グランピング施設運営者のよくある課題と対処法
非日常の特別な体験で話題のグランピング施設。顧客ニーズが高まり、市場が拡大するにつれて、運営上の課題が見えてきています。今回は、そんなグランピング運営に関する代表的な課題と、解決策の提案をします。
遊休資産を活用したグランピング運営の拡大
地方の過疎化が進む昨今、工場や建物の跡地など、遊休資産が増えつつあります。所有者の方にしてみれば、土地をどうにか有効活用したいところではないでしょうか。
そのような遊休資産の活用事例として、ここ数年、かなり人気が高まっている事業が、グランピングです。グランピング市場はここ3年で急激に成長してきました。今後も市場拡大が見込まれますが、運営上の課題も見えてきているので、ご紹介すると同時に、解決策について紹介します。
グランピング運営の課題
ここでは、運営者自身の目線と利用者目線から見た時に分けて、グランピング施設の運営上の課題をご紹介します。
運営者目線の課題
運営者の課題としては、何よりも少ないコストで多くの売り上げを出すということに集約されると思います。それでは具体的にどのような課題があるのでしょうか。
1:施設ならではのオリジナリティを出す必要がある
グランピング施設が増えるにつれて懸念すべきこととして、グランピング施設の均一化が挙げられます。特にここ最近では、地元の食材を使ったバーベキューや、ドーム型のお洒落なテントなどは、もはやグランピング施設の標準的な要素となっており、それだけではオリジナリティのあるグランピングになりにくいです。
オリジナリティがないと、付加価値の低いグランピング施設として、価格競争に巻き込まれる可能性があります。グランピングの運営も一段と厳しい状況になりかねません。
2:繫忙期と閑散期の落差により、スタッフの稼働コントロールが難しい
グランピングの運営では、繫忙期と閑散期の落差が激しく、スタッフの稼働コントロールが難しいことも大きな課題です。7~11月に関しては繫忙期であり、休日はキャンセル待ちになるグランピング施設もあるほどです。それに対し、1~4月は閑散期であり、予約が入りにくくなります。
これに加え、休日と平日でも落差が生じます。基本的に家族連れや社会人の団体などが平日に訪れることは少なく、平日は部屋の空きが生じやすくなります。
一方で、受付スタッフの流動的な稼働は、グランピング施設の立地によっては難しい場合があります。このように、利用者の数が時期によって変化するのにもかかわらず、スタッフを流動的に確保できない点が、グランピング運営の難しいところです。
利用者目線で見た時の運営課題
グランピング施設の利用者は、キャンプ利用者とは異なり、
手ぶらで気軽にアウトドアを楽しむこと、つまり利便性を求めている傾向にあります。
それでは具体的な課題を見ていきましょう。
3:共用設備に対する抵抗
グランピング施設の利用者の多くは、グランピングの広々としたプライベート空間で自然を楽しむことを目的としています。実際、グランピング利用者の不安事項に関するデータでは、共用の設備(とりわけ水回りの設備)に対する抵抗があることが分かります。
キャンプではお風呂やシャワーは共用棟に行って利用するのが普通ですが、グランピングの利用者は、コロナ禍で他人との接触が憚れる昨今、寧ろ各テントで完結するという利用方法を求めているのでないでしょうか。
4:施設が広大すぎて移動するのが面倒
グランピング施設は、その広大さ故、移動するのにも一苦労する場合がよくあります。中には、部屋と共用棟を車で移動する場合もあります。チェックインして部屋の鍵を受け取る際や、バーベキューの道具の受け取りなど、用がある度に共用棟とお部屋を行き来するというのは、利用者にとってかなり面倒なのではないでしょうか。
運営面で見ても、部屋の鍵の開け閉めや、忘れ物、紛失物の対応などは施設が広大であればあるほど移動の手間が発生してしまいます。
グランピング運営の課題の解決策
上述したグランピング運営に関する課題は、多くのグランピング施設に当てはまることではないでしょうか。ここからは、実際にこれらの課題解決に取り組み、 成功した事例なども踏まえつつ、グランピングの運営課題に対する解決策を提案していきます。
コンセプトとターゲットを明確にする
グランピングの運営において重要になるのは、どんなターゲットにどのようなコンセプトで売りに出すのかを明確にすることです。オリジナリティのあるグランピング施設にするために、まずはターゲットを一つに決めてみるのはどうでしょうか。
グランピング施設の場合ターゲットとして考えられるのは以下の層です。これらからターゲットを一つに絞ることで、利用者がグランピング施設にどんなことを求めるのかが見えやすくなります。
グランピング施設の主なターゲット層は?
- ファミリー
- 大学生
- 20代
- 女性
- カップル
ターゲットを決めたら今度はコンセプト作りです。グランピング施設のコンセプトを決める際には、「グランピング×○○」などのように何かの要素をかけ合わせることがおすすめです。例えば、「グランピング×サウナ」や「グランピング×ゴルフ」など、その施設だけの特別な体験をコンセプトにして、成功している事例があります。
特にグランピング市場ではトレンドの移り変わりが激しいため、常に最新のトレンドをキャッチアップし、グランピング施設との相性について吟味しておくことが重要でしょう。もしかすると、一見グランピングとは関係のない意外な要素との組み合わせがヒットするかもしれません。
平日利用が見込める客層をターゲットに含める
グランピングの運営において、1週間のうち5日をしめる平日に利用者を増やすことは、売上アップの観点では非常に重要です。そのため、平日の利用者をターゲットに含めてみるのはどうでしょうか。
平日利用が想定できるターゲットとして「大学生」や「外国人観光客」が挙げられます。「大学生」の場合、トレンドに非常に敏感なため、最新のSNS映えするお洒落なインテリアなどを取り入れることが有効です。
清潔感、特別感を意識することはもちろんですが、利用者が大学生であることを踏まえると高級化を進めすぎるとかえって人気が出なくなる恐れもあるため、単価を低くして「学生限定の平日プラン」などを売り出すのも方法の一つです。
「外国人観光客」の場合は、カヌーやトレッキング、温泉など様々な日本のアクティビティを楽しんでもらうことが有効です。そのほかにも、多言語に対応した分かりやすい案内をすることやWifiを用意しておくことも重要であるようです。
個別スペースを拡張する
「共用設備に対する抵抗」で見てきたように、グランピング利用者は共用の設備が多いほど不安に思われるケースが多いです。
そうした背景もあり、ここ最近、個別スペースを拡張したグランピング施設が増えてきています。例えば「グランシア別府鉄輪」では、すべての部屋にトイレ、温泉、食事スペースが設置しており、利用者が限定的に利用できる範囲が広いです。
コロナ禍における他人との接触機会の不安を解消する要素もありますが、必要な要素はすべて個別スペースで完結することで、特別な体験を限定された人で共有するというニーズが、より快適に満たされるでしょう。
鍵の受け渡し作業を省人化する
現在のグランピング施設の多くは、利用者が訪れた際、共用棟でチェックインを行い、鍵を貰って部屋に行く流れです。しかし、グランピング施設は広大であり、利用者にとって移動が大変なことが多いです。運営側からみても、各部屋の鍵の管理などは手間がかかります。
そのような場合の解決手段の一つとして、鍵の受け渡し作業を省人化するというものがあります。それを可能にするのがRemoteLOCKなど、スマートロックやスマートキーと呼ばれるシステムの利用です。
RemoteLOCKでは、物理鍵ではなく暗証番号を発行することで、鍵の受け渡しの手間を省くことができます。WiFiを通じ、クラウド経由で遠隔から鍵の暗証番号を適宜更新することができますので、受付業務の省人化にもつながります。
更に、遠く離れた各部屋の鍵の開閉状況が一目でわかり、広大な施設の管理もしやすくなります。利用者目線で見ても、共用棟への行き帰りなどの移動の手間が減ります。また、RemoteLOCKは暗証番号を知っていればよいので、鍵の管理の煩わしいさから解放されて、グランピングを満喫できることでしょう。
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【まとめ】グランピング施設のよくある課題と対処法
以上、グランピングの運営の課題とその解決策のご提案をさせていただきました。グランピング市場は拡大中であり、だからこそ運営上の課題が顕在化しています。
増設を予定しているグランピング施設の運営者の方や、グランピング施設の開業を検討している方に少しでもお役に立てば幸いです。