アフターコロナで事業者がホテルの稼働率を高めるポイント5選
現在、ホテル業界は長引くコロナの影響で苦戦を強いられていますが、収束後はインバウンドの復活や国内観光客の増加など、宿泊需要の復活が期待されています。とはいえ、コロナの影響は、宿泊利用者の価値観や宿泊施設のあり方をも変え、コロナ前と同じような経営では生き残れないとも言われています。アフターコロナに向けて、稼働率を高め収益を上げるためには何を準備しておくべきでしょうか?今から考えるべき5つの施策をご紹介いたします。
宿泊需要の復活時に稼働を高めて収益をあげるには?
長引くコロナの影響もあり、東京商工リサーチの調査によると2020年の宿泊事業者の倒産は、前年の1.5倍となり、7年ぶりに100件台に達しています。ホテル業界は、まさにいま、生き残りをかけた様々な取り組みが求めらています。本格的な宿泊需要の復活時に向けて、今から準備しておくべき施策を5つご紹介しましょう。
自社公式サイトのSEO対策・情報の充実化
今や、宿泊するホテルを探す人のほとんどが、インターネット使って検索しています。一般的に、検索結果の順位1位に表示された記事を読む確率は約30%といわれていますが、検索10位になるとわずか1%と大変低い確率になり、それ以降はほとんど読まれません。つまり、どんなに素晴らしい自社公式サイトを作ったとしても、検索で上位表示出ない場合、利用者の目に入らないということになります。
新規顧客をふやすためには、検索された場合、上位に表示されることが重要と言えます。公式サイトの上位表示に欠かせないのが「SEO対策」です。ゲストが特定のキーワードで検索した場合、上位に表示させるために行う施策のことです
しかし、SEO対策といっても実は明確な定義はなく、ターゲットの求めている「価値ある情報」が、いかに充実しているかが大きなポイントとなります。
一般的に言われているSEO対策
- ターゲットとするゲストの検索キーワードを調べ、文中に盛り込む
→若い女性をターゲットとしている場合「地名」「ホテル」「おしゃれ」 などのキーワードを意識した文章を載せる - 良質な記事を多く載せる
→文字数は少なくても300字以上、長い方が良いといわれているが、中身のない文章よりは短くても価値のある文章のほうが良い - 読み手にとって価値のある記事を多く載せる
→利用者が知りたいと思う情報を載せる。ホテルの内装や施設の詳細な案内だけではなく、付近の案内や有名なお店の情報ページなどを増やす
モバイル対策も忘れずに
最近の検索のほとんどが、スマートフォンからです。スマートフォンでの表示は、パソコンよりも画面が小さくなるので、より上位検索されることが大切になります。またパソコン上での表示だけではなく、スマートフォンでどのように画面が表示されているかチェックして、見やすい表示になるように注意しましょう。
公式サイトはホテルのイメージを決定する
公式サイトは、単にアクセスを増やすだけではなく、見ているお客様の興味をそそり、「泊まりたい」と思ってもらえるページであることが前提となります。公式サイトはホテルの「顔」であり「広告」でもあるのです。宿泊前のホテルのイメージを決定づけるものとなりますので、魅力的な施設の写真や詳しい情報、ホテル独自の「うり」を多く掲載して、興味を引き立てるページをつくりましょう。
宿泊予約プラットフォーム(OTA)だけに頼らない
宿泊予約プラットフォーム(OTA)に掲載しているから、公式サイトはそんなに力を入れなくても良いと思われるかもしれません。しかし、利用客は宿泊予約サイトから公式サイトに飛んで、さらに詳しい宿泊施設の情報を調べています。公式サイトが充実しているほど、安心感も高まり、予約もアップします。
常にゲストが何を知りたいのか、どういう情報を求めているのかをリサーチし、公式サイトを充実させることが検索順位を上げることにつながるのです。
施設プロモーションや情報発信
いまや、公式SNS(ツイッターやインスタグラム、公式ブログ)での情報発信は欠かせないいものとなっています。特に女性は、新しい商品や品物が欲しい場合「まずSNSでチェックする」ことが多いと言われており、口コミサイトやお客様の声と同様に、SNSでの発信は重要です。しかし、注目を集めるために意図して「バズらせる」のは難しく、地道な投稿を続ける必要はあるでしょう。
その他、ライターやブロガー、インスタグラマーなどに情報発信してもらう(インフルエンサーマーケティング)方法もあります。とはいえ、実際に宿泊した人や、施設の情報を見たインフルエンサーに自ら投稿したいと思わせるような、「人に紹介(自慢)したくなるようなスポット」や「ホテル自体の仕掛け」を用意することも大切でしょう。
インスタ映えや拡散されるようなスポットとは
◇ミスマッチや違和感を与える場所
→ 海に続いているように見えるプール、ホテルなのに本格的な温泉があるなど
◇規格外、想定外のものがある
→ 大きな変わったオブジェ、安いホテルなのに高級なアメニティー
◇非日常の演出
→ 幻想的な光でライトアップ、人形ロボットがお出迎えなど
◇ストーリーの演出
→ ホテルの歴史や、地域の意外な話などを面白く公開(苦労話ではなく、意外性のあるもの)
◇色・カラフルを取り入れる
→日常的なものでも色を変えるだけでも話題になる(部屋ごとにテーマカラーを作って、とことんこだわるなど)
さらに、アフターコロナでは海外からの需要も戻ると予想されています。コロナの状況に合わせて短期的なゲストの取り込みを狙った国内向けの情報発信と、将来的な仕込みとしての海外向けの投稿(ハッシュタグは英語にする、短くてもよいので英文での投稿)なども用意するとよいでしょう。
既存顧客のリピート促進
集客と言うと、新規顧客の開拓ヘ目が行きがちになりますが、実はリピーターを増やすことこそ最優先するべき施策です。リピーターとは、一度きりでなく何度もホテルに宿泊したり、サービスを利用したりする既存客(ファン)のこと。繰り返し利用するのは、ホテルやサービスをとても気に入っているという証拠であり、新規顧客よりも売上が高いのも特徴です。リピーターが増えることで経営が安定し、月々の売上の予測もつくようになります。
さらに、リピート顧客の獲得コストは、新規客を獲得するためのコストと比べて1/10程度で済むといわれています。コストをかけ、様々な媒体に広告を打って新規顧客を獲得するよりは、はがき一枚のご案内で再利用されることもあるリピーターの重要度は明白でしょう
優良リピーターを増やすためには、メルマガ等による定期的な情報発信をするほか、リピーター特典を用意したり、ポイント制度を導入するなど直接的な施策があります。しかし、何よりも宿泊者に「また泊まりたい」と宿泊を楽しんでもらえるような設備や、他にはないアメニティの充実、心地よいと思ってもらえるようなスタッフ対応の徹底なども、長期的に見るとリピーターを増やす要因となるでしょう。
宿泊プランの差別化
コロナ以前から、全国的に宿泊施設が増加傾向にありましたが、特に都心では、ビジネスホテル、ラグジュアリーホテル、低価格で泊まれるアパートメントホテルなど、様々な業態のホテルが数多く運営されており、同じ業態内での競争も激化しています。
アフターコロナでは、更に競争が激化することは確実で、これまで以上に自社ホテルの強みを磨き、魅力を発信するなど、他施設との差別化をはかる必要があるでしょう。
例えばアパートメントホテルなら、IT活用などを通じてこれまで以上に運営コストを削減して、圧倒的な価格優位性を打ち出すことも可能です。これにより、低価格だけどホテルクオリティな施設に泊まりたいというニーズを持つ宿泊者の取り込みが期待できます。
また、最近は「ホテル」と「バカンス」を組み合わせた「HOCANCE(ホカンス)」なる言葉も生まれています。日常を離れ、たとえ観光地へ行かなくてもホテル内でバカンスを楽しめるような設備やサービスを提供するホテルが人気となっており、これも競合との差別化の一例となります。
お金をかけて施設を改装するだけではなく、他にはない宿泊プランを提示するのも非常に有効です。
魅力のあるホテルの宿泊プランの例
◇地元住民宿泊プラン
→近隣の住民だけが利用できるお得なプランで、近隣住民に気軽に利用してもらう
◇リモートワークプラン
→宿泊客のいない日中に数時間程度、テレワーク向けにホテル客室を利用してもらう
◇豪華朝食プラン
→夕食がついていない代わりに、豪華な朝食で優雅なホテルクオリティーを味わってもらう
ゲストへ提供する付加価値の向上
一般的に、ホテルの満足度として「施設の清潔さ」「アメニティの充実度」「スタッフの接客」などはレビューの項目にもなっていますが、ゲストのニーズはこれだけではありあせん。ゲストがその施設に何を求めているかを改めて検討し、そのニーズを満たすことは、そのホテルに取って新たな強みともなるのです。
最近顕著なニーズとしては次のようなものがあります。
ニーズ①「到着したらチェックインに時間をかけずにすぐに部屋に行きたい」
施策:セルフチェックインシステム(オンラインチェックインシステム)の導入
最近では、セルフチェックインシステム(オンラインチェックインシステム)を導入するホテルが増えています。お客様はスマートフォンなどを使って事前にチェックインを完了し、現地ではタブレットの簡単な操作だけで非対面で入室できるシステムです。
ゲストにとっては、チェックインに時間をかけずそのまま部屋に向かえる利便性に加え、フロントの無人化・非対面接客が可能になる事から、感染症対策としても安心・安全を実感していただける施策と言えます。
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ニーズ②「鍵の受け取り、持ち歩き、返却が面倒。手ぶらで外出したい」
施策:スマートロックの導入
ホテルの宿泊でゲストが「煩わしい」と思うことのひとつが鍵の管理です。チェックインやチェックアウトで、鍵の受け渡しをするためだけに長い列に並んだり、ちょっとした外出にも大きなキーホルダーのついた鍵を持ち歩くのは面倒です。
スマートロックという電子キーを導入することで、フロントでの鍵の受け渡しが必要なくなります。外出するときにも鍵を持ち歩くことがなくなり、紛失などのトラブルからも開放されます。スマートロックの導入は、ゲストの利便性に大きく貢献するでしょう。
ニーズ③「ホテルの付帯施設(レストランや温浴施設)の混雑状況を客室から知りたい」
施策:混雑状況把握・混雑案内サービスの導入
レストランや温浴施設が混雑していたり、行列や順番待ちが必要というのは、ホテルで非日常感を味わいリラックスしたいと考える利用客にとって、避けたい状況です。
混雑状況把握・混雑案内サービスを導入すると、ゲストは客室から利用したい施設の混雑状況が確認できます。ストレスのないスムーズな施設の利用は、ゲストのホテル滞在の満足度を上げ、他にはない利便性を感じていただけるでしょう。また、混雑など三密を避けることができることから、感染症対策に積極的であると、ホテルの信頼を上げる施策といえます。
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【まとめ】アフターコロナで稼働率を高めるためには?
ホテルの稼働率を上げる方法を5つご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか?そのほとんどが、大掛かりな施設の改修などを必要とせず、従来のサービスに手を加えるものや、地道にSNSで発信したり、公式サイトを見直すなど、すぐにでも取り組める方法ばかりです。
さらに、チェックインシステムやスマートロックなど、ホテル業務にIoTを導入することで、ゲストへの付加価値を大幅に向上させるだけではなく、フロント業務の効率化や人的コストの削減も図ることができます。アフターコロナに向けて、今だからこそできる施策を参考にしていただけましたら幸いです。
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