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公開日2022.12.14

最終更新日2023.12.21

【セミナーレポート】「選ばれ続ける宿に」を実現する宿泊体験のデザイン戦略

今回は2022年9月8日に行われた「宿泊業DX推進委員会」によるWEBセミナーの内容をレポートします。当日は、これからの宿泊施設運営のカギとなる「DX」について紹介しながら、「ブランディング」「モバイルファースト」の2つの観点で、選ばれ続ける宿を実現する方法について紹介されました。

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セミナー冒頭には、「ブランディング」と「モバイルファースト」の2点を本セミナーのポイントと紹介いただき、お客様に提供する旅行体験において様々なタイミングで関わる4つの事業者が紹介されました。

それでは、4社連携で実現するスマートなオペレーションについて発表内容をご紹介したいと思います。

4社連携で実現するスマートなオペレーション

【手間いらず】システム同士をつなぐHUBとなるシステム

手間いらず株式会社 ロゴ

最初の登壇者は、手間いらず株式会社の眞田(さなだ) 智子 氏です。同社からは、宿泊に関する業務を円滑化させるHUBとして「手間いらず」の特徴についてご紹介いただきました。

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手間いらずの概要

「手間いらず」は40社以上の宿泊施設に利用されているサイトコントローラです。一般的にサイトコントローラは多様な機能を搭載していて、利用したい機能にアクセスするのが大変、という課題がありますが、手間いらずはトップ画面に主要機能(在庫調整・料金調整・予約確認)が集約されていて、システムに慣れていなくても簡単に操作できる点が魅力の一つです。

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また、眞田 氏からは管理効率・利益効率の向上に役立つ機能として、複数の客室を連携させるコネクティングルーム設定や、複数の料金プランをまとめて売り止めグループとして設定することで、販売プランの戦略的な調整ができる点も紹介されました。

サービスラインナップ、各社とのシステム連携について

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サービスラインナップとしては、小規模むけの「手間いらずmini」、シンプルな機能で操作性にすぐれた「手間いらず.NET」、施設の管理効率をあげるための機能が充実している「手間いらず.NET2」、そして利益の最大化のため、分析機能や近隣施設の比較機能、ターゲットプライス機能を搭載している「TEMAIRAZU YIELD」の4種類を提供しています。

必要なオプション機能をそれぞれに付与するだけで、運営している施設に必要な機能を漏らさずに利活用することができます。

また、手間いらずは他社システム連携にも強みがあり、登壇者の「CHILLNN(チルン)」のブッキングエンジンや、aipassのPMSおよびモバイルチェックインシステム。構造計画研究所のスマートロックであるRemoteLOCK(リモートロック)の全てとシステム連携しています。様々な連携の組み合わせも生まれるので、まさにHUBの役割を果たしています。

「選ばれ続ける宿」を実現するためにも、施設側は運用システムを自由に組み合わせつつ、ユーザが満足のいく宿泊体験を提供することが大切だと感じました。

【CHILLNN(チルン)】宿泊体験を拡張する宿泊予約エンジン

株式会社CHILLNN ロゴ

2人目の登壇者は、株式会社CHILLNNの鈴木 和師 氏です。同社からは宿泊体験を「拡張」する宿泊予約エンジンとして、同社の事業内容やサービスの提供価値についてご紹介いただきました。

CHILLNNの概要

株式会社CHILLNNは、宿泊施設の企画・運営や、運営ノウハウのコンサルティング、アカデミー講座の提供を行っています。

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宿泊事業者と多くの接点があるCHILLNNが提供する価値の一つは「世界観を損なわない、ブランディングが統一されたページ」です。予約特化型や宿泊体験のストーリー特化型、コーディングを必要とせずに作成できるビジュアル特化型といった幅広い形式で予約ページを作成することができ、WEBデザインの設定を簡単に行うことができます。

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また、「宿泊施設それぞれの価値提案を、ゲストが理解・購入しやすい」点もCHILLNNならではの価値です。予約ページの統一されたブランディングにより、ゲストの理解度・納得感を高めることができますし、宿泊体験をゲストが自由にカスタマイズできることを表現することで、客単価の向上も見込めます。

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予約ページの詳細および導入事例

鈴木 氏からは、グループ会社が運営する「香林居」(石川県)という宿泊施設を例に予約ページの具体例が紹介されました。こちらの施設では予約ページのブランディングを意識することで、施設の体験価値を分かりやすくゲストに訴求しているほか、オプション機能(サウナ・スパ設備の日帰り利用、グッズ購入など)を充実させることで客単価を向上させる工夫も見られました。

なお、CHILLENは一棟貸しの施設やシティホテル・ブティックホテルなど、規模感・ブランドを問わず様々な施設で導入されているそうです。筆者としては香林居のルーフトップサウナ&バス を体験してみたいです。金沢21世紀美術館のすぐそばという立地なので、皆さまも観光のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

【aipass】宿泊業のDXで業務効率化と顧客体験向上を実現する

aipass株式会社 ロゴ

3人目の登壇者は、aipass株式会社の山田 真由美 氏です。同社からは宿泊業におけるDXの考え方や、提供するエクスペリエンスシステム「aipass for hotels」の特徴・事例についてご紹介いただきました。

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宿泊業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

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冒頭、山田 氏からはエクスペリエンスシステムと呼ばれる「UX(旅行者)」と「EX(旅行者)」それぞれの体験を設計する方法や、モバイルファーストの考え方についてご紹介いただきました。

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P/L(損益計算書)を見直し、支出を改善することでも施設運営の効率化は可能ですが、単なるデジタル化の推進に留めず、DX(トランスフォーメーション)として、お客様の体験や従業員の働き方を変えることが大切だとご紹介いただきました。

こうした変革を推進することで、お客様満足度が向上して売上を向上させたり、ビジネスモデルそのものを変革していくことにも繋がる可能性もあるとのことです。

aipass for hotelsの特徴

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続いて、上記のホテルに特化させたエクスペリエンスシステムである「aipass for hotels」について紹介いただきました。ゲストのスマートフォンを使ったスマートチェックインをベースに、必要な機能を組み合わせて利用できるプラグイン機能としてPMSやクーポン機能など、自由に運用設計を行うことができます。

チェックイン~アウトまでの様々な顧客体験を支援する仕組みが充実しており、宿泊後も継続的な接点を作ることができます。従来の予約管理中心の考え方から、「顧客管理」に進展させることができる点は、aipass for hotelsならではの魅力です。

また、aipass for hotel にはオプションとして、必要な機能を組み合わせて利用できるプラグイン機能があります。一般的なホテルシステムは買い切り・保守で小回りがきかなかったところを、施設の運営形態や必要な設備に合わせてプラグイン機能を利用することで、無駄なく柔軟にシステムを活用することができます。ゲストにとっても利便性をあげつつ、アップセル/クロスセルを促進することにもつながります。

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宿泊施設では営業形態を問わず、旅館やビジネスホテルなどの様々な施設に導入されているとのことです。初期費用0円から利用可能なシステムですので、お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

【構造計画研究所】IT・キーレス化で新しいゲスト体験を実現

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最後の登壇者は、クラウド上で入退室を管理するシステムとハードウェア(RemoteLOCK)を展開する、株式会社構造計画研究所(弊社)の塚本 遼太です。会社紹介の後、宿泊施設運営におけるカギのIT化について紹介していただきました。

アフターコロナで宿泊業に求められること

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塚本からは冒頭、施設の運営形態やゲストのニーズが多様化するなかで、「すべての業務サービスを人力で行うことが、必ずしもおもてなしやサービス向上につながるとは限らない」と紹介しました。そのため、アフターコロナでは、「人が提供するべき業務サービス」と「スマート化・効率化するべき業務サービス」を分けて理解し、適切にITを活用していくことが重要といえます。

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「スマート化・効率化するべき業務サービス」の例として、「カギのIT化」であるRemoteLOCKは、ゲストの利用体験とオペレーションの効率化の実現に役立ちます。

例えばセルフチェックインの仕組みを活用することで、宿帳の記入を省略できるように、RemoteLOCKでは鍵の受け渡し部分を省略することができます。こうしたツールを組み合わせるとフロント業務を省力化することができます。またゲスト体験の観点では、鍵をフロントに預ける手間がなくなり、複数人で暗証番号(鍵)をシェアすることも容易で、滞在中のひと手間を減らすことができます。

RemoteLOCKの製品紹介

RemoteLOCKは2017年にサービスを開始し、現在ではグローバルで1日10万組以上(約1秒に1組)の入室を管理をしています。また、50以上の公開サービス(ホテル系のシステムやスペースの時間貸し系の予約システムなど)と連動して、暗証番号の自動発行が可能です。

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製品ラインナップは、従来の暗証番号タイプのものに新しくQRコード対応のRemoteLOCK 8j-Qも加わり、施設の性質や運営者の希望に応じた選択が可能です。

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RemoteLOCK 製品ラインナップ

Q&Aコーナー/参加者からの質問にリアルタイムに回答

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左上:手間いらず株式会社 眞田 氏 右上: 株式会社構造計画研究所(弊社) 塚本
左下:株式会社CHILLNN 鈴木 様 右下:aipass株式会社 山田 氏

最後はQ&Aコーナーです。オンラインで数多くの質問を受け付けました。ここでは、その中から数件ほどピックアップしてご紹介いたします。

「手間いらずmini」は10室以下でしか使えないのでしょうか。
→ 手間いらず株式会社 眞田 氏への質問
【回答】10室以上ある施設様でもご利用いただくことは可能です。ただ、部屋管理に特化したバージョンとなりますため、.NET以上のバージョンをおすすめさせていただいております。ご興味をお持ちいただけるようでしたら、施設様の運用状況などをお伺いして提案をさせていただきます。
ユニークな施設がない場合はどのようにブランディングをすると良いでしょうか。
→ 株式会社CHILLNN 鈴木 氏への質問
【回答】大規模な設備改修はかなりリスクとコストが伴いますので、改修が難しい施設様の場合は「地域」のリソースをうまくコンテンツとして扱っているケースが多くみられます。
セルフチェックインの場合、ご本人確認はどうなりますか?
→ aipass株式会社 山田 氏への質問
【回答】旅館業法上対面、もしくは対面同等の本人確認が必要です。無人施設様の場合は、フロントに旅行者のお顔が鮮明に記録できるビデオカメラの設置をいただいたうえで、セルフチェックイン時に顔写真付きの身分証明書を撮影しアップロードいただくことで本人確認の対応が可能になります。
事前チェックインの割合はどのくらいなのでしょうか。
→ aipass株式会社 山田 氏への質問
【回答】ご利用者様の約20%です。こちらはフリープランでのメール送信のみでの数値となるため、さらなる向上施策としてLINEで通知ができるプラグインもご用意しております。
カードキーや物理鍵は月額がかからないと思います。月額がかかっても、皆さんがスマートキーを入れるのは、やはりそれだけのメリットがあるからでしょうか。
→ 株式会社構造計画研究所(弊社) 塚本 への質問
コスト面では月額数万円の費用がでても、その分を人が対応する人件費や代替の設備費と比較するとメリットが出てきます。施設様によって、目的や費用対効果も変わってきますが、「非対面/セルフチェックインにしたい」「業務効率化をして別サービスに時間を充てたい」などの場合、現状はRemoteLOCKのような仕組みを使わないと実現できないケースが多いと思います。

以上、大変盛りだくさんな内容のセミナーとなりました。特に「地域のハブ化になること」は今後もホットなキーワードになりそうです。

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