なヴィラよりもさらにプライベート感が強い宿泊施設になります。物理的な距離感や、さりげない境界があり、周囲からの干渉や騒音をほとんど気にせずに滞在できるのが特徴です。
客室内や、客室に付随するデッキなどに、専用のジャグジーやプール、庭園、遊具施設などがあり、プライベートヴィラ内だけで、贅沢に、ゆったりと過ごせます。海外の一部のプライベートヴィラでは、専用のゲートや警備員などなどが配備されていることもあり、外部との接触を最大限に避けることができます。
プライベートヴィラが増加しているわけ
プライベートヴィラの需要が増加しているのは、「バケーションレンタル」という新しいスタイルが浸透してきたからといえるでしょう。バケーションレンタルとはホテルや旅館ではなく、「建物一棟貸し宿」に宿泊することで、コロナ禍で他人との距離を確保できることで注目を集めていました。
中でも、プライベートヴィラは、他の施設よりもさらに周囲の目を気にせずに利用できます。小さなお子様を連れたファミリー層やシニア層はもちろん、ワイワイと楽しみたいグループなどの利用に適しているといえます。
さらに、コロナ禍で「旅行熱」が高まった影響もあり、旅行には多少お金をかけても、贅沢に過ごしたいという人も増えています。普通のホテルではなくて、「非日常感のある宿」に泊まりたいというニーズも、プライベートヴィラの人気の後押しをしています。
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プライベートヴィラを開業するポイント
「ヴィラ」ではなく、あえてプライベートヴィラを開業するには、いくつかのポイントがあります。単に、プライベート感や高級感を強めるだけでは、増え続ける競合との差別化が出来ません。
これからプライベートヴィラを開業するためのポイントは次の3つです。詳しく解説していきましょう。
プライベートヴィラを開業するうえでのポイント
- 差別化が明確であること
- 非日常感のある強いコンセプトがあること
- 施設内で楽しめるアクティビティを充実させること
差別化が明確であること
現在、宿泊業界では多様化が進み、さまざまなスタイルの宿泊施設が開業しています。そのため、同業他社が成功しているからと、似たような施設やサービスを提供すると、市場競争から離脱する可能性があります。
プライベートヴィラを差別化するなら、「施設の斬新さ」はある程度必要ですが、他にはない高級感のある「サービス」が大きな武器になります。
たとえば、地元で生産した特別な農産物食材の提供や、ローカルならではのおもてなし、また、趣味を最大限に味わえるようなユニークの宿泊プランも考えられます。
差別化の例
・高級ホテルでありながらペットと宿泊可能で、シェフが作るペット用の食事が人気のプラン
(参考:コンラッド東京)
・1日3組限定、お部屋にシェフが来て、特別な料理を振る舞うサービス
・サイクリストに大人気「客室に自転車を持ち込める」宿(参考:HOTEL CYCL)
非日常感のある強いコンセプトがあること
宿泊業界のトレンドとして「非日常感」があります。非日常感は、ゲストが日常を忘れるような、特別な体験や空間を提供することで実現します。それには、施設と運営側に一貫した強いコンセプトが必要で、プライペートヴィラも同様です。
一昔前までは、「珍しい」というだけで集客が可能な時期もありました。しかし、単に「ユニーク」や「真新しさ」を追求するだけでは、ゲストの興味を引き続けることは難しくなっています。
最近人気なのは、由緒ある建造物をリノベーションし、歴史的な体験ができる宿や、その土地にまつわるアーティストを感じられるインテリアや内装のホテルなど、「本物が感じられる」ような宿です。
コンセプトの例
・サステナビリティーとエコフレンドリーに配慮したシンプル&ラグジュアリー
・レトロ&ヴィンテージで(昭和/明治/大正等)ノスタルジックな雰囲気を味わえる
・どのような要望にもお応えできる、究極のカスタマイズホテル
・本の世界を旅するためのホテル(参考:ランプライトブックスホテル名古屋
プライベート感を満喫できること
プライベートヴィラで何よりも大切なのは、「プライベート感」です。
そのためにできるのは、次のようなことです。それぞれ説明していきましょう。
①客室を満喫できる設備やアクティビティ
②プライベート感を演出する最新IT設備
①客室を満喫できる設備やアクティビティ
プライベートヴィラは、他の一棟貸し宿よりもさらに客室内で楽しめるような豪華な設備やアクティブティが必要です。とにかく、客室やデッキですべてのことが完結できることが重要で、次のような設備が考えられます。
客室を満喫できる施設やアクティビティ例
・ジャグジー・露天風呂
・プール
・サウナ・スパ
・シアター
・天体望遠鏡
・バーベキューグリル
・庭園・遊具
・プライベートビーチ
・バスケットゴール
・卓球台
・マッサージチェア、など
②プライベート感を演出する最新ITシステム
プライベート感を出すためには、スタッフとの関わりも最小限に抑えることも大切です。
そのためには、次のようなIT設備の利用が考えられます。
《セルフチェックイン・チェックアウトシステムの活用》
セルフチェックインは、ゲストのスマートフォンを利用してチェクインができるシステムです。このシステムがあると、フロントに並んだり、スタッフに会うことなく、直接客室に入室することができます。
チェックアウトも簡単にできるので、ゲストは待ち時間などのストレスなく客室を後にすることができます。
《スマートロックの活用》
スマートロックを導入すれば、「鍵」の受け渡しの必要がなく、スタッフとの接触も最小限になります。また、スマートキーは物理的な鍵がなく、ゲストは自分のスマートフォンや暗証番号で客室の解錠ができます。
持ち運びや紛失のストレスがなく、ゲストの自由度も増しますが、運営側としても、客室の状況を把握しやすいので、管理が楽になります。
《キャッシュレス決済システムの活用》
現金とは違い、釣り銭なども必要がないので、ゲストとしても便利に利用できるでしょう。
プライベートヴィラの3つの人気事例
- 近年、増加を続けているプライベートヴィラですが、其の中でも人気の成功事例を3つ見ていきましょう。
「五感で愉しむ静と動」がコンセプトのVILLA BRAMARE
VILLA BRAMAREは「五感で愉しむ静と動」をコンセプトに、北海道産木材をふんだんに使用したこだわりの空間を愉しめるプライベートヴィラです。全部の客室がスイート使用となっており、他の人の目を気にせず、プライベート空間をゆっくりと過ごせます。
入り口には、土間スペースがあり、サイクル、ゴルフ、スキーなどが楽しめ、また愛犬とも滞在可能です。一歩ヴィラの外に出ると、北海道の新たなシンボルであるFビレッジが広がり、季節や時間を気にせず愉しめるでしょう。
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天橋立へ好立地の メッツォオールスイートヴィラズ
メッツォオールスイートヴィラズは、風光明媚な天橋立へ徒歩10分という好立地にあり、専用のプライベートガーデンで露天風呂が楽しめる、全面オーシャンヴューのプライベートヴィラです。
日本海を眺めながら、プライベートプール、天然温泉のジャグジー付き露天風呂、バーベキューが楽しめます。さらに、京都 天橋立エリアの地元食材をふんだんに使用したお部屋食プランもあり、京懐石も人気です。
美しい宮古島の海を満喫できるヴィラブリゾート
ヴィラブリゾートは宮古島にある、沖縄の古民家風の赤瓦と、バリ調のしつらえが魅力的なプライベートヴィラです。広大なテラスでは目の前に広がる伊良部ブルーの水平線が一望でき、最高のくつろぎを感じる事ができます。
客室の前には、ヴィラ専用のプライベートビーチがあり、シュノーケルなどが楽しめます。国の天然記念物にも指定されているムラサキオカヤドカリに出会うこともあり、非日常感を存分に味わうことができるでしょう。
【まとめ】プライベートヴィラの人気のヒミツと開業のポイント
いかがでしたでしょうか。プライベートヴィラの人気はますます高まっており、これからも各地で開業が相次ぐことが予想されています。このような状況のなか、プライベートヴィラを開業するには、以下の3つを意識することがポイントです。この記事が参考になりましたら幸いです。
プライベートヴィラを開業する際のポイント
・差別化が明確であること
・非日常感のある強いコンセプトがあること
・プライベート感を満喫できること