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公開日2021.08.31

最終更新日2023.10.25

無人ホテル運営の方法。ITやシステムの活用で安全な無人運営を実現

コロナウィルスの影響で「非対面」や「非接触」が新たな価値観となっている今、ホテル業界の中で注目されているのが「無人ホテル」です。セルフチェックインシステムを導入しているホテルは多くなりましたが、完全な無人ホテルを開設し、運営するにはどのようなことが必要なのでしょうか。検討するべきポイントを、法的な側面からと、具体的に使用するITツールでご紹介します。

無人ホテルとは?

無人ホテル

無人ホテルは文字通り、スタッフなどが常駐しないホテルのことで、IT技術を駆使しながら人による業務を削減することで省人化、その結果として人的コストの削減、収益性の向上を図る運営形態です。

もともとフロントに「セルフチェックインシステム」を導入するホテルは増えていましたが、無人ホテルは常駐のフロントスタッフが1人もおらず、ホテル事業者や管理者はホテルから離れた場所にいることがほとんどです。ただし、無人ホテルでも、清掃やベッドメイキングには人の手が介入することになりますし、ホテルの運営によっては「夜間だけ」完全に無人という形態を取るホテルもあります。

無人ホテルの開設にあたり検討すべきポイントは?

無人ホテルを開設するにあたって、注意すべきポイントがいくつかあります。安全な無人運営を実現するためには何が必要なのでしょうか。法的な要件と使用するIT技術についてご紹介していきましょう。

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法的な要件の確認

法的な要件

無人ホテルを開設するにあたり、気になるのは「法的に問題ないか」ということではないでしょうか。日本で運営されている無人ホテルのシステムは、国の法律である「旅館業法」に準じて運用されています。

特に抑えておきたい「旅館業法」

  • 玄関帳場(フロント)の設置
  • 緊急時の対応(安全対策)
  • ◻宿泊者情報の把握と鍵の受け渡し

などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

玄関帳場(フロント)の設置

旅館業法施行令では玄関帳場について下記のように規定されています。

(旅館業法施行令第一条二)

『宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他当該者の確認を適切に行うための設備として厚生労働省令で定める基準に適合するものを有すること』

ここでポイントとなるのは「その他当該者の確認を適切に行うための設備」という記載です。つまり、原則は玄関帳場が必要だが、基準を満たした設備(帳場に代替する機能を有する設備)を備えれば玄関帳場は必ずしも必要ではないと言い換えるができます。

これら2点については下記で詳しく見てまいりましょう。

緊急時の対応(安全対策)

緊急時の対応

(旅館業法施行令第一条第一項第二号一の基準として)

『事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応を可能とする設備を備えていること』

無人ホテルはスタッフがいない代わりに、緊急時の場合は、すぐに対応できる仕組みを作ることになります。宿泊事業者や管理会社、または警備会社がおおむね10分程度で駆けつける体制が必要です。

さらに、無人ホテルの多くが、ITシステムを使用して不正侵入を未然に防ぐ方法も取っています。例えばエントランスをオートロック化しパスワードがないと解錠できない仕組みや、ゲスト以外はエレベーターを使えないようにするシステムなどがあります。

宿泊者情報の把握と鍵の受け渡し

(旅館業法施行令第一条第一項第二号二の基準として)

『宿泊者名簿の正確な記載、宿泊者との間の客室の鍵の適切な受渡し及び宿泊者以外の出入りの状況の確認を可能とする設備を備えていること。』

従来のホテル運営では、上記の基準を満たすためにフロントスタッフの配置が不可欠でした。しかし、「宿泊者名簿」は紙への記入とは定められておらず、鍵の受け渡しも対面が必須となる規定はありません。IT機器や、いつでもリアルタイムなクラウド管理が可能になるIoTツールが普及している最近では、「名簿の記載」、「鍵の受け渡し」、「出入の確認」のいずれも、専用システムがフロントスタッフの代わりになってくれるのです。

無人ホテルで採用されているITシステムには、遠隔や非対面でもビデオ通話によりゲストの顔を確認できたり、条例に合わせた項目で宿泊者情報の取得ができるセルフチェックインシステムがあり、さまざまなメーカーで開発・販売されています。

鍵についても物理的な鍵ではなく、暗証番号を使って解錠する『スマートロック』を活用し、ゲストにはチェックイン後に、暗証番号を通知するような仕組みがあるので、対面での鍵の受け渡しは不要となります。

【重要】地域の「条例」は確認の必要あり

無人ホテルの設備が法律に則ったものでも、県や地域によっては「条例」が存在する場合があります。これは旅館業法で定められた基準に上乗せされて制定される県や市区町村単位での条例となるので、無人ホテルを開業する際はこの条例も守る必要があります。

条例によっては、フロントの設置や対面での本人確認が義務付けられている場合がありますので、ホテルを開設する地域の保健所に必ず確認するようにしましょう!

予約受け付けから部屋割、メッセージ送信の方法

それでは実際に無人ホテルでは、システム活用によりどのようなオペレーションがなされているのでしょうか。ゲストの予約受け付けからチェックアウトまで、順を追ってご紹介します

フロント業務

以前のフロント業務は作業が煩雑で、非効率なうえに人的ミス(ヒューマンエラー)が発生しやすいものでした。しかし、ホテル向けの管理システムの登場により、予約管理から部屋割り、チェックイン・チェックアウトまでを自動化することで、ミスをなくし作業効率を向上できるようになりました。

ただし、そのシステムは1つではなく、色々な機能に特化したITシステムを組み合わせたり、連携させることによって無人化を実現することが可能になります。

サイトコントローラーでOTAごとの予約・在庫管理を自動化

複数のOTA(いわゆる予約サイト)に登録するとネット上での露出が増え、稼働率アップが期待できますが、その分、部屋の在庫状況の同期や料金の均一化などといった管理が大変になります。この場合、サイトコントローラーを活用することでOTA間の情報を一括で管理することができます。

サイトコントローラーの主な特徴

  • 在庫管理 複数のOTAの在庫情報を同期、売り止めすることでダブルブッキングを防ぐ
  • 料金管理 複数のOTAのプラン料金のを一括で変更・更新
  • 予約管理 予約者情報(予約・チェックインの日付、宿泊プラン)を管理

PMSで部屋割を自動化

PMS(プロパティ・マネジメント・システム)はホテルのフロント業務を一元管理できるシステムのことでサイトコントローラーとの連携により自動的に部屋割りが行えたり、予約・顧客・清掃・売上などの各種情報を一括管理できることでフロント業務の効率化に貢献します。

特に予約情報をもとにした自動部屋割りはサイトコントローラーとの連携での利用が必須になりますが、 AirHostやBeds24など一部のサイトコントローラーには、PMS機能が搭載されていて一体型となっている場合もあります。

PMSの主な機能

  • 予約管理 予約リストの表示、チェックイン・アウトのステータス管理、予約登録
  • 客室管理 残室や清掃の実施状況などのステータス管理、部屋のアサインや変更
  • データ集計・分析 売上情報のCSV出力、販売チャネルやプランごとの売上分析
  • メッセージの送信 予約を入れたゲストや顧客に自動的にメッセージを送信

PMSの機能で自動でゲストにメッセージの送信

メール送信

PMSの機能で、ゲストが予約を入れた時点で自動でメッセージ送信ができます。無人ホテルの場合、ゲストはチェックインをセルフで行いますので、必要な情報を的確にお知らせする必要がありますが、これもPMS機能を使えば自動的に行えます。

PMSによる自動メッセージの内容例

  • 予約を入れてくれたゲストへの挨拶・お礼
  • セルフチェクインシステムの利用方法の案内
  • ホテルや施設の案内
  • チェックアウト後のお礼メッセージ
  • ホテルのイベントや新プランのご案内

スタッフ無人でフロント対応するためのITツール

ゲストが無人ホテルに到着したあとに対応するITツールですが、これらも単体ではなく、いくつかのITシステムを組み合わせることによって、円滑な運営が可能になります。そこで、フロント対応に関連するITツール・システムとして、セルフチェックインシステムとスマートロックの活用について紹介します。

セルフチェックインシステム

セルフチェックインシステムは、当日、ゲストがホテルに到着するとフロントなどに設置されている受付端末を使ってチェックインを行います。セルフチェックインシステムの主な特徴は以下の通りです。

セルフチェックインシステムの主な特徴

  • 無人チェックイン機能
  • 宿泊者名簿を自動で作成できる
  • 本人確認・登録機能(テレビ電話やビデオチャットを使用)
  • パスポートのチェック(動画や写真撮影など)
  • 予約管理(予約リストの表示、利用明細、顧客登録)
  • 多言語対応(数カ国語に対応し、インバウンド対策にも)

まず、予約受付時にはゲストへチェックインの際の予約コードを送信します。(サイトコントローラーやPMS連携により、メッセージを自動送信)その際に事前のチェックインフォームも送れるため、ゲストはホテルへ到着する前に自分のスマートフォンなどから宿泊者情報の入力が行えます。これにより、宿泊当日、ゲストはフロントのタブレット上での簡単な確認のみでチェックインを完了できます。

スマートロック(RemoteLOCKなど)

スマートロックRemoteLOCK

続いてスマートロックの活用についてです。スマートロックを導入していると、ゲストがセルフチェックインをした際に、宿泊する客室番号の表示と、部屋を解錠するためのスマートロックの暗証番号を受け取ってチェックインが完了となります。

RemoteLOCK(リモートロック)では、ゲストは客室のドア付近に設置されているスマートロックのキーパッド部(テンキー)に暗証番号を入力することで、客室を利用することができます。スマートロックの特徴やメリットは以下の通りです。機種によってはオートロックがついているものもありますので、ドアセキュリティの強化にも効果的です。

スマートロックの主な特徴(メリット)

  • 物理的な鍵の受け渡しがなくなる
  • 非対面で鍵を受け渡すことができるため飛沫感染リスクの低減につながる
  • 鍵の持ち歩きがないので、ゲストの利便性が向上する
  • 鍵の紛失や盗難などのリスクがなくなる
  • すべての客室のドアの状態(解錠履歴など)を把握できる
  • オートロック化や有効期限付きの暗証番号により、ホテルのセキュリティ強化につながる

【まとめ】無人ホテル運営の方法。ITやシステムの活用で安全な無人運営を実現

いかがでしたでしょうか?無人ホテルの開設・運営には、保健所へ相談、確認しつつその地域の条例をクリアするとともに、法令遵守で安全性の保たれた運営をするためにITシステムの活用が欠かせません。人が行っていた業務をITシステムが行うことは法律的にも認められており、人が管理する以上に作業効率がよく、安心・安全な無人運営が可能になっています。

コロナ禍の影響もあって、「非対面」や「無人化」は好意的に受け入れられる状況にあります。その中で、無人ホテルは社会のニーズにマッチしており、積極的に「選ばれるホテル」として存在感を示すことにもなるでしょう。

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