【2024年最新版】無人・省人経営が可能なビジネス業種のまとめ
本ブログでは、さまざまな業界の無人化経営・省人化経営について、具体的な手法や事例をご紹介しながら、その実態や市場動向を紹介しています。今回は、無人・省人ビジネスの現状をおさらいするとともに、業種を横断する視点に立って、どのような業種が無人化経営・省人化経営に適しているのか、業種ごとの事例をまじえて紹介します。
この記事の目次
無人・省人ビジネスの最新動向
無人ビジネスといえば読者の皆さまはどのような業種を思い浮かべられるでしょうか?店舗に1人もスタッフがいないという点でいえば、古くはコインランドリーがその代表例といえるでしょう。また、地方の農村などにある野菜の無人販売所なども典型的な無人ビジネスといえます。
最近では、民泊ビジネスも具体例のひとつとして挙げることができるかもしれません。しかし現在では、コンビニエンスストアなど物販型の店舗や、レンタルスペース、スポーツジムなど、さまざまな業種に無人化の動きが広がっています。
さまざまな業種に広がる無人・省人ビジネスの波
完全に無人という訳ではありませんが、量販店やスーパーではセルフレジが普及しつつあり、ホテルや空港のカウンターではスタッフを介さないセルフチェックインが一般的となり、飲食店ではタブレットやスマホを活用した遠隔オーダーシステムが珍しくなくなるなど、オンラインシステムや専用端末機器等の導入によってスタッフと顧客の接点が減少しつつあります。このような形で、業務の省人化が進んでいる実態については、日常生活の中で実感している方も多いと思います。
無人化や省人化が進む背景には、ひとつには新型コロナウイルスの感染拡大によって、生活のあらゆる場面において極力人との接触を避けたいという社会全体のニーズが高まったという現象があります。そのニーズに各業界が対応する中で無人化や省人化の流れが広がった、と見てよいでしょう。
また、日本では少子高齢化の進行によって労働人口が減少しています。その影響から特に小売業・飲食業などの産業分野で人手不足が深刻化しているといわれており、そのような業種においては、多くの企業が否応なく無人化・省人化に取り組まざるを得ない状況にある、というのも実際のところです。
そして、もう一つの背景として、無人化や省人化が可能となるようなテクノロジーの進化があることを切り離して考えることはできません。上述したセルフレジ、セルフチェックイン、遠隔オーダーなど、どれをとっても、それらを可能とする先進的なシステムが存在することによって成り立っており、そこにはIoT、AI、クラウドなど最新のデジタル技術がフルに活用されています。
社会の変化と技術の進化がうまくシンクロすることによって、現在の無人・省人ビジネスの広がりが生まれている、といってよいでしょう。
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無人・省人ビジネスを実現するテクノロジーの進化
それでは、どのような業務分野で、どのようなテクノロジーが活かされて、無人化・省人化が可能となっているのか、代表的な例をここでいくつか挙げてみたいと思います。
① 顧客インターフェイス
顧客が必要とする店舗や施設、商品などに関する情報の伝達、予約の受付やチェックイン、顧客情報の取得、顧客への事後のフォローアップなどの業務分野が該当します。今ではごくあたりまえになったオンラインショッピングでは、WEBサイトが店舗そのものとなり、そこでは商品情報や価格情報が詳細かつ多角的に提供されています。無人型・省人型のレンタルスペースやスポーツジムでは、オンラインで予約受付やチェックインをサポートするシステムが、スタッフに代わって予約の申し込みから来店時まで顧客の窓口となって活躍しています。商品やサービスに対する顧客の意見や要望を吸い上げたり、顧客に対してキャンペーン情報などをタイムリーに提供したりといった機能を備えて、顧客満足度の向上に役立つシステムも普及しています。
② 代金決済・精算
顧客から代金を受け取ること、現金決済であれば適正な釣銭を返金することなど、お金に関わる業務分野です。物品の販売であれば、顧客が自ら商品のバーコードを読み取り、支払いを行うセルフレジシステムが普及しつつあり、最近では、コンビニやスーパーマーケットだけでなく、アパレル専門店や飲食店などでも導入が進んでいます。
代金の支払いは、クレジットカードやPayPayなどのQRコード払いといったキャッシュレス決済であれば、比較的容易にシステム化が可能です。現金決済に対応したい場合は、精算機というハードウェアを導入する必要がありますので、一定のコストが必要となります。
③ セキュリティ
特に無人ビジネスにおいて、セキュリティの確保は最重要課題であるといっていいでしょう。犯罪や不正の防止はもちろんですが、顧客に施設を安全・安心に利用していただくためにも、セキュリティには万全の対策を講じておきたいものです。
無人店舗などでは、近年は大掛かりな工事を必要とせずに導入が可能なクラウド型防犯カメラの普及が進んできました。無人型のレンタルスペースやスポーツジムなどでは、顧客の入退室を柔軟かつ正確に管理できるスマートロックが人気となっています。セキュリティ以外のの業務分野でも同様ですが、業態に合わせたツールやシステムの選択が重要です。
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無人・省人経営が可能なビジネス業種とは?
無人経営が可能な業種の代表例として、前々項ではコインランドリー、野菜販売所、民泊を挙げました。その他、筆者が最近のトレンドを観察する中で、システム化や機械化による無人化・省人化が顕著に進みつつあるとみられるビジネス業種として、以下のような分野を挙げておきたいと思います。
別の見方をすれば、これらの業種は無人・省人経営と親和性が高く、類似した業種も含めて、今後も無人化・省人化がさらに進展する可能性が高い、と見ることができます。
相性の良い店舗ビジネスの例
- コンビニエンスストア
- アパレルショップ
- 書店
- トレーニングジム
- ゴルフ練習場
- 個室サウナ
- ビューティーサロン
上記のうち、コンビニエンスストアについては、大手資本のチェーンなどを中心に、立地条件や顧客特性を勘案して無人化・省人化と親和性の高い店舗を選別しつつ、会計やセキュリティにはAIやIoTを活用した先進的なシステムを導入するなどして、試行錯誤が続けられています。
ファミリーマートは2024年までに無人決済店舗を1000店にまで拡大する方針を打ち出していますし、セブンイレブンはセルフレジやスマホレジの導入で省人化を進めており、ローソンは深夜に売り場を無人とするスマート店舗の実証実験に取り組むなどの動きがみられます。
それ以外の業種では、小規模経営のビジネスも多く、それぞれのビジネス特性に応じた運営上の工夫を凝らしながら、無人化・省人化に取り組んでいるというのが実態のようです。コンビニを除く業種に共通する要素のひとつには、周囲のお客さんやスタッフの目が気になる、買い物や行動に集中して取り組みたい、といったような顧客心理が挙げられるでしょう。
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【業種別】無人・省人ビジネス事例の紹介
それでは、いくつかの業種別に、無人・省人化に至った背景やその効果などについて紹介していきます。
書店:「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」
- 出典 :
- ほんたす WEBサイト
2023年9月、東京メトロ 溜池山王駅にオープンした「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」は、日本出版販売株式会社が運営する無人書店です。入口のQRコードを読み取って会員登録した後は、LINEアプリで会員証(QRコード)を表示して入退室します。無人店ですが、セルフレジが2台設置されていて、クレジットカードや電子マネー、QR決済といった方法で書籍・マンガ等を購入できます。
弊社の「TOBIRA」を活用した入退店管理に加え、非常時のサポート体制の構築により商品の盗難やトラブルも発生していないそうです。これまで、中古本(古本)の無人販売店舗はいくつか存在していましたが、新書を扱う無人店舗の事例は非常に少ないです。日本出版販売としては将来的に取引先の書店へのソリューションを目指しているようで、今後の展開が非常に楽しみです。
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トレーニングジム:「CUBE高戸橋」
- 出典 :
- CUBE高戸橋 公式WEBサイト
東京都新宿区、明治通りと新目白通りが交差する「高戸橋」交差点に位置する、完全予約制、24時間無人運営のレンタルジムです。設備は、ストレッチや体幹トレーニングを行う「コンディショニングルーム」、体力向上を目的としたパワートレーニングを行う「ストレングスルーム」の2室。セルフトレーニングはもちろん、パーソナルトレーナーやオンラインレッスン、動画撮影など、幅広い用途で活用されています。
経営母体である不動産管理会社では、24時間無人レンタルジムにしようと決断したポイントとして、「自分のペースでトレーニングしたい」という顧客ニーズに対応したかったという点と、ランニングコストを抑えた効率的な店舗経営を目指したかったという2点を挙げています。また、ジムを利用するときに、他のお客さまとすれ違いたくないという声も考慮した上で、完全予約制を採用したそうです。
CUBE高戸橋では、完全予約制、24時間無人運営を実現するため、まず、入退室管理システムとしてスマートロックであるRemoteLOCKの採用を決定、予約管理システムにはそのRemoteLOCKと連携でき、かつ機能の充実した「STORES 予約」を採用しました。その結果、当初希望していた内容を実現することができ、オペレーションの効率化に繋がっているそうです。
STORES 予約 & RemoteLOCKの導入事例はこちら!
インドアゴルフ練習場:「SundayBack9」
- 出典 :
- SundayBack9 公式サイト
千葉県市川市の行徳駅近くにある完全個室制、無人型のインドアゴルフ練習場です。営業時間は朝8時から夜10時まで。広々とした個室には、多彩な練習モードとラウンドモードを備えた最新式の多機能シミュレーターが導入されています。料金設定は月額制のサブスク会員と都度利用料を支払う1回利用の2タイプがあります。(※サブスク会員は定員のため現在募集を停止中)
近年、若年層や女性層を中心にゴルフ人口が増加しており、特にそのような若者や女性の間で、完全個室制のインドアゴルフ練習場が人気を集めています。プライベート性が高く、初心者や女性も周囲の目を気にすることなく練習に集中できる点、アウトドア施設と比べて交通の便が良く、クラブなどのレンタルが充実していて、仕事帰りなどに電車で気軽に通うことができる点、などが人気の背景となっています。
SundayBack9は、ネット予約制を採用しているため待ち時間を気にする必要がなく、また、料金はオンラインで事前決済のため当日はお金の受け渡しが発生しません。施設の入り口には、予約者が予約した時間だけ入室できる暗証番号式のスマートロックが装備されており、安心して施設を利用できます。
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個室サウナ:「ROKU SAUNA」
- 出典 :
- ROKU SAUNA 公式WEBサイト
第3次サウナブームといわれる中、横浜市たまプラーザ駅徒歩2分の好立地に昨年オープンした完全予約制のプライベートサウナです。入店から退店まで完全非対面・非接触で完結できることが特徴となっており、利用者が他人の目を気にする必要は一切ありません。各個室にはスマートロックが取り付けられていて、予約時に発行される暗証番号を使って入室します。
施設面では、全6室すべて2名がゆったりと利用可能という広くて贅沢な空間が確保されています。サウナ室には本場フィンランドのMISA社製サウナストーブが採用され、休憩スペースにはサウナ通の間で評判のインフィニティチェアが設置されるなど、サウナの楽しみを満喫できる充実した設備も魅力です。
プライベートサウナ/個室サウナというと、これまでサウナという業態の中では、高級で一般的に手が届きにくいというイメージがありました。しかし、このROKU SAUNAでは、予約や入退室管理業務における省人化を進めることで経営の効率化を実現、日常生活の中で気軽に利用できるサービスを提供することが可能となっています。ROKU SAUNAは2024年3月に3店舗目となる聖蹟桜ヶ丘店もオープンしてろり、個室サウナのニーズを強く感じますね。
脱毛サロン:「セルフ脱毛サロンハイジ」
- 出典 :
- セルフ脱毛サロンハイジ 公式WEBサイト
北海道から沖縄まで全国展開する24時間営業・セルフ脱毛サロンのチェーンです。今まで脱毛サロンやエステサロンにありがちだった「高額で不明朗な料金体系」や「スタッフによる過剰な売り込み」など業界の問題点に挑戦しながら、より多くの人に不安のない脱毛の機会を提供すべく、スタッフを配置しない無人型のセルフ脱毛という手法で店舗展開を行なっています。
無人型のセルフ脱毛だから、人件費を大幅に削減することができて、リーズナブルな価格設定が可能となり、また、24時間営業だから、通常の脱毛サロンでは取りづらいとされている予約も取りやすいということで、人気急上昇中です。
最近では、女性だけでなく男性の間でも、また介護脱毛という観点からも、脱毛の需要は高まっているといわれています。しかし、従来の脱毛サロンは、料金面や恥ずかしさから敬遠されがちでした。無人のセルフ脱毛サロンであれば、そのような人々も躊躇なく気軽に利用できます。
セルフ脱毛サロンハイジでは、大手脱毛サロンと同等スペックのプロ仕様の脱毛マシンを導入する一方、入会、代金決済、予約などの業務はシステム上で管理、サロンへの入退室はシステムと連携したスマートロックで管理することで無人化と24時間営業化を実現。誰もがいつでも安心して通うことのできる環境を作り出しています。
音楽スタジオ:「P.I.G.Studio」
高円寺にある音楽スタジオ「P.I.G Studio」は、予約システム「スタジオル」とRemoteLOCKを導入し、有人・無人対応を切り替えながら運営しています。音楽スタジオの扉には防音のため「グレモン錠」という特殊なレバーが使われていますが、RemoteLOCKはスマートロックで唯一、取り付けが可能です。
受付業務を効率化して無人運営にすることで、必要なスタッフを減らす(=人件費を抑える)ことができます。また、営業時間を拡大することでの売上upも見込めます。予約システムとRemoteLOCKをうまく活用し、経費削減・売上向上を実現しているそうです。
【まとめ】無人・省人ビジネスの今後の展望
以上、今回は無人・省人ビジネスが業種を超えて広がっている現状とその背景について述べるとともに、さまざまな業種のビジネス事例をご紹介しました。
各業種とも、直接のきっかけは、新型コロナ感染拡大によって高まった非対面・非接触ニーズへの対応や、少子高齢化による深刻な人手不足への対応、といったことが挙げられるでしょう。しかし同時に、無人化・省人化に取り組むことによって経営を効率化することができれば、その分の経営資源を価格やサービスに再配分することが可能となり、それが新たな顧客の開拓や顧客満足の向上に結びつく、という好循環が生み出されていることもわかります。
そこには、すでに経営者と消費者との間のWin-Winの関係が成り立っています。このような前向きな潮流は、今後加速することはあっても、決して止まることはないといって良いでしょう。さらにテクノロジーが急速に進化していることを考慮すれば、無人化・省人化の波はますます広がっていきそうですね。