(事例あり)ホテル経営の新潮流 ーオリンピック、その後の生き残り戦略ー

[fa icon="calendar"] 2020/02/10 / by K.MANABE

K.MANABE

2020年とうとうオリンピックイヤーが訪れました。政府は2020年の訪日外国人旅行者数の目標を4000万人と定め、日本を観光大国とするために躍起になっています。改正旅館業法施行などインパクトのある政府の後押しもあり、オリンピック需要を見込んだ多くの事業者がホテル建設を行い、空前のホテル建設ブームとなっています。
一方で過剰な供給数を危惧する声も徐々に上がっており、大阪などではすでに供給予定数が需要予測を超えていることが指摘されています。

オリンピックという特大イベントでは、問題なく在庫が消費されることは疑いはありません。しかし、オリンピック後にあらゆるホテルがインバウンド需要拡大の恩恵にあずかるとは言い難いでしょう。

2020年以後の宿泊市場は多種多様なステークホルダーが参画するまさに戦国時代といえます。ホテル経営を根本から見直さなければ価格競争の渦に巻き込まれ、好調のホテルでも厳しい戦いを強いられることでしょう。

本ブログでは宿泊戦国時代における生き残り戦略について事例も交えながら考察します。


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目次

  1. 1.オリンピック、その後のホテル経営戦略
  2. 2.<事例>ホテル経営の新潮流 ITとホスピタリティ
  3.  2-1.RONDAR (Satisfill)
  4.  2-2.KONA STAY(コナリゾート)
  5.  2-3.Q Stay and lounge 上野 (LS株式会社)
  6.  

 

オリンピック、その後のホテル経営戦略

 

改正旅館業法施行後、宿泊市場は多種多様なステークホルダーが参画するまさに戦国時代といえます。既成概念にとらわれずに今までのビジネスホテル、リゾートホテル事業者とは全く別の角度から設計されたホテルは、今後徐々に旅行者の心を捉えていくでしょう。ホテル経営を根本から見直さなければ価格競争の渦に巻き込まれ、現在好調のホテルでも厳しくなると言わざるを得ません。

 

そんな中、弊社ソリューションを活用いただいているホテル事業者様へのインタビューなどから考察した、生き残りのための2つのヒントをご紹介いたします。

 

その二つとは「人材の定着」と「ミクロな立地戦略」です。この2つについて簡単に説明します。

 

 

人材不足と求められる高度な業務レベル

 

現在、宿泊業界では供給数の急増もあり、人材の獲得が困難な産業となっています。

厚生労働省の「職業安定業務統計」によると宿泊分野における有効求人倍率(平成29年度)は6.15倍と全職業平均を大きく上回っています。

 

■職業別有効求人倍率【平成29年度/厚生労働省 職業安定業務統計 弊社編】

求人倍率

 

宿泊サービスの提供には、コンシェルジェサービス(受付・案内)のほかにも、清掃やリネンの管理といった裏方の作業、また予約の管理といったIT知識が必要な作業もあります。さらにはインバウンド需要を見込んだホテルでは当然多言語での対話が必要となり、非常に高度な業務レベルを求められていると言えるでしょう。

 

上記のような複雑かつ多様な業務内容であるにもかかわらず、宿泊業の賃金は全産業平均に比べ低水準の時代が続いており、結果として離職率も高く教育を前提とした新卒採用もリスクを伴うのが現状です。

 

新規学卒就職者の離職状況(平成27年度)をみると 全産業平均(大卒)の3年以内離職率は31.8%なのに対して、宿泊業・飲食サービス業は49.7%で産業別でトップの離職率となっているのもその業務内容の煩雑さが原因の一端だと考えれます。

 

■新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業(平成27年3月卒業者の状況) ※「その他」を除く

 【平成30年度/厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況) 弊社編】 

ホテルの人材定着

 

一方で観光庁の「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成29年度)」調査によると、旅行中に困ったことの最上位として「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」ことが挙げられています。フロントスタッフなどに有能な人材を配置、定着させることが他ホテルとの差別化要因になりうることが分かります。

 

 

インバウンド需要

 ■訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成29年度調査)

【平成31年度/観光庁 観光や宿泊業を取り巻く現状及び課題等について】

 

 

供給の過密化とインバウンド需要の多様化

 

空前の宿泊ブームにより需要予想に対して過剰な供給がなされており、特に都市部ではその傾向が顕著にあります。CBREの発表した「2021年のホテルマーケット展望」によると、必要客室数に対する供給予定数は、大阪で2.1万室、東京及び京都で1.2万室多いとの見通しが立っています。

 

競争率が激化したことで、都市単位での事業戦略では差別化ができなくなっています。駅や空港などの移動手段や日本特有の観光資源、ナイトタイムエコノミーのある地域とのアクセスといったミクロな視点での立地戦略がインバウンド向けに重要な要素になります。

 

また訪日外国人のうち、日本への来訪回数(観光庁「訪日外国人の消費動向(2018)」)は、初めての来訪が37.9%である一方、3回目以上の訪日外国人が42%と上回っています。10回以上来日している観光客も10.2%と決して無視できない数と言えるでしょう。複数回来日している観光客は、立地特性などもより厳しく評価するため、ミクロな視点での立地戦略が必要となります。より細かな立地特性を分析することで、立地特性に応じたコンテンツの提供やプロモーションが実現できるという効果も期待できます。

 インバウンドの訪日回数

 

 

<事例>ホテル経営の新潮流 ITとホスピタリティ

 

前半では「人材の定着」と「ミクロな立地戦略」が今後のホテル戦略においてポイントになることを説明しました。後半では実際に2つのポイントを抑えて新しい客層を掴んでいる成功事例をご紹介しながらホテル経営の新潮流を考えます。

 

Randor Residential Hotel(株式会社Satisfill)

 

株式会社Satisfillはインバウンドに特化したレジデンスホテルを展開するホテル事業者です。

公式HP:https://www.randor.asia/

 

 2018年創業から現在まで10棟250室程度を営業するまでに成長し年間宿泊者数で30万人を獲得しています。広い客室と豪華な設備で長期滞在する訪日外国人の集客に成功しています。弊社構造計画研究所(RemoteLOCK)主催の「次世代ホテル経営セミナー」にも登壇いただきましたので、その内容から一部抜粋してご紹介いたします。

 

↓広いリビングと最新の設備

satisfill-living

 

Satisfillは高い顧客満足度を維持していますがその秘訣は人材の定着であるといいます。インバウンド向けに特化しているためスタッフも多国籍。当初人材の獲得、定着に苦しんでいたことから、ITを活用し煩雑な作業の自動化を実現しました。

 

現在は「Hospitality With Technology」を標榜し、ホテル運営におけるヒトとテクノロジーの棲み分けを行うことで、オペレーションの最適化を図っています。人には人がやるべきことに集中させ、他業務は自動化させるということを徹底していると言います。


事前決済のみ、物理鍵の撤廃、宿帳名簿の電子化などIT化した結果、以前まで6時間程度かかっていたバックオフィス業務が今では半分以下になったといいます。またスタッフの人事評価を宿泊客からのアンケート結果をもとに行うことで、ITによる自動化で空いた業務時間をゲストへのおもてなしや気配りに充てる好循環が生まれているといいます。

 

またランドーレジデンシャルホテル札幌スイーツはすすきの中心街から徒歩5分圏内など、ナイトタイムエコノミーを求めるインバウンド需要に合った立地の取得をしています。高地価の立地で低価格でも競争できるためにはITの活用が重要となってくるでしょう。

 

↓ランドーレジデンシャルホテル札幌スイーツ

satisfill-lobby

 

 

コナステイ伊豆長岡(株式会社コナリゾート)

 

こちらは既存旅館をリノベーションした「サイクリング」がテーマのリゾートホテルです。

公式HP:https://www.konastay.jp/

 

冬でも暖かく年間を通して自転車旅を楽しめる伊豆半島に立地しており、ロードバイク好きに人気のホテルです。ロードバイクのレンタルサービスや自転車を室内へ持ち込めるなどサイクリストに嬉しいサービスで国内観光客だけでなく外国人の集客にも成功しています。

 

↓ホテル内にはサイクリストを満足させるための設備が豊富

コナステイ-lobby

 

レンタルサイクルも実施しており、予約があれば最寄り駅までレンタサイクルを運ぶなどのサービスも提供しています。サイクリスト特化型のため、スタッフは自転車に詳しくそれらのメンテナンスのできる人間となっています。2019年9月時点では3名のスタッフを中心に運営しており、レンタサイクルの貸出やメンテナンスなどの付加サービスへ集中するために、コナリゾートでもRemoteLOCKによる物理鍵の廃止や宿泊名簿の電子化を導入しています。

立地特性を生かしたコンテンツの提供と人材の獲得で旅館再生を実現した好例です。

 

元旅館ということもあり、温泉施設も↓

コナステイ-温泉

 

 

Q Stay and lounge 上野(LS株式会社)

 

2020年1月に東京・上野にグランドオープンしたばかりの外国人観光客をメインターゲットとした「社交型コンテンツホステル」です。

公式HP:https://www.q-stay.jp/

 

株式会社 Ctrip Japan 前・代表取締役社長の梁 穎希により設立されたLS株式会社は新しいスタイルのホテル運営を提案・実施しており、同店が自社企画・運営ホテル1号店となります。

 

1Fにはカフェバーを設置し、上階がドミトリーと個室による宿泊施設となります。宿として充分な設備があるだけでなく、東京藝術大学の学生をはじめ、上野周辺エリアで活動するクリエイターたちによるアート作品を館内に展示しています。

 

↓ドミトリー部屋の壁紙にもアートが

Q stay-ドミトリー

 

 

展示作品については値段も記載があり購入も可能となっています。様々な企画も予定しており美大生にとっては自身の表現、評価の場にもなります。一方、訪日外国人にとっては最新のアートと日本文化を知ることができ地域交流や日本文化発信のハブとなる機能を持っています。

 

また多言語グループチャットも導入しており、自身のスマートフォン端末から母国語で打ち込んだメッセージが、AI を活用した機械翻訳技術により変換され、リアルタイムでスクリーン上に表示されることで多言語交流を実現しています。チェックインフロントは設けずカフェに併設されたチェックインタブレットでゲストはチェックインできるなど、IT技術を活用した取り組みも注目です。

地域とのwin-winの関係を構築して差別化を図る戦略に今後が注目されます。

 

↓美大生の作品を展示しているギャラリースペース

Q stay- gallery

 

 

 

まとめ 

 

いかがでしたでしょうか。2020年を迎えホテル競争率が激化している中、ご覧いただいているホテル事業者様も既に多くの取組を始めていられることでしょう。人材の確保、差別化戦略が困難になっている現状をしっかりと認識し、そのための施策を行っていただければと思います。

 

弊社ではRemoteLOCKを通してホテルで働くスタッフ、泊まりに来るゲスト、両者にとって快適な宿泊空間を提供するお手伝いをしております。数百社以上のホテルをお手伝いして感じているのは、成功しているホテル事業者様は”コスト削減”ではなく”特別なホテルサービスの提供”のためにITを活用した省人化を実現しているということです。このITの活用とホスピタリティ向上をうまく掛け合わせたとき、オリジナリティあるホテルが出来上がるのだと思います。

 

今後も運営コンサル様、宿泊サービスベンダー会社様とも協力してこのようなホテル事業者様と一緒にマーケットを盛り上げていきます!ITを活用した次世代型ホテルを考えらている方は遠慮せずにご相談いただければ幸いです。

 

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Topics: RemoteLock(リモートロック), Smart Lock(スマートロック), 宿泊事業, 無人化, 活用事例, 経営/トレンド




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著者 K.MANABE