テレワーク需要を取りこみたい!宿泊施設の空室を収益化するには?
コロナ禍による旅行形態の変化に対して、従来通りの経営で空室に悩んでいる事業者がいる一方で、いち早く経営業態の変革に取り組み、多くの利用客を集めている事例もあります。今だからこそできる客室稼働率を高めて収益化する方法を、変革に取り組んでいる宿泊施設を例にご紹介します。
この記事の目次
- 1.宿泊施設の稼働率を高める2つのアプローチとは?
- 1-1.コロナで減った宿泊客を取り戻す
- 1-2.空室がある事を逆手にとった新たな仕掛けをする
- 2.ホテルをテレワーク用に時間貸しすることでウィズコロナ・アフターコロナにも対応!
- 2-1.「Threes」と当社のRemoteLOCKがシステム連携を開始
- 3.【まとめ】宿泊施設の空室で収益化する方法
(掲載内容は2021年4月時点の情報です)
1.宿泊施設の稼働率を高めるための2つのアプローチとは?
長引くコロナの影響は、宿泊業界に大きな影響を与えています。Pwコンサルティングがまとめた調査によると、宿泊施設の稼働率は一番低い月で前年比83.5%の減少、平均客室単価は前年比47.5%減、そして全体の宿泊者数は77%の減少となったということです。
しかしながら、旅行や県外移動さえ自粛ムードの中でも、人々の「旅行意欲」そのものがなくなったわけではありません。それどころか、自粛疲れや閉塞感を癒すため、「保養目的」での旅行意欲は高まってきています。海外から国内へ、そして有名観光地から地元の観光地へと旅行形態が変化し「マイクロツーリズム」という、お手軽旅行も脚光を浴びています。
『コロナ収束後どの様な取り組みを予定しているのか』という、宿泊業者に向けた日本金融公庫のアンケートでは、「広報活動」「新たな販売方法の開拓」「新商品、新メニューの開発」などが上位に挙げられました。
しかし、「では何をするのか」という具体的な施策や計画については、先行きが不透明だけに難しいものがありますよね。とはいえ、「コロナさえ終わったら何とかなるだろう」という楽観的経営では、変異株の出現でなかなかコロナの収束が見えない中、いつまでも客室が埋まらない不安定な経営を続けざるを得ません。
そこで、客室稼働率を上げる施策として、今からやるべきアプローチを2つご紹介します。利用客が少ない今だからこそ余裕をもって取り組むことができるでしょう。
1-1.コロナで減った宿泊客を取り戻す
稼働率アップのためにまず出来ることは、コロナで減った宿泊客に対してダイレクトにアプローチをすることです。「コロナ禍でも安心して宿泊してもらうための独自のアピール」を強めたりサービスを強化することで、他の宿泊業者との差別化を明確にし、利用客の興味を引き、魅力を感じてもらう大きなポイントになります。
感染症対策の「見える化」
入館時の体温チェックやフロントのパーテーションなどは、ほとんどの宿泊施設でやっていることでしょう。差別化をはかるためには、第三者機関のチェックや宿泊施設独自の感染症対策などを「見える化」することです。
アメニティーグッズに除菌シートや特別なマスクを追加したり、客室の備品を使い捨てにする、感染症対策への取り組みをパネルで紹介するなど、利用客が「見て」安心できる環境を整えることがポイントです。
そうした取り組みが、「感染リスク対策が万全な宿泊施設」を求めている小さな子ども連れや高齢者などのへのアピールにもなります。また、利用したお客様がリピーターになったり、口コミやSNSで拡散される要因にもなるでしょう。
他の施設との違いを明確にすることは「多少値段が高くても安心安全な宿泊施設に泊まりたい」という客層を取り込めるだけでなく、客室単価を下げることなく新たなターゲットを開拓することへつながります。
・フロントや施設受付にパーテーションを設ける
・入館時の体温チェック、消毒
・食事以外でのマスク着用の徹底
・排気、換気設備のしくみを紹介
・衛生面を重視したアメニティーグッズの追加(抗菌シートなど)
・客室に高性能空気清浄機を取り入れる
・感染症対策への取り組みをパネルなどで紹介する
・第三者機関や医学的見地からのチェックや証明書などを掲示する
自社のホームページ、SNSで発信する
最近では楽天トラベルや一休ドットコムなどの宿泊予約サイト、いわゆるOTAからの利用予約の割合が高くなっていますが、多くの利用客はそこからホームページを確認して、宿泊施設の雰囲気を知りたいと考えています。いくら多くのOTAに掲載したとしても、自社のホームページやSNSでPRが出来ていないと利用される確率は低くなるのです。
ホームページ上で、施設独自の感染症対策や換気設備などを公開したり、医学的見地からの証明書などをアピールすると効果的でしょう。具体的にホームページで発信するべき項目は次の通りです。
・衛生管理への徹底管理や具体的な対策をアピール
・衛生面を重視したアメニティーグッズなどを公開
・感染予防のために新たに追加した設備や備品の紹介
・客室清掃における徹底した感染症対策の様子を紹介
・第三者機関や医学的見地からのチェックの様子や証明書などをPR
■さらに他の宿泊業者との差別化をはかるために
・施設周辺の一般には知られていない観光情報などを紹介
・ホームページ限定の特典を作る
・口コミサイトやお客様の声に対して、丁寧に返事をする
・SNSやメールマガジンを使って利用客とのコミュニケーションを図る
・利用客の検索傾向にあわせてSEO施策の実施
このようなことを地道に行い、積極的に発信していくことで、宿泊施設としての「ブランド」を上げ、他の宿泊施設にはない魅力をアピールすることに繋がるでしょう。
1-2.空室がある事を逆手に取った新たな仕掛けをする
オンライン会議の定着によって、ホテルのビジネス利用である「出張宿泊」「宴会」「パーティー」が減少し、客室利用の低下を後押ししています。この傾向はアフターコロナにおいても当分続くと予想されています。
なのでいままでとは違うホテルの価値の提供や、ビジネスモデルの見直しといった「新たな仕掛け」が必要になるのです。
長期的視野に立った低料金の客室提供サービス
何かと新しいサービスが話題になるアパホテルも、コロナの直撃を受けたホテルの一つです。
そのアパホテルは一時期、一泊2500円という超低価格プランを打ち出していました。現在では終了したプランですが、「事業として長期的な目で戦略を考えた場合、長期的にはプラスに転じる」とした戦略で大きな注目を集めました。
2021年4月には「テレワーク応援 日帰りプラン」や「テレワーク応援 5日連続プラン」をといった宿泊プランを提供するなど、新たなホテルの活用方法を模索し、これまでにない需要を取り込むようになりました。
利用客のSNS拡散を狙った料金無料キャンペーン
出典:「東京の中心に潜る」をコンセプトとした落ち着きのあるホテル
東京 四ツ谷のホテル ニューショーヘイがコロナ禍限定の前代未聞のキャンペーンを実施していました。利用客が宿泊後に、自分のSNSやブログなどで宿泊体験に関する記事を写真付きでアップするだけで、料金が無料になるというものです。(2020年10月末までの実施で現在は終了)
「これまでにお泊りいただいたことが無い方に、まずはホテルの魅力を体感していただく」とし、出社が制限される状況でのテレワークや、自宅作業で煮詰まった方の気分転換などへの利用を想定しているとのこと。フロント横のコーヒーやワインなどのアルコール類も全て無料で利用できるので、新たなターゲットへの強いPRになるでしょう。
2.ホテルをテレワーク用に時間貸しすることでウィズコロナ・アフターコロナにも対応!
また、空いている客室やホテル内の施設を「時間貸し」するというアプローチもあります。トーキョーサンマルナナ株式会社は、ホテルのアイドルタイム(利用客のいない遊休時間)における客室やラウンジ、朝食会場などを「ワークスペース」としてビジネスマンに提供する「Threes」(スリーズ)というサービスを展開しています。
これまで敷居の高かったホテルの快適な空間を、空席状況の可視化、ドロップイン、時間課金という新しいスタイルで、利用したい人と施設との最適なマッチングが出来るサービスです。
・ビデオ会議できる”ちゃんとした場所”を探している
・ネット環境やセキュリティがしっかりとしたスペースが欲しい
・長時間の大事な会議や打ち合わせをしたい
・カフェなどでは電話や打ち合わせに人の目が気になる
・集中して作業やビデオ会議したい
・就職面談や個人面接をキチンとした場所で行いたい
・集中して作業やビデオ会議したい
・気分転換に違う場所で仕事をしたい
・出張先でもちゃんとした環境で仕事がしたい
2-1.「Threes」と当社のRemoteLOCKがシステム連携を開始
この度、Threesと当社のRemoteLOCK(リモートロック)がシステム連携を開始しました!
神奈川県レンブラントホテル海老名にある「レンブラリーカフェ」は、新機能「スマートドロップイン」を活用した初の非対面接客型の無人施設です。
利用客はスマホやモバイルを使って空席状況を把握したうえで来店。フロントに設置されている専用QRを読み取りチェックインします。利用者はチェックイン時に発行された専用のデジタルキーで入室できます。チェックアウトも滞在時間や注文内容に合わせて自動的に課金され精算することが出来ます。これによりスタッフの省人化も可能になり、限られた人数で最大限のおもてなしをすることが出来ます。
・「今使える」に特化したテレワークスペースサイトのため予約不要
・フロントでQRを読み取り提示して簡単チェックイン
・現金授受は一切不要、滞在時間や利用人数、プランに応じて自動課金
・物理的な鍵の受け渡しがないので、紛失などのトラブルを回避
・常時、受付やフロントスタッフが必要無いので少人数での運営が可能
宿泊施設とオープンラウンジを兼ね備えているのはホテル特有のものであり、この快適さが一度利用するとリピート率は6割以上という結果に表れています。こういった取り組みは、コロナ禍だけではなく、アフターコロナに向けた需要の掘り起こし効果にもなるでしょう。
3.【まとめ】宿泊施設の空室で収益化する方法
いかがでしたでしょうか?コロナ禍において、宿泊業者は先行きが不透明ではありますが、先手を打って新たな取り組みや施策をすることで、他宿泊業者との差別化が明確になり、利用客に「選ばれる宿泊業者」になるでしょう。
それには、感染症予防のPRやホームページ発信、新たなサービスの追加ももちろん大切です。しかし利用客の少ない今だからこそ、最新のIT技術を利用した収益方法などを模索し、アフターコロナでの躍進へとつなげることが重要ではないでしょうか?
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