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公開日2022.09.09

最終更新日2023.07.27

ホテルの収益性を上げるダイナミックプライシングとは?

「ダイナミックプライシング」は、ホテルの客室など、季節や曜日によって価格を変動し、収益性をあげるための手法です。人による勘や経験に頼ることなく、需要に応じた価格をマネジメントすることで客室稼働率を上げることができます。そんなダイナミックプライシングとは何か、メリットや問題点についても解説します。

ダイナミックプライシングとは

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ダイナミックプライシングはホテルや航空業界では良く利用される価格設定の手法で、上手く取り入れることで収益を最大化することができます。この章では、ダイナミックプライシングについて改めて理解し、メリットやデメリットについて見ていきましょう。

ダイナミックプライシングは価格を調節して収益性を上げるしくみ

ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)とは、商品やサービスの価格を需要と供給に合わせて柔軟に変動させる価格戦略のことを指します。特に定価が決まっていない、または在庫を持ち越せない商品やサービスの場合、たとえば飛行機の座席やホテルの客室などでは、状況に応じた価格をマネジメントし、売り切る必要があります。

そのような商品では、ゴールデンウィークのような繁忙期には料金を高く設定し、閑散期には価格を低く設定して普段利用しない人を呼び込むなど、時期によって価格を変動して広く集客することで収益性を最大化することが可能になります。

しかし、人による長年の経験や勘に頼る価格設定では、「本当に効果があるのか」「本当に適切な価格なのか」ということが曖昧になりがちです。特にコロナ渦のように、不測の事態が起こった場合、適正価格を判断することは困難でしょう。

そこでダイナミックプライシングのような、価格を決定するための「戦略」が必要とされるのです。

身近にあるダイナミックプライシング

スーパーのお惣菜は、出来たてのときは定価で販売するが、時間の経過とともに「50円引き」や「1割引き」などのシールが貼られ、どんどん価格が変更していく。

さらに閉店間際になると半額近く値下げをして、その日のうちに売り切る戦略を立てている。これもダイナミックプライシングの一種です。

最近では、AIの活用やビッグデータを利用したITシステムが進化しており、気軽にダイナミックプライシングを取り入れることができるようになっています。

ダイナミックプライシングを導入するメリットとは

ダイナミックプライシングを導入するメリットを見ていきましょう。

ダイナミックプライシング導入のメリット

  • 収益を常に最大化できる
  • 余剰在庫を抱えるリスクを軽減できる
  • 赤字リスクを軽減できる
  • 広く集客することができる
  • 価格設定が楽になる

ダイナミックプライシングの導入のメリットは、なんといっても収益を最大化できるという点です。適切な価格によって「売り切ること」を目標としているので、余剰在庫リスクを軽減することができます。

また、需要に合わせた価格設定ができるので、今までとは違う客層にも広くアピールすることができます。これらは、ITシステムを導入することで、価格設定を簡単に行うことができます。さらに、利用者には、時期によってはお得に購入できるという点が大きなメリットとなります。

ダイナミックプライシングを導入するデメリット

次にダイナミックプライシングを導入するデメリットを見ていきましょう。

ダイナミックプライシング導入のデメリット

  • 人の手で行うと手間や時間がかかる
  • システムを導入した場合、コストが発生する
  • かならずしも成功するとは限らない
  • 顧客の信用を失うリスクがある

デメリットは、人の手で行おうとすると、時間や手間がかかる点でしょう。しかも、人の主観や経験など意見が入ると、分析がぶれてしまい成功する可能性が低くなります。これらはシステムを導入することで解決できますが、それにはコストがかかります。

また、価格が変動することは、利用者にとってもいいことばかりではありません。
「いつ購入すればいいのか、タイミングがかわからない」
「同じサービスを高い価格で購入して損をしてしまった」

など、顧客の信用を失うリスクも生じます。価格を柔軟に変化させるだけではなく、顧客に対しても柔軟な対応やサービスが必要不可欠といえるでしょう。

ダイナミックプライシングとレベニューマネジメント

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ダイナミックプライシングと同様に価格設定に利用し、収益の最大化を目指すものに「レベニューマネジメント」があります。どちらも、需要と供給に柔軟に対応する価格マネジメントなのですが、どのような違いがあるのでしょうか。

ダイナミックプライシングとレベニューマネジメントの違いとは

ダイナミックプライシングとレベニューマネジメントの大きな違いは「重視する予測の範囲」といえます。レベニューマネジメントで重視するのは、広い範囲で導き出された需要予測です。蓄積された過去の実績や顧客情報をはじめ、競合との比較、地域のイベントや天候などを考慮しながら需要予測を立て、初期価格の設定を行います。

一方で、ダイナミックプライシングでは、販売開始後の利用状況を重視して、柔軟に価格を変更する手法です。レベニューマネジメントはさまざまな要因から導き出した需要予測を重視した価格設定であり、ダイナミックプライシングは実際の利用状況を重視した価格設定を行うマネジメントといえます。

ダイナミックプライシングとレベニューマネジメントは併用できる

ダイナミックプライシングとレベニューマネジメントは併用して活用することでより効果的な販売管理が可能になります。

たとえば、レベニューマネジメントで導き出された数値で初期価格を決定し販売します。その後、需要の変化に応じてダイナミックプライシングを活用し、価格を柔軟に変更させていきます。この2つを併用することにより、余剰在庫をなくし、最大限に収益性をあげることができます。

ホテルにおけるダイナミックプライシングの活用

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ダイナミックプライシングはホテル業界でもすでに多くの施設が導入しています。しかし、効果を最大限に活かしているホテルがある一方で、なかなか成果を感じることができないホテルもあるようです。

この章では、ホテルでのダイナミックプライシングについて、どのように活用されているのかを解説し、問題点と上手く利用するためのポイントをご紹介していきます。

ホテルでのダイナミックプライシング

現在、ホテル業界では多くの施設がダイナミックプライシングを導入しているとされています。できるだけ高い収益を上げたいシーズンや休日前は高い料金設定をし、予約の少ない平日は低価格で集客をしている施設も多いのではないでしょうか。

問題なのは、その価格設定を「なんとなく」行っている場合が多い、という現状です。ホテル事業者や担当者の勘や経験に沿った価格設定は、その価格が本当に適切であるかどうかを判断するのが困難で、基準となるものがありません。そのため、価格を上げすぎたり、または安易な値下げを行ったりして、せっかくの利益獲得の機会を失っているケースがあるのです。

しかし、本来のダイナミックプライシングはそのような単純な価格設定ではありません。価格変更や価格決定に根拠があるので、客室単価を最低限保ちながら、利益の最大化を実現できます。

ダイナミックプライシングによる問題点

1章の「ダイナミックプライシングを導入するデメリット」でも解説しましたが、ダイナミックプライシングにも問題点があります。価格予測を人の手で行おうとすると手間や時間がかかることや、システムを導入すると費用がかかるという点などです。

しかし、ホテル業界にとって最大の問題点は、顧客との信頼関係が崩れる可能性があるということです。例えば、予約を入れた同等の客室の価格が、別の日に見ると安くなっていた場合、かなり「損をした」気持ちになります。特に、何度も利用していただいているゲストだと価格変動に対して「不信感」を抱くこともあり、信頼を失うきっかけにもなります。

また、前日に価格が下がるような販売方法を常習化していると、ギリギリまで予約を入れず、安くなるタイミングでしか購入しない人など、顧客の層にも変化が生じる恐れがあります。

そのため、ダイナミックプライシングによる価格変更を強気に推し進めるのではなく、ゲストの反応を見ながらの対応や、リピーターへの特別サービスなども忘れずに行うことが成功するポイントといえます。

ダイナミックプライシングはITシステム導入で簡単に実現

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ダイナミックプライシングは、ITシステムを導入することで簡単に実現できます。また、レベニューマネジメントと併用することで最大の効果をあげることができますが、それには、膨大な過去の売上や顧客のデータとともに、日々の売上に対しても分析を行っていく必要があります。

そういった作業は、人の手で行おうとすると時間や人的コストがかかるうえ、人の経験や感情が反映され、誤った結果がでるケースもあります。

最新のITシステムならAIやビッグデータを活用し、ダイナミックプライシング、レベニューマネジメント両方の特性を活かしながら、最適な価格設定を簡単に行うことができます。

簡単に価格設定を最適化して収益性を上げたいとお考えなら、ITシステムの導入をおすすめします。注目されているITシステムについても今後のブログでご紹介しますので、ご期待ください。

【まとめ】ホテルの収益性をあげるダイナミックプライシングとは?

いかがでしたでしょうか。ダイナミックプライシングは、上手く取り入れることでホテルの客室稼働率を上げて、収益性をあげることができる価格戦略です。また、レベニューマネジメントと併用することで、効果を最大限にすることが可能です。ITシステムの導入をすることで、簡単に実現することができます。

ダイナミックプライシングへの理解が深まりましたら幸いです。また、宿泊施設の業務効率化を図るツールとして、弊社のスマートロックも多くの導入実績があります。よろしければ下記の資料もご覧いただければ幸いです。

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