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公開日2022.03.23

最終更新日2023.11.09

変革するホテルの施設形態。コロナ禍でも需要獲得が可能な理由に迫る

コロナウィルスは宿泊業界に大きな変化を与えました。インバウンドの減少や、都道府県をまたぐ移動が制限される一方で、国内の旅行者からは、制限がある中でも「今までにはない体験をしたい」という要望が増えています。今回はそんな需要に応えるユニークな宿泊施設と、コロナ禍でも人気の理由を解説します。

近年の旅行トレンドのポイント

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人々の旅行の選択基準が変化し、ホテルが単なる「宿泊場所」ではなく、ホテルの滞在自体が旅行の目的になっていることをご存じでしょうか?感染症を防ぐためにも、混雑する有名観光地は避けて、家族や仲間と共に滞在を楽しみたいという要望がますます強くなっています

世界的なオンライン旅行代理店ブッキング・ドットコムによる「旅行トレンド予想2022では最新のトレンドとして次のように発表しています。

2022年以降の旅行のトレンド予想

  • セルフケアとしての旅行
  • 旅先では「仕事ゼロ」であることがポイントに
  • 初めての旅に行くような感覚を楽しむ傾向に
  • 旅先でのコミュニティへの配慮
  • 旅先での新しい出会いへの期待の高まり
  • 計画なしに旅先での滞在を楽しむ傾向に
  • 旅行業界におけるテクノロジーの利用増加

上記のトレンド予測をみると、コロナウィルスの影響もあり、外国旅行や有名観光スポットにいきたいなどの欲求はほとんど見られません。しかし、そのような中でも「3. 初めての旅に行くような感覚を楽しむ」や「6. 計画なしに旅行先での滞在を楽しむ」が挙げられているのは注目すべきポイントです。

外出規制など世界的に閉塞感が高まるなか、「わくわくするような体験がしたい」「細かい計画なしに、その場の雰囲気や状況を楽しみたい」という思いは高まっているのです

また、「1.セルフケア」や「2.仕事ゼロ」に象徴されるように、在宅勤務やテレワークが身近になった現在、ONとOFFの区別がつかない毎日の中で、精神的な開放感を味わいたいという欲求もうかがえます。旅行先では完全にOFFモードになって心と体を癒やし、完全にリフレッシュしたいという気持ちが大きくなっているのでしょう。

とはいえ、まだまだ感染症のリスクも高く、綿密な計画を立てて有名観光地で遊ぶということが難しい状況。「7. テクノロジーの利用」とあるように、スムーズな旅行の予約や調整、または感染症対策のため、最新のテクノロジーを利用することに積極的であることも大きなポイントでしょう。

コロナ禍でマイクロツーリズムという言葉が生まれたように人々の旅行の目的地が遠くの有名スポットではなく、近隣での滞在で開放感や非日常感を味わいたいという流れになっているのは自然なことかもしれません。

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変容するホテルの形態

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上記のような、旅行者の要望の変化に応えるべくホテルの施設形態も進化しています。従来、ホテルというと建物の中に多数の客室が並び、「イベントや観光のために寝泊まりや食事をする場所」という認識がありました。特に小さなお子様を連れた家族旅行では、泣き声やはしゃぐ声にも気を使い、「リラックスするのが難しい」というイメージもあったでしょう。

しかし、近年、宿泊施設の形態は変革が進み、ライフスタイルホテルやコンドミニアム、体験型ホテルなど、滞在先の施設自体を楽しんだり、家族でもホテル内でゆっくりと過ごすことができるタイプがぞくぞくと登場しています。

そのような中でも、特に人気のホテル形態について、解説していきましょう。

コロナ禍でも人気のホテルの形態を解説

ここでは、人気のホテルの中でも特に注目されている形態を、次の3つのタイプに分けてご紹介します。

人気のホテルの中でも特に注目されている形態

  • 家族で気楽に過ごせる一棟貸し宿泊施設
  • 近場で非日常感を楽しむ体験型ホテル
  • 最新テクノロジーで安心・便利なホテル

どのような施設の形態なのか、そして人気の理由なども紹介します。

家族で気楽に過ごせる一棟貸し宿泊施設

お子さんのいる家族連れやグループにとって「気を使わなくても良い」と注目を集めているのが「1棟貸し」と呼ばれる形態です。一棟貸しの宿泊施設は、建物1棟を貸し切って、家族やグループ単位で利用できる宿泊施設です。キッチンやダイニングテーブルなどが備わっており、自炊したり家族で食卓を囲んだりと、いつもの生活をしつつ、非日常感を楽しむことができます。

ホテルのようなフロントやレストランはなく、同じ建物内に他の宿泊者もいないので感染症対策としても安心です。また、小さなお子さんが泣いたりはしゃいだりしても、気楽に過ごすことができます。

もちろん、以前よりロッジやコテージなど、一棟を借り切るスタイルは存在していました。従来の宿泊施設と最近の施設との違いは、より内装や外装が洗練され、ホテルなみの設備やサービスで、ちょっとした贅沢や気分転換ができるということです。

人気の理由をまとめてみると

一棟貸し宿泊施設人気の理由
スタッフや他のゲストに気を使わなくても良いので気楽
スタッフや他のゲストに会わないので感染症対策として安心
小さな子供を連れた家族やグループで利用しやすい
生活設備がととのっていて便利
自炊で滞在コストを安く抑えることができる

また、一口に一棟貸し施設といっても、別荘貸し、コンテナ型施設、セカンドホームなど、施設の形態やビジネスモデルは多様で、利用者の要望や好みに合ったタイプを選択することが可能になっています。「ホテルに泊まる」ことの敷居が下がり、気楽に宿泊できることが大きな人気の理由といえるでしょう。

近場で非日常感を楽しむ体験型ホテル

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有名観光地などへ遠出をすることが躊躇される今、テーマパークや大型イベントで楽しむのではなく、ホテルの滞在そのものが目的になるケースが増えています。周辺でのアクティビティが充実しているホテルや、リゾート型の温泉施設が人気なのもそのためです。

中でもユニークなライフスタイルホテルとトレーラーハウスをご紹介しましょう。

ホテルでの「体験」を楽しむライフスタイルホテル

ライフスタイルホテルはスタイリッシュな空間と、施設が提供する「体験」が楽しめるホテルです。ホテルには独自のテーマがあり、その地域やコンセプトに沿った仕掛けやアクティビティを体験することができます。たとえば、東京であれば、アパレルや有名ブランドなどが運営しているホテルが多く、その世界観を表現したアーティスティックな雰囲気を施設全体で味わうことができます。

また山間部では、大自然を生かした究極の非日常感を体験できたり、サイクリングやカヌー体験ができたりと、ホテルが提供するアクティビティが人気を集めている施設もあります。

一味違った宿泊体験 トレーラーハウス型施設

トレーラーハウスやコンテナハウスを利用した宿泊施設も人気があります。一般的なマンション型、ホテル型の建物ではなく、トレーラーハウスに泊まるという驚きの体験は、お部屋に入るだけでもワクワクします。 一部屋が独立しているので、隣のゲストを気にする必要もなく、仲間とわいわい楽しく過ごせます。

併設されたデッキでBBQをしたり、夜にはで星空を眺めたりと、異国を思わせる開放感が人気の理由といえるでしょう。

人気の理由をまとめてみると

近場で非日常感が楽しめるホテル 人気の理由
遠くに行かなくても非日常感を味わえる
人混みに行くことなくホテルの中で楽しめるので感染症対策として安心・安全
ホテル内やその周辺を楽しめる仕掛けや魅力が用意されている
ゆっくり滞在できるのでリラックスできる

その他にも、都市型のコンドミニアムなどは、生活の延長上で非日常感を楽しむことができます。ホテル並みの上質な設備やサービスでありながら、洗濯機やキッチンなどがついているので、スタイリッシュでワンランク上の贅沢を手軽に味わえることで注目されています。

派手なイベントや斬新な体験ではなく、宿泊や生活自体を丁寧に楽しむことが今の主流となっており、それを提供しているホテルが人気を博しているといえます。

最新テクノロジーで安心・便利なホテル

コロナ禍において、一気に注目を集めたのが、最先端のシステムを活用したホテルです。特に「非対面」「非接触」を実現するセルフチェックインやスマートロックなどを取り入れることで、ゲストは誰にも会わずに安心して宿泊することが可能になりました。以前なら、「味気ない」「機械的すぎる」という声も聞かれたかもしれませんが、感染症対策が叫ばれるなか「安心である」ことが何よりも優先的に受け入れられているのです。

また、一度利用するとその便利さやスマートさに驚く方も多く、スタッフの駐在しない「無人ホテル」なども利用者が拡大しています。導入しているシステムにもよりますが、人気の理由をまとめてみると、

最新テクノロジーを活用しているホテル 人気の理由
非対面でチェックインができて感染症対策の面でも安全・安心
チェックイン/チェックアウトがスムーズ
スタッフに会わずに済むことで非日常感を味わえる
鍵の受け取りや持ち歩きが不要で便利
スマートで最先端の宿泊体験ができる

また、宿泊事業者にとってもITシステムの導入はメリットが多く、業務の自動化が進むことで人的コストの削減や人手不足の解消にもなります。特に、一棟貸し宿泊施設の場合、建物が独立しているため、サービスや管理が難しいという問題がありました。しかしセルフチェックインやスマートロックなどのITシステムを活用することで、遠隔でも容易に複数の施設を運営・管理することができるようになっています。

アフターコロナを見据えて、ITシステムを導入することは、ゲストにとっても、宿泊事業者にとってもメリットが大きいといえます。

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【まとめ】変革するホテルの施設形態

いかがでしたでしょうか?コロナ禍においては宿泊業界は大きな痛手を受けました。しかし、人々の旅行熱が冷めたわけではなく、近隣でもいいからホテルなどに宿泊し、非日常感を味わいたいという欲求は高まっています。

・「家族で気楽に過ごせる一棟貸し宿泊施設」

・「近場で非日常感を楽しむ体験型ホテル」

・「最新テクノロジーで安心・便利なホテル」

などは、ユニークでありながらも安心して過ごしたいという、需要にうまく応える形態となっているのです。参考にしていただけましたら幸いです。

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